産業用ロボットSIer 300社掲載

2023.03.22

箱詰めロボットの種類3選 特徴&メリット導入の注意点(動画つき)

箱詰めロボットの種類3選

箱詰めロボットを使った自動化を検討する際に、どのようなロボットを選定すべきなのかを解説していきます。

箱詰めロボットが用いられる背景とは

箱詰め工程の自動化は、生産現場の自動化において重要な改善策の一つとなっています。まず、箱詰め工程で自動化が求められる背景を見ていきましょう。

人手作業での箱詰めの課題

箱詰め作業

従来、箱詰め工程は人手作業でした。しかし、その中でいくつかの課題があり、それが箱詰めロボットへの置き換えの理由となっています。その課題は下記の4つです。

品質不良

作業者は一日で何度も同じ作業を繰り返すため、丁寧に作業をしていても製品に傷をつけてしまうことがあります。

製品数の抜け漏れ

作業者が数をカウントして箱詰めする場合、カウントミスが多く発生します。対策を施すことは出来ますが、完全に防ぐことは難しいです。

製品の入れ間違い

近年の変種変量生産の中では、ロットによって箱詰め内容が変わることが多々あります。その場合、箱詰めの内容に間違いが発生することがあります。

生産数量の不安定

人手作業では完了までのスピードに個人差が出てしまい、生産数量を安定して求めることが難しくなります。箱詰めのスピードが追いつかないため、設備の速度を落とすこともあります。

箱詰めロボット導入のメリット

先ほど挙げた課題解決のために、箱詰めロボットの導入が必要とされています。ここでは、ロボット導入のメリットについて解説していきます。

品質の安定化

製品への傷の発生や、異物混入などの品質リスクを無くすことができます。品質を安定化するにはロボットハンドの最適化が必要になります。ロボットハンドの最適化については後述していますので、そちらを参照ください。

作業ミスの削減

製品の入れ間違いや、個数の間違いを無くすことができます。ロボットにレシピを設定することで、現在生産している製品の梱包方法が確実に実行されるようになります。付帯設備やシステムと連携して、どのレシピで生産するかを自動選択できるシステムを作ってみるのも良いでしょう。

生産速度の向上

ロボットを用いることで、人手作業よりも速い速度で安定稼動させることが可能です。従来の人手作業にあわせた生産速度ではなく、付帯設備の能力を最大限に活かす事が可能です。

箱詰めロボット3種類と選定ポイント

実際にロボットを導入するためには、どのような種類のロボットがあるのかを知っておく必要があります。ここでは、その種類とそれぞれの特徴について解説します。

1.スカラロボット

水平方向の回転軸を3軸持ち、垂直方向の直線軸を持ったロボットのことです。

単純で制御しやすく、速度も高速化できることが特徴です。そのため、製品を箱に整列して入れていくようなピック&プレースで用いられます。また、位置精度が高いため、ハンド部分にアタッチメントをつければ、接着剤の塗布やねじ締めなどの工程でも使用できます。

2.パラレルリンクロボット

さらに速度を要求したいときにおすすめなものが、パラレルリンクロボットです。特に、小さい製品の箱詰めであったり、バラ積みピッキングなどで多用されます。ただし、設置場所や動作範囲の制約があるため、条件によっては使用できないこともあります。

3.垂直多関節ロボット

前に挙げた2つのロボットと違い、複雑な動作が必要な場合に使用されます。集積された製品束の箱詰めや、作業スペースに制約がある箱詰めなどの作業が挙げられます。注意点としては、スカラロボットやパラレルリンクロボットに比べて速度が遅くなってしまう点や、複雑な制御を扱える技術者が必要になることです。

ロボットハンドの最適化

品質の安定化のためにロボットハンドの最適化が重要ということを第2章ロボット導入のメリットで述べました。ここではロボットハンド最適化について解説します。ロボットハンドは掴みたい製品によって、最適なものを選ぶ必要があります。ロボットハンドの選定を間違えると品質不良に繋がるため、ハンドの特徴を知って選定の参考にしてください。

チャックハンド

人の手の指で掴むようなハンドです。チャックハンドは製品の形状や、掴む力がどのくらい必要かによって、選ぶハンドが変わってきます。また、製品を掴む爪の形状にも工夫が必要です。製品と触れる部分で製品に傷をつけないような形状になっているかを事前検証しましょう。

吸着ハンド

吸着パッドで製品を吸着して掴むハンドです。吸着ハンドは吸着・剥離の早さが特徴で、掴む動作がない分、チャックハンドに比べて早く製品を箱詰めできます。注意点はパッドの材質によって、吸着痕と呼ばれる痕が製品についてしまうことがあるため、材質の最適化が必要な点です。

箱詰めロボット導入の注意点

最後に箱詰めロボット導入時の注意点を解説します。

導入効果の確認を

箱詰めロボットの導入は非常にコストがかかります。ロボット単体の導入であれば300~500万円で導入が可能です。しかし、製品を集積する装置を導入したり、ダンボールの運搬設備を導入すると億単位の投資になることもあります。

従って、削減できる人件費や、生産速度アップによる効果金額を事前に算出しておくことをお勧めします。ロボットの導入費用が効果金額をはるかに上回ってしまう場合は、別の改善方法を検討する必要があります。その一例として、からくりを使った改善などもありますので参考にしてみてください。

設置スペースの確保

ロボットを導入するためには、ロボットの設置スペースを確保する必要があります。工場内のスペースは、工場にとっての重要なリソースとなってきます。

一度設置してしまうと移動させることは難しく、移動させるためにはコストが発生してしまいます。事前に現場との確認を取っておきましょう。また、最近では移動可能な協働ロボットを使う場合も見受けられます。

箱詰めロボットの導入を進めて、利益の出る工場へ

ここまで解説したように、箱詰めロボット導入に際して事前検討が必要な部分が非常に多くあります。ロボットの選定や、付帯設備との連携などで困りごとがあればロボカルまでお問い合わせください。一緒に利益の出る工場を作っていきましょう。

この記事の監修者
ライター福島淳平
福島淳平
ライター

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