産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.02.28

産業用ロボットの導入方法を詳しく解説!流れや事前準備について紹介!

産業用ロボットの導入はSIer(システムインテグレータ)と共同で生産ラインの稼働までを行っていきますが、あなたの会社でもしっかりと事前準備をして導入をすすめなければなりません。

そこで今回は、産業用ロボットの導入方法や事前に準備しておかなければならないことについて紹介していきます。

この記事の結論

・産業用ロボットの導入はSIerと共同作業で行う
・導入する目的をはっきりさせておくことが大切
・SIerに相談する前に提案依頼書(RFP)の原案を作成しておく

産業用ロボットの導入はSIerと行う

産業用ロボットの導入は基本的にSIer(システムインテグレーター)と相談して行います。

SIerとは、ロボットの導入を支援してくれる会社で、生産ラインの構想から運用までをサポートしてくれます。

産業用ロボットの導入の流れ

産業用ロボットの導入はSIerとの共同作業で行っていきます。導入の流れとしては、次のようになります。

  • ①導入の目的を明確にする
  • ②システムの構想
  • ③構想提案に基づいた仕様の定義
  • ④生産システムの詳細設計
  • ⑤製造・納入前テスト
  • ⑥稼働開始
  • ⑦保守・点検

①導入の目的を明確にする

導入する前に目的を把握します。目的を絞って選ばないと不要な機能を追加するなどして、コストがかさみますし、本来の目的から離れたロボットを購入してしまう可能性もゼロではありません。

その結果、自社に最適な産業用ロボットの導入ができず、導入後に期待した成果が出なくなってしまう場合もあります。

②システムの構想

現在の生産ラインでどのような工程でどのような困りごとがあるかを抽出していきます。作業工程での困りごとが見つかれば、原因を追求し解決方法を探します。

困りごとのある作業工程において、ロボットの導入が必要であると判断したならロボットシステムを構想して実施計画を作成してください。

③構想提案に基づいた仕様の定義

実施計画通りに困りごとの解決するための手段や方法を仕様として定義していきます。

ロボットシステムのフローを決めて、

  • 信頼性があるか
  • 利用価値がどれくらいあるのか
  • 保守や整備は難しくないのか
  • トラブルが起きても復旧できるのか

など、さまざまな観点から細かくチェックを行います。

④生産システムの詳細設計

生産システムの詳細設計は、「どのようなロボットシステムの方式を用いるか」を具体的に決めていく工程です。

レイアウト図を作成し、導入するロボットをどのように配置して、前後の工程もどう変更するかを設計していきます

作成したら、どのような機器が必要かを洗い出すなど、より詳細な設計を行っていきます。作成したレイアウト図をみて問題がないか確認を行い、問題がなくなるまで、修正を行ってください。

また、リスクアセスメントの観点から、安全性に関する方針も策定します。

⑤製造・納入前テスト

設計したレイアウト図や機器の設計図から、ロボットシステムの製造やソフトウェアの設計を行います。

実際に生産ラインを構築していき、レイアウト図通りの生産ラインを完成したら、内部テストを行ってSIerと契約した通りのものができていることを確認します。

⑥稼働開始

内部テストが問題なければ、本格的に稼働を開始します。

⑦保守・点検

本格的に稼働した後もSIerとのやり取りは続き、定期的に保守や点検を行ってロボットに問題がないか診断を行います。

また、トラブルや不具合が生じた場合は復旧のためにサポートしてくれます。

産業用ロボット導入時のポイント

産業用ロボットを導入するにあたってポイントを紹介します。

  • 目的をはっきりとさせておく
  • 価格・導入費用と効果が見合うか確認
  • 産業用ロボットに関する情報収集を行う
  • 「提案依頼書(RFP)」の原案を作成しておく
  • 導入を依頼する会社を選ぶ

目的をはっきりとさせておく

SIerに相談する前にロボットを導入する必要性を明確にしてください。

社内でどのような課題があって、予算がどれくらいなら問題ないのかを整理しておくことで、SIerとの相談もスムーズに進みます。

価格・導入費用と効果が見合うか確認

多額の投資をしたにも関わらず、あまり効果がなかったというようなことがあれば、会社に大きな損失を招いてしまいます。

そのため、導入する前に必ず費用対効果が見合うかどうか検討する必要があります。少なくとも「回収期間」を計算してください

産業用ロボットに関する情報収集を行う

目的や回収期間、予算が決まったら産業用ロボットに関する情報収集を行います。

収集には、インターネットや企業のショールーム、ロボット関連の展示会に足を運ぶなどさまざまな方法があります。

「提案依頼書(RFP)」の原案を作成しておく

SIerに依頼する前に提案依頼書(RFP)を作成してください。SIerに提出することで具体的なアドバイスがもらえ、正確な見積もりも提示してもらえます。

また、自社で作成することで知識がつき、SIerとのやり取りをスムーズに行えますし、提案をもらっても自社で判断できるようになるため求めているロボットシステムを導入しやすくなります。

導入を依頼する会社を選ぶ

産業用ロボットの導入を依頼する会社を選ぶことも大切です。導入したいロボットが決まっているのであれば、そのロボットのメーカーからSIerを紹介してもらえます。

SIerに心当たりがあれば、直接連絡することも可能です。日頃から取引のある機械系の商社の人がいればその人に連絡することをおすすめします。

産業用ロボットの導入事例

経済産業省が発行している「産業用ロボットの導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018」より導入事例を紹介します。

ロボットによる食品の重量検査作業とパレタイズ作業の標準化|堂本食品株式会社

堂本食品株式会社では、食品製造の製品パレタイズ作業で多品種少量生産で多種多様な製品サイズがあったことから、自動化が行えませんでした。

そのため、人が作業を行っていましたが、10kgの製品を持って歩いて重量検査後、再び持って歩いてパレタイズするという身体的負荷のかかりやすい作業をしていました。

そこで、ロードセルとカメラによる製品識別機能を備えたロボットを導入することで、重量検査とパレタイズ作業が自動で行えるようになり、現在は作業員が不要になっています。

労働生産性5.0倍
人数1人→0.2人 
労働時間8時間→8時間
生産量   600~700個→600~700個
事業規模2130万円
年間あたりの効果1人あたりの人件費350万円
投資回収年 6.1年(=2130万円÷350万円)

人工知能を搭載した画像判別技術による多品種混流品のSIコストの低減|城北機業株式会社

アルミホイールのバリ取り工程において、従来のロボットの動作は、決められた生産順序とホイールの順序が一致しなければバリ取りが行えませんでした。

それにより、欠品や作業者のミスに対応するため必要なロボットの台数が多くなりコストがかかっていました。

そこで、画像判別によるトリミングを行うロボットを導入します。

これにより、ロボットの動作は、生産現場で画像判別を行うことができ、柔軟な対応ができるようになったことから、導入台数を削減できました。

労働生産性2.0倍
人数8人→2人
労働時間8時間→16時間
生産量   800個→800個
事業規模5200万円
年間あたりの効果2400万円(=1人当たりの人件費400万円×6人)
投資回収年 2.2年(=5200万円÷2400万円)

産業用ロボットの導入におすすめのSIer

産業用ロボットの導入にあたりおすすめのSIer会社を紹介します。

筑波エンジニアリング株式会社

筑波エンジニアリング株式会社は茨城県の生産設備の省力化・自動化を行っている会社です。さまざまな生産システムを省力化してきており、設計から保守・点検まで全てを社内で対応しています。

ロボテック株式会社

ロボテック株式会社はダイカスト周辺機器やロボットシステムの加工以外の工程を受け持つ実力のある企業です。

20年以上培ってきたロボットシステムの研究開発によって、国内と海外累計200社以上の企業と取引を行っています。

株式会社レステックス

株式会社レステックスは産業用ロボットのシステム開発や高精度の温調機器などさまざまな試験装置の開発と製造を行っているSIerです。

IoTやAIにも力をいれており、独自の技術や豊かな発想力が強みです。

まとめ

産業用ロボットの導入方法について紹介しました。導入は基本的にSIerと共同で企画から稼働まで進めていきます。

SIerに依頼する前に提案依頼書(RFP)を作成してみましょう。どうしても難しいのであれば、コンサルタントに力を入れているSIer会社に依頼してみてください。

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