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IoT技術の進歩により近年急速に浸透してきた産業用ロボットの中でも、垂直多関節ロボットに並んで典型的なのが水平多関節ロボットです。

水平多関節ロボットは、別名をスカラ（”Selective Compliance Assembly Robot Arm”の頭文字）とも言います。日本人研究者によって、軸を穴にはめこむ作業を自動化する目的で発明されたため、この名前が付きました。

本記事では水平多関節ロボットの特徴、導入事例、おすすめのSIerを紹介します。

水平多関節ロボットの特徴

水平多関節ロボットは4軸からなるロボットです。各関節は水平方向に稼働するため、上下方向に加わる力に強く、水平方向の柔軟性が高いです。部品を押し込む作業や、ピックアンドプレース作業を得意とします。

直交ロボットと比較して小さいスペースに設置が可能で、高速動作をさせることが可能です。パワーが必要な搬送、三次元の動きが必要な溶接などには向きませんが、組立工程で大きな力を発揮します。

水平多関節ロボットの導入手順

産業用ロボットの導入で想定通りの効率化を実現するには、充分な準備が必要です。綿密な計算の下システム設計をしなくては、本来の効率改善効果が実現できないからです。

以下のような導入の手順に沿いながら、経験豊富なSIerと相談して導入を進めて下さい。

• 導入の目的を明確に設定
• システムの構想
• 構想提案に基づいた仕様の定義
• 生産システムの詳細設計
• 製造・納入前テスト
• 稼働開始
• 保守・点検

各手順の詳細は以下の記事に記載をご参考下さい。

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水平多関節ロボットを導入するときのポイント

水平多関節ロボットは組立作業に適したロボットで、省スペースで安価に設置出来ることが強みです。自社工場に水平多関節ロボットの導入を考えているなら、以下のポイントを検討しておくと良いでしょう。

• 導入の目的を明確化
• 導入費用とその効果が見合うのか確認
• 水平多関節ロボットに関する情報収集
• 「提案依頼書（RFP）」の原案を作成
• 導入を依頼する会社を選定

各ポイントの詳細は以下の記事に記載をご参考下さい。

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水平多関節ロボット導入するときに同時に導入したい周辺機器

水平多関節ロボットは、様々な周辺機器と組み合わせてはじめて産業用ロボットシステムとしの真価を発揮します。周辺機器は、既製品をシステムに取り入れることも多いですが、システムの用途・目的に応じてオーダーメードされることも多くあります。

水平多関節ロボットと組み合わされることが多い周辺機器は、以下の3種類です。

エンドエフェクタ

エンドエフェクタは、水平多関節ロボットのアームの先端に取りつけられるパーツで、実際に対象物と接触する部品です。エンドエフェクタの種類には、物を掴む「グリッパ」、物を吸着する「吸着エンドエフェクタ」、マルチタスクの「汎用ハンド」等が有ります。エンドエフェクタの性能は、システム全体の作業効率性に大きな影響を及ぼします。

パレタイザ

水平多関節ロボットが得意とする「組立」の能力を発揮するには、複数の部品をロボットの可動範囲内に集める必要があります。パレタイザは部品をコンベア間で移動させるロボットで、多くのロボットシステム内で使用されています。

コンベア

同様に、コンベアも部品をロボットの可動範囲内に集めるための周辺機器です。水平多関節ロボットやそのエンドエフェクタに応じてコンベアの速度等を調整し、タクトタイムを可能な限り短縮することが可能です。

水平多関節ロボットの導入事例

化粧品の包装工程の自動化ラインでの導入

化粧品は多品種小ロットであるため、従来からほとんどの包装工程は人力に頼ってきました。そこで、生産能力や品質保証の改善のため、水平多関節ロボットを含んだ自動化システムを導入しました。

リニアコンベアと水平多関節ロボットを組み合わせることで、製品の高速搬送、資材や製品の移載が可能となりました。この事例では、システム構築プロセスの標準化するなど、横展開の取組も同時に行っています。

草刈り機の部品組立工程にロボット導入

草刈り機のチェーンケース・ナイフギヤフレームの組立ラインにスカラロボットを導入した事例です。システム全体では、双腕ロボットや垂直多関節ロボットも同時に導入されていて、スカラロボットはギヤの嵌込作業のみを担っています。

従来熟練工の手作業で行っていた作業を自動化し、省人化に成功しました。

冷凍粒牡蠣の分散・移載工程での導入

小麦粉をまぶした粒牡蠣を一つずつばらし、向きをそろえて1個ずつベルトコンベアに載せる工程を自動化した事例です。吸着エンドエフェクタを装着し、水平多関節ロボットによる牡蠣の移動を実現しました。

周辺機器として、粒牡蠣をばらすための振動フィーダー、向きを検知するためのカメラを組み合わせてシステム化し、2名の省人化を実現しました。

水平多関節ロボットの導入が得意なSIer

新立電機株式会社

新立電機は、1973年設立のSIerです。取扱メーカーは多岐にわたり、幅広い制御機器、電機・電子部品を扱っています。FA（ファクトリーオートメーション）分野に力を入れていて、システム設計やティーチングまでをカバーした提案力に強みがあります。

株式会社オフィスエフエイ・コム

オフィスエフエイ・コムは、企画構想、製造組立、アフターサポートまでの全工程を一貫して行っているSIerです。1億円規模の生産システムから1000万円以下の装置まで、幅広い機器を扱っています。水平多関節ロボットはもちろんですが、医療分野や物流分野での実績が多いことも特徴です。

ミツイワ株式会社

ミツイワはICTサービス事業や電子デバイス事業を主業としており、ICTサービスと電子部品の専門企業です。近年、新たな事業領域としてロボットソリューション事業を行っていて、技術力を活かしたSIerとして活躍しています。

まとめ

水平多関節ロボットは、周辺機器と組み合わせることで、多様な目的への利用が、大きな作業効率化を実現できます。

水平多関節ロボットを扱う質の良いSIerは多くいます。ワークフローやラインの自動化を目指す際には、相談してみてはどうでしょうか。