産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.02.28

自動化設備のメリットやデメリットとは?製造業等の導入例や意味について

人間が行なっていた作業を自動化する「自動化設備」を導入することで、人件費の削減や生産量の増加を図れます。しかし、初期投資費用が多いなどのデメリットもあります。なぜ自動化設備は必要といえるのか、また、導入する流れについても解説します。

この記事の結論

・自動化設備を導入すると人件費の削減や生産量増加が図れる
・自動化設備には初期投資費用が高いというデメリットがある

自動化設備とは

自動化設備とは、作業を自動化する設備のことです。作業だけでなく、工程全体、レーン全体を自動化する設備を指すこともあります

少子高齢化が進む日本では、人手を削減できる自動化設備の導入が進んでいます。しかし、日本だけが例外的に自動化設備を導入しているわけではありません。危険作業回避やコストダウンなどの目的で、人口が少ない国でも自動化設備の導入が進んでいることがあります。

自動化設備導入のメリット・デメリット

自動化設備を導入すると、具体的にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

メリット

自動化設備の導入により次の4つのメリットを得られます。

人件費の削減

人が行う作業を自動化するため、少人数での工場運営が可能になります。作業スタッフが減ると、人件費も削減できるでしょう。

また、従業員が多い工場では、作業スタッフの出入りも頻繁になりがちです。欠員が生じる度に求人募集をかけることになりますが、求人コストも決して低いわけではありません。雇用に関わる支出を抑えるためにも、自動化設備を導入して少人数での運営体制を構築しておくことができるでしょう。

製品の品質が安定する

作業工程を機械が行うことで、人による製造よりも製品品質のばらつきが減ります。企業としての信頼度も上昇するでしょう。

廃棄処分する製品も減るため、製造コスト削減も実現できます。検品作業も自動化することで、粗悪品の見落としが減り、さらに品質の安定化が見込めるでしょう。

生産量が増える・安定する

自動化設備の導入により、製造にかかる時間を短縮できます。生産量の増加にもつながり、利益増も期待できるでしょう。

また、人間とは異なり、自動化設備は一日の作業時間が決まっていません。稼働時間を増やすことで、さらに生産量の増加が見込めます。

製造単価の低下

人件費や雇用コストの削減、不良品率の低下により、製造単価を下げることができるでしょう。単価が安くなり卸値や売価に反映することができれば、業界内の価格競争にも有利です。

トラブルの原因特定が簡単になる

自動化設備を導入し、各工程やレーンの状況をパネル等で一元管理することができれば、トラブルが起こった場所や原因も容易に特定できるようになります。スムーズに問題部分に対応できるようになるため、作業できない時間を短縮します。

デメリット

自動化設備の導入にはメリットが多いですが、デメリットも少なからずあります。特に注意したいデメリットを2つ紹介します。

初期投資費用が大きい

自動化設備は高額なため、初期投資の費用が大きいです。また、基本的には作業工程やサイズなどに合わせてオーダーメイドで設備をつくることになるので、既製品の設備導入よりもさらに高額な費用が発生するでしょう。

大抵の企業では、自動化設備の費用を金融機関等の融資でまかなうことになります。しかし、あまりにも費用が高額な場合や、導入して得られるメリットや予想できる利益が少ない場合は、融資を受けられない可能性もあります。融資審査に通らない場合は、自動化設備の導入の実現が難しくなるでしょう。

設備を扱える人材が必要

自動化設備を導入することで、今までとは作業内容が変わります。製造にかかわる業務が減り、機械のメンテナンスやトラブル対応、オペレートといった業務が増えることになります。それに合わせて、新たな業務に対応できる人材も必要になるでしょう。

自動化設備の導入までの流れ

自動化設備の導入はどのように進めていくことができるでしょうか。メーカーへの問い合わせから導入までの流れを紹介します。

  • ①メーカーに問い合わせ
  • ②メーカーと打ち合わせ
  • ③導入案の提案を受ける
  • ④見積もり
  • ⑤発注
  • ⑥製作
  • ⑦納品アフターフォロー

①メーカーに問い合わせ

まずは現時点での企業内の問題点をあぶり出します。改善したい点を分析し、どのようなな自動化設備があれば問題を解決できるのか検討していきます。

また、改善できる点や達成したい目標についても明確にし、自動化設備に対するある程度のイメージを描いてから理想に近い設備を作成するメーカーに問い合わせましょう。

②メーカーと打ち合わせ

メーカー側が希望する自動化設備に対応していることを確認した後、実際にメーカーの担当者と会います。工場関連の問題や改善点、目標から導き出した自動化設備に対する希望を詳しく伝え、お互いの認識にズレが生じないように確認しておきましょう。

③導入案の提案を受ける

依頼主の希望をもとに、メーカー側がプランを作成してくれます。作成したプランを見て、納得できるときは提案を受け入れます。

納得できないときや、希望があまり反映されていない場合はプラン作成の手直しを依頼しましょう。自動化設備の導入は、今後の企業を大きく左右します。少しでも「違う」と思うことがあれば、繰り返し話し合うことが必要です。

④見積もり

メーカー側の導入案に賛成したときは、見積もりの過程に進みます。予算をあらかじめ伝えておき、予算を大きく逸脱することがないようにプランを立ててもらいましょう。予算内で希望通りの設備を作製できない時は、プラン変更しなくてはいけないこともあります。

⑤発注

見積もりに問題がない場合は発注に進みます。発注前に、税込かどうか、設置費は含まれているのか確認してください。

⑥製作

基本的に自動化設備はオーダーメイドなので、発注してからの製作となります。製作後にはキャンセルできませんので、見積もり・発注の段階で詳しく設備の仕様や金額、サポート体制などを確認しておきましょう。

⑦納品

完成後、納品となります。操作方法などの指導を受けて、実際に利用していきます。

⑧アフターフォロー

メーカーによっては、定期的なアフターサービスを実施しています。また、故障などの緊急時は随時アフターフォローを受け付けていますので、何かあったときはすぐに問い合わせましょう。

自動化設備の評価方法と選び方

自動化設備を導入する際には、できれば複数の設備を比較し、適正に評価をしてより良いほうを選びましょう。

  • 費用対効果を計算して選ぶ
  • 評価基準を設定して点数を付けて選ぶ
  • 消去法で選ぶ

費用対効果を計算して選ぶ

自動化設備の導入によりどの程度のコストが下がるのか、初期投資の金額や毎月の維持費・電気料金なども比較し、費用対効果を計算してみましょう。

費用対効果に優れているならば、継続的な活用でさらに利益が増えることが予測されるため、導入する価値は高いと推測できます。

評価基準を設定して点数をつけて選ぶ

独自の評価基準で点数評価することも大切です。

例えば廃棄物がどの程度減るのか、1個当たりの製造コストはどの程度減るのか、依頼主が事前に設定した目標はどの程度達成できるのか、具体的な数値で計算してみましょう。

消去法で選ぶ

費用対効果やその他の基準でどの自動化設備が良いか判断しきれないときは、消去法で選ぶのもひとつの方法です。重視したいポイントをいくつか列挙し、条件をもっとも満たしている設備を選びます。

まとめ

自動化設備を導入することで、人件費の削減や生産量増大などの利益が得られることがあります。また、自動化設備の導入で失敗をしないためには、いくつかの設備を比較評価して選ぶことも大切です。費用対効果や独自の基準、消去法を用いて候補を絞り込み、納得できる設備を導入しましょう。

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