目次
クリーンロボットの特徴
クリーンロボットとは、一定の清浄度を確保する必要があるクリーンルーム内で使用可能なロボットです。
もしクリーンルームで通常の産業用ロボットを使用すると、埃や塵などの異物が発生してしまい、規定された清浄度を超える可能性があります。
また作業員の出入りでも異物の発生は起きてしまうため、異物混入をしてはいけない製品の場合、クリーンロボットを導入すると室内の粉塵数の低減に繋がります。
特に半導体部品や、食品の製造工程では高い清浄度が求められており、半導体ではclass100、食品ではclass1000~10000のレベルが必要です。
そのためクリーンロボットは磁性流体シールを摺動部に使用したり、ハーネスを完全にカバーで覆うなど各メーカーで粉塵対策をしています。
クリーンロボットの導入手順
クリーンロボットを生産ラインにロボットを導入する場合の手順は、一般的な産業用ロボットの導入と同じです。
クリーンロボットの導入は、以下のような手順で行います。
- ①導入の目的を明確にする
- ②システムの構想
- ③構想提案に基づいた仕様の定義
- ④生産システムの詳細設計
- ⑤製造・納入前テスト
- ⑥稼働開始
- ⑦保守・点検
クリーンロボットを導入する場合は、製品が要求するクリーンレベルを満たすロボットを選定する必要があります。
そのため各ロボットメーカーが設定しているスペックを確認する必要があります。また使用するクリーンルームのレイアウトを考慮して、必要に応じて周辺設備、レイアウト改造などを行います。
クリーンロボット導入後は、クリーンルーム内の清浄度が目的値を満たしているかを確認して、もし満たしていない場合には適切な追加措置を行います。
より詳細な内容は、下記の記事で解説しています。
【関連記事】
▶産業用ロボットの導入方法を詳しく解説!流れや事前準備について紹介!
クリーンロボットを導入するときのポイント
クリーンロボットの導入では、以下のような点に注意が必要です。
- 目的をはっきりとさせておく
- 価格・導入費用と効果が見合うか確認
- 産業用ロボットに関する情報収集を行う
- 「提案依頼書(RFP)」の原案を作成しておく
- 導入を依頼する会社を選ぶ
クリーンロボットを導入する時は、事前に必要なクリーンレベルを明確にします。そして各ロボットメーカーの取り扱っている、クリーンロボットの中で目的に合ったロボットを選定する必要があります。
またロボット導入を依頼する会社は、クリーンロボット導入実績のあるSlerに相談するのがお勧めです。
より詳細な内容は、下記の記事で解説しています。
【関連記事】
▶産業用ロボットの導入方法を詳しく解説!流れや事前準備について紹介!
クリーンロボットを導入するときに同時に導入したい周辺機器
クリーンルーム
クリーンルームは埃の付着を嫌う半導体の製造、細菌の繁殖で品質問題となる食品製造に使われる、空気の異物を限定した数量以下に管理する部屋です。
正確な定義は、『空気中における浮遊微小粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、その空間に供給される材料、薬品、水やその他についても不純物、ゴミを取り除いてゴミを持ち込まないようにしようとする空間』のことです。(JIS Z8122 4001より一部抜粋)
ロボットコントローラ
ロボットコントローラとは、ロボットの動作をを制御する装置です。インターフェース部分とコントローラ部分で構成されています。
インターフェース部分はティーチングペンダントとも呼ばれていて、ロボットを直接操作したり、教示を行う装置です。
コントローラ部分はシーケンサなどと通信をして、ロボットへ動作指令を出したり、反対にロボットの状態をシーケンサへ伝達したりします。
安全装置
クリーンロボットを導入した場合、作業者との接触を起こさないように安全装置が必要になります。ハード的には安全柵でクリーンロボットを囲って隔離を行います。
ソフト的には安全柵の開口部に作業者が侵入したときに、ロボットを非常停止させるためのエリアセンサーが必要になります。
安全柵に開口部がない場合は、保守などで安全柵内に作業者が入る時に使う安全柵扉に、安全プラグやセーフティーリミットスイッチなどを設置します。
クリーンロボットの導入事例
半導体製造ライン
半導体産業は、これまで絶え間なく小型化技術の開発により、製品の集積密度の向上が進められてきました。
さらに価格競争が激しく、大量生産と自動化によるコスト削減が余儀なく進められています。そのような環境で、高速・高精度・クリーンなロボットの導入は必須といって良いレベルです。
食品・飲料製造ライン
食品・飲料製造ラインでは、食品や飲料の安全性、品質、供給量を達成するためにロボットによる自動化が勧められています。
食品製造ラインではロボットが蒸気や高湿度環境で使用される場合もあり、ロボットは防水性・防錆性に優れた性能が必要です。
さらに消毒に用いられる次亜塩素酸にも耐性が必要です。
薬品製造ライン
薬品製造は異物混入を起こすと、ユーザーの健康被害に繋がるためロボット導入が難しいラインです。そうした中でも、ロボットによる自動化技術の開発が進んでおり、調剤・製薬工程でも導入が進んできています。
薬液の耐性に優れ、人の手に比べて作業のスピードが速く、品質の安定が可能です。また人為的なミスによる異物混入のリスクも軽減されます。
クリーンロボットの導入が得意なSIer
ストーブリ株式会社
ストーブリはコネクタ、繊維機械、ロボットの3事業をメインに、世界29ヶ国に展開するグローバル企業です。1892年にスイスのチューリッヒ近郊で創立した小さな工場から、現在では従業員数5500人にも及んでいます。
食品工場や医薬品工場で使用できるロボットシリーズを展開しており、自動化した実績を豊富に持っています。
対応業種 | 食品、医薬品 |
対応プロセス | 産業用ロボット販売・サービス |
住所 | 大阪府 大阪市淀川区 西中島4-12-4 |
URL | https://www.staubli.com/ja-jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
株式会社AUC(エーユーシー)
株式会社AUCは、平成19年10月に(株)ユー・コーポレーションの子会社として設立されました。
(株)ユー・コーポレーションで長年培った「超精密加工」と「最先端分野における技術開発」を融合し、設計から製作まで一貫したビジネスを提供しています。
ロボット分野では、日本ロボット工業会が運営しているロボットSlerに参画しています。
クリーンロボットにおいては、半導体分野、バイオ研究、食品といった業種を対応しています。
対応業種 | 半導体、バイオ、食品 |
対応プロセス | システム設計開発、製作、設置、立上げ |
住所 | 群馬県安中市鷺宮50 |
URL | https://adv-uc.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
ハンドトラスト株式会社
ハンドトラスト株式会社は、「自動化・省力化・省人化」を目的としたロボットシステムインテグレータを本業にしています。
ロボット導入のコンサルティング・提案から、仕様設計、シミュレーション、設備製作、制御設計・製作、導入立ち合い、アフターサービスまで一貫して対応します。
ロボット周りの治具設計、製作にも対応可能です。
対応業種 | 医療・薬学産業、食品、航空宇宙など |
対応プロセス | システム設計開発、製作、設置、立上げ |
住所 | 群馬県安中市鷺宮50 |
URL | https://adv-uc.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
メーカーごとのクリーンロボットの特徴
川崎重工業の特徴
『汎用クリーンロボットNTシリーズ』は、走行装置を無くして業界トップクラスの小型で軽量なサイズ、従来比約40%の消費電力削減を可能にしています。
独自の高剛性ギアトレーンを用いることで、高速で高精度なウェハ搬送用のクリーンロボットです。
安川電機の特徴
大型で重量の重いワークの高速搬送に対応したクリーンロボットです。
クリーン仕様のターンテーブルを使用していて、ガラス基板搬送やパネル搬送に使用されています。
垂直多関節形、水平多関節形、大型用途特化型のシリーズを展開しています。
ダイヘンの特徴
クリーン搬送ロボットで20年の歴史を持つ会社です。
FPD製造プロセスで、大型パネルの高速搬送などで活用されています。
3Dモデル設計を用いた軽量で高剛性なアームを用いていて、制御系の最適化で安定した搬送品質を確保しています。
まとめ
半導体や食品など異物が混入すると品質問題を起こす業種では、クリーンロボットの導入が進められています。
ロボットによる自動化は作業者による品質のバラツキを低減できる他、作業の高速化によるコスト低減が可能です。
自動化をご検討される際は、クリーンロボットに実績を持つSlerにご相談されることをお勧めします。