産業用ロボットSIer 300社掲載

2023.04.20

【2023年】ロボット業界の現状と最新のニュースをご紹介!

【2023年】ロボット業界の現状と最新のニュースをご紹介!

ロボットは誰にとっても身近なものになりつつあり、街中で配膳ロボットやコミュニケーションロボットを見かけることも増えてきました。
また、工場や生産現場といった見えない所でも、多くの産業用ロボットが活躍しています。私たちの暮らしはロボットに支えられているといっても過言ではありません。
この記事ではロボット業界の注目ニュースや、ロボット同士がさまざまな競技で競い合うロボカップに関するニュースを紹介します。

ロボット業界の現在

ロボット業界の現在

日本ロボット工業会は2023年の年頭所感において、2023年の産業用ロボット年間受注額が前年比3.6%増の1兆1,500億円にのぼるという見通しを発表しました。この金額は過去最高であり、2022年の年間受注額である約1兆1,100億円を上回ります。
働き手不足や賃金上昇によるオートメーション化のニーズは依然として高く、現在では製造業界のみならずサービス業界や食品業界、物流業界など、あらゆる分野にロボットが進出中しています。また、人間とともに働く協働ロボットの分野も成長著しく、これまでロボットの導入が困難だった中小企業にも広がっています。
長期にわたる部材不足が懸念材料ではあるものの、ロボット業界は今後も拡大が続いていくと予想されています。

ロボット業界の最新の動向

ロボット業界の最新の動向

ロボット業界は日進月歩で進化を続け、日々新しいテクノロジーやアイディアが登場しています。ここではロボット業界の気になるニュースをご紹介します。

矢野経済研究所、2023年の協働ロボット世界出荷台数は43万台と予想

矢野経済研究所は、2023年の協働ロボット世界出荷台数は43万台にのぼるという展望を発表しました。
人間とともに働く協働ロボットは、従来の産業用ロボットのように柵で囲う必要がなく、省スペースでの設置が可能。さらにプログラミングが容易で導入のハードルが低く、生産性の向上やコストの削減につながるといった理由からニーズの高まりを見せています。
同研究所によると、導入が広がることで本体価格も下がり、2032年は2022年と比較して30%前後まで下がるという見通しです。

建設ロボットの遠隔操作が可能なソリューションを開発

株式会社センシンロボティクスは、株式会社竹中工務店と建設ロボットの遠隔操作と管理を行うソリューションを開発しました。
「UGV遠隔操作ソリューション」では複数のロボットを同一システムで遠隔操作でき、作業員が個別に操作方法を身につける必要がありません。ロボット導入にかかる手間を省くことで、建築業界で2024年度から始まる残業規制や、人材不足への対策となることが期待されています。

自動運転船舶ロボットを開発する炎重工にドローンファンドが出資

2023年2月、ドローン特化型ベンチャーキャピタルのドローンファンドは、自動運転船舶ロボット「Marine Drone」の開発を手がける炎重工株式会社に出資したと発表しました。
水上での作業は、落水や衝突などの危険を伴うものが少なくありません。炎重工の自動運転船舶ロボットには、養殖場での自動給餌、密漁の監視、環境調査など、さまざまなシーンでの活躍が期待されています。

イチゴの受粉をロボットがサポート

植物の受粉・管理・収穫の自動化に取り組むHarvestX株式会社では、2023年夏からイチゴ自動栽培ソリューション「HarvestX」の提供を開始すると発表しました。これにより授粉精度の向上やミツバチ依存からの脱却、データをもとにした収穫日や収穫量の予測が可能になります。
個体数が減少しつつあるミツバチを受粉のために使い捨てることは、倫理面などの面からも問題視されてきました。今後も支援機能が順次追加され、2025年には完全自動化を目指しています。

ロボカップ2022で日本勢が結果を残す

2022年7月にタイのバンコクで開催されたロボカップ2022世界大会では、日本から参加した複数のチームが優秀な成績を残しました。
なかでも千葉工業大学の「CIT Brains」は、キッドサイズ部門のサッカーとドロップインの2部門で1位を獲得。また、京都大学の「SHINOBI」がレスキュー実機リーグで1位となり、努力を実らせました。ロボカップ2023は、2023年7月にフランスのボルドーで開催されます。

ロボカップとは?

ロボカップとは?

注目を浴びているのが、ロボット同士がさまざまな種目で競い合うロボカップです。ロボカップの概要や主なルール、注目されている理由について解説します。

ロボカップの概要

ロボカップとは、自分で考えて動くロボットによる競技大会で、ジャパンオープンと銘打った国内大会と国際大会がほぼ毎年開催されています。
開催目的は人工知能やロボティクスの発展にあり、「西暦2050年までに、サッカーの世界チャンピオンチームに勝てる、自律移動のヒューマノイドロボットのチームを作る」という目標が掲げられています。
ロボカップの競技は次の5分野です。

  • ロボカップサッカー
  • ロボカップレスキュー
  • ロボカップ@ホーム
  • ロボカップインダストリアル
  • ロボカップジュニア

ロボカップのルール

ロボカップの詳細なルールは競技ごとに設定されています。ロボカップサッカーではロボットのサイズごとにリーグ分けがされ、専用のコートで人間のサッカーと同じように得点を競います。
災害時の被災者救助を想定したロボカップレスキューでは、自律制御ロボットだけでなく遠隔操縦ロボットも参加可能です。ただし自律型のほうがより多くの得点を獲得できるため、稼働性や耐久性を含めた総合力が試されます。

ロボカップがなぜ注目されているか

ロボカップが注目される理由は、人間の暮らしに役立つロボットの研究開発や、将来のロボット業界を担う人材育成につながるからにほかなりません。学生時代にロボカップを経験し、ロボット業界に新風を吹き込むエンジニアとなった人も大勢います。
ロボカップで優秀な成績を修めるには、ハードとソフトの両面について深く理解し創意工夫を重ねることが必要です。また、同じ志を持つ国内や海外の人材が一堂に会し交流することも、ロボット業界にとって大きなプラスとなるでしょう。

まとめ

まとめ

産業の現場には課題を解決するロボットが次々と登場しているものの、ロボットが持つ可能性はまだまだ未知数だといえます。
また、今後の市場拡大により、大きな転機を迎える業界も出てくるでしょう。今後さらに技術者が集い、自律型ロボット同士が競い合うロボカップにも注目が集まります。自動化の波に乗り遅れないためにも、ロボット業界の最新情報をチェックしておきましょう。

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