目次
この記事では梱包ロボットの特徴や導入するメリットなどを詳しく解説します。
様々な産業分野における導入事例や取扱メーカーも紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
・梱包ロボットとは出荷前の製品を梱包する作業を担う産業用ロボットのこと
・梱包ロボットに画像認識技術や機械学習を組み合わせることで梱包作業をさらに効率化できる
・梱包ロボットを導入することで、安全確保・人件費削減・業務の効率化・生産性向上といった効果が期待できる
梱包ロボットとは
梱包ロボットは出荷前の製品をダンボールや発泡スチロールなどの容器に詰める用途に使う産業用ロボットです。「パッキングロボット」や「箱詰めロボット」などと呼ばれることもあります。
ロボットの形状としては、人間の腕に近い動きを再現できる双腕型スカラロボットや人型ロボットが主に使用されています。
梱包ロボットを使う5つのメリット
梱包ロボットを導入することによって得られる5つのメリットについて解説します。
- 作業員の安全確保
- 省人化による人件費削減
- ミスが減る
- 業務の効率化
- 生産性が向上する
一つずつ見ていきましょう。
作業員の安全確保
梱包ロボットを導入することで、重い段ボールなどの梱包時に作業員が腰などを痛めるリスクを回避できます。
その結果、作業員の安全や健康が確保され、労働環境が改善することが期待できます。
省人化による人件費削減
手作業でおこなっていた梱包を自動化すれば人手を減らすことができるため、人件費の削減にもつながります。
また、ロボットはプログラミングされた作業内容を何度でも再現することができるため、教育コストを抑えることができます。新入社員の教育・研修等にかかるコストも大幅に削減できるでしょう。
ミスが減る
梱包工程をロボットで自動化することによって、入れ忘れや入れ間違いといった人為的なミスを減らすことができます。
結果的に作業精度が上がるとともに製品の品質管理もしやすくなります。
業務の効率化
昨今の技術革新により、AI(人工知能)による機械学習技術を梱包ロボットに適用することが可能となりました。
梱包ロボットとAI技術を組み合わせることで、梱包ロボットが過去のデータから自らパターンを学習し、梱包作業を最適化・効率化することが可能になります。
生産性が向上する
梱包ロボットを導入することで、作業量と作業スピードを高水準で安定させることができます。
また、ロボットであれば夜間などの営業時間外にも作業を自動的に継続することができるので、作業員の時間外労働を増やさずに生産量を上げることも可能となるでしょう。
梱包ロボットと合わせて導入したい技術
ここでは、梱包ロボットでの作業をより効率化するために知っておくと便利な2つの技術を紹介します。
- 画像処理技術
- AIによる機械学習
画像処理技術
梱包ロボットに画像処理技術を組み合わせることで、梱包作業の質や精度を向上させることが可能です。
たとえば、画像処理技術の一つであるビジョンセンサーを使えば、ばら積みピッキングなどの高度な作業も自動化することが可能です。
AIによる機械学習
先述のようにAI(人工知能)による機械学習の技術を梱包ロボットに適用すれば、ロボットが過去の梱包作業データから自らパターンを学習し、梱包工程をより効率化することが可能です。
梱包ロボットの活用事例
ここでは様々な産業分野における梱包ロボットの活用事例を3つ紹介します。
自動車部品の検査・梱包システム
自動車部品の検査梱包工程に使う梱包ロボットとして協働双腕ロボットを導入しました。
その結果、以前は3人で8時間かかっていた作業が2人で12時間で完成させることが出来るようになり、大幅な生産性改善につながりました。
事例の引用元:『ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018』p. 78
ボールペン部品射出成形の検査及び箱詰めシステム
作業員が目視でおこなっていたボールペン部品の外観検査を画像認識で自動化すると共に、外観検査の後の箱詰め作業に梱包ロボット(直角座標ロボット)を導入しました。
その結果、10人で1日8時間かけておこなっていた作業を1人で4時間程度でできるようになりました。
事例の引用元:『ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2017』p.22
自動車部品の高速吊り掛けシステム
プレス加工された自動車部品を運搬するための梱包(製品の吊り掛け)作業に梱包ロボット(垂直多関節ロボット)を導入しました。
その結果、人手に頼っていた作業を自動化でき、労働生産性が10倍向上しました。
事例の引用元:『ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2017』p.111
梱包ロボットのおすすめメーカー3選
ここでは、梱包ロボットに強いメーカーを3つ紹介します。
- 安川電機
- FANUC
- 産景産業
安川電機
産業用ロボットの大手メーカー・株式会社安川電機(本社:福岡県北九州市)では多種多様な製品の梱包に最適な梱包ロボットを取り扱っています。
たとえば軽量物の高速搬送に最適なパラレルリンクロボット「MOTOMAN-MPP、MPKシリーズ」や、梱包後のパレタイズにも対応できる7軸の双腕垂直多関節ロボット「MOTOMAN-SDAシリーズ」などがあります。
安川電機についての記事はこちら
FANUC
産業用ロボット業界最大手のFANUC(ファナック)株式会社(山梨県南都留郡)はあらゆる形状の梱包ロボットを取り扱っています。
中でも「ゲンコツロボットシリーズ」は従来の産業用ロボットでは難しかった手首の複雑なひねり具合などを再現できることから、医薬品・食品分野・部品組立など小型製品のハンドリング作業で重宝されています。
FANUCについての記事はこちら
川崎重工業
川崎重工業株式会社(東京都港区)は物流に強い梱包ロボットを得意とするメーカーです。オートバイ・航空機・鉄道車両・船舶といった輸送機器分野における豊富な実績を活かし、梱包を含むハンドリング工程を全般に対応できるロボットを提案しています。
また一般製品以上に高い衛生性や安全性などを必要とする医療・製薬分野向けのハンドリングに特化した「MCシリーズ」などの開発にも力を入れています。
川崎重工についての記事はこちら
まとめ
この記事では梱包ロボットの特徴や関連知識、導入するメリット、活用事例、おすすめメーカーなどを解説しました。
梱包ロボットを導入することで、作業員の安全確保や人件費削減、業務の効率化、生産性向上といったプラスの効果が期待できます。
またロボットに画像認識技術や機械学習といった最新技術を組み合わせることで、梱包作業をさらに効率化することが可能です。
自社にも梱包ロボットを導入してみたいと思われた方は、この記事で紹介したメリットや関連技術、おすすめメーカーなどをぜひ参考にしてみてください。