産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.04.30

スマートファクトリーにおけるセンサーの役割|種類と導入時の課題についても解説

スマートファクトリーにおいてセンサーは不可欠です。センサーがスマートファクトリーにおいてどのような役割を果たすのかについて詳しく紹介します。また、センサーの種類や導入時に検討しておきたい課題についても解説するので、ぜひスムーズなスマートファクトリー化に役立ててください。

この記事の結論

・スマートファクトリーの情報ネットワークを階層化すると、センサーは末端部分に位置する
・センサーはデータや製造条件の情報を取得し、ロット情報の追跡を担当する
・スマートファクトリーでは光電センサーやレーザーセンサーなどの多様なセンサーが導入されている

スマートファクトリーにおけるセンサーの位置づけ

スマートファクトリーではすべてのシステムがネットワークで情報を共有しています。情報ネットワークを階層化すると、センサーは末端部分に位置します。階層上位から順に見ていきましょう。

  • 1.ERP(Enterprise Resource Planning)
  • 2.MES(Manufacturing Execution System)
  • 3.産業制御システム
  • 4.PLC(Programmable Logic Controller)
  • 5.センサー、アクチュエーター

1.ERP(Enterprise Resource Planning)

経営に関わる資源管理を行うシステムをERPと呼びます。財務や会計などの計画を立て、会社の運営していく基盤となります。

2.MES(Manufacturing Execution System)

生産に関わる管理を行うシステムをMESと呼びます。生産ラインの方向性を決める重要な基幹となります。

3.産業制御システム

産業制御システムとは、コンピュータによるシステム管理を行うシステムです。プロセス制御も統括し、スマートファクトリー全体が常に最適化された状態で。

4.PLC(Programmable Logic Controller)

PLCとは、機器そのものの制御を担当するシステムを指します。上位システムとはイーサネット、下位システム(センサー、アクチュエーター)とはイーサキャットやイーサネットIPなどを介して連携しています。

5.センサー、アクチュエーター

情報ネットワークの末端部分にセンサーやアクチュエーター(ロボット、モーターなど)があります。センサーやアクチュエーターを通して得た情報が、ネットワークを通じて他のシステムで活用されます。

スマートファクトリーにおけるセンサーの役割

センサーは情報を収集する末端組織とも言うことができます。具体的には次の役割を果たしています

  • データの取得・収集
  • 製造条件情報の取得
  • ロット情報の追跡

データの取得・収集

スマートファクトリーでは、センサーで取得した情報を収集し、生産量の決定や製造スピードの調整などを行います。AIとセンサーを組み合わせることで、自動的に生産を最適化することが可能です。

製造条件情報の取得

製品を製造したときの条件に関しての情報をセンサーで取得します。生産に最適な環境を決定するためにも、製造の度に条件情報を取得することが必要です。

ロット情報の追跡

センサーを使って、製造した商品のロット情報を追跡します。消費速度や、商品の流通の様子を調べることができ、製造量の決定や新商品の開発などに役立ちます。

スマートファクトリーで使用されるセンサーの種類

スマートファクトリーでは、さまざまなセンサーがロボット本体や壁、床などの至る所に使用されています。スマートファクトリーで使用されるセンサーの種類を紹介します。

  • 光電センサー
  • レーザーセンサー
  • ファイバーセンサー
  • カメラ内蔵レーザー変位センサー
  • 近接センサー
  • カラーセンサー
  • 接触式変位センサー
  • 渦電流式変位センサー
  • 超音波センサー
  • 画像判別センサー
  • 無線圧力・振動・温度センサー

光電センサー

光電センサーとは、可視光線、赤外線などを発射し、検出物体にぶつかった反射光などを検出するセンサーです。ガラスや金属、非金属、液体などの幅広い物質に用いることができ、反射有無や色の違いなどを検出します。また、遠く離れた物質の検出にも用いることができます。

レーザーセンサー

レーザーセンサーは、直進性のあるレーザーを用いて検出するセンサーです。対象物が照らされて見えるため、光軸合わせや位置の特定が簡単という特徴があります。また、隙間にあるものや斜めからアプローチが必要なものなどにも使えるので、多用途に用いられています。

ファイバーセンサー

ファイバーセンサーとは、光源に光ファイバを連結したセンサーです。狭所や微小なものでも利用できる点が特徴です。また、温度の影響を受けにくいため、高温な環境でも用いられています。

カメラ内蔵レーザー変位センサー

カメラ内蔵レーザー変位センサーとは、カメラによって対象物を画像で認識し、特定のポイントをレーザーで測定するセンサーのことです。センサーヘッドが1つでも複数ポイントを検出できるので、検品作業にも適しています。

近接センサー

近接センサーとは、非接触の状態で特定の物質が接近することを検出するセンサーです。主に金属の検出に用いられています。

カラーセンサー

カラーセンサーとは、発射した光の反射を検出することで対象物の色を判別するセンサーです。赤色、青色、緑色をそれぞれ検出できるので、金属製品や梱包材の位置決めなどに用いられることが一般的です。

接触式変位センサー

接触式変位センサーとは、検出対象物がセンサーに直接触れることで測定を行うセンサーです。例えば特定の物質が変化したときや組み立て中の測定に用いたり、製品の高さや厚みなどを高精度に測る際に用いたりすることがあります。

渦電流式変位センサー

渦電流変位センサーとは、電磁誘導作用により生じる高周波磁界を対象物との距離・位置の測定に活用するセンサーです。金属の検出のみに用いられ、対象物が高温時でも正確に検出します。

超音波センサー

超音波センサーとは、超音波を活用して距離・位置を測定するセンサーです。センサーヘッドから超音波を発信・受信し、対象物とセンサーとの距離・位置を特定します。形状が不安定なものやシート状のものなどにも用いられます。

画像判別センサー

画像判別センサーとは、カメラで撮影した画像により対象物を判別するセンサーです。カメラと照明、コントローラー部分が一体になっているため、操作性に優れている点が特徴です。一度に複数のポイントを検出することができ、また、色や形状などの異なるポイントで複数物を同時に検出できる点も画像を用いたセンサーの特徴といえるでしょう。

対象物が複数あるとき、それぞれの対象物が異なる方向を向いている場合でも掲出できます。例えば製品が雑然とした状態で箱に入ったままでも、画像判別センサーを用いて色やサイズ、形状の違いなどを判別することができます。そのため、検品作業に用いられることが多いです。

無線圧力・振動・温度センサー

無線センサーとは、無線機能がついたセンサーのことです。圧力を感知するものは「無線圧力センサー」、振動を感知するものは「無線振動センサー」、温度を感知するものは「無線温度センサー」と呼びます。遠隔操作ができるため、汎用性が高いことも特徴です。

スマートファクトリーにセンサーを導入する際に解決すべき課題

現在、ネットワークの通信規格が乱立している状態のため、センサーを導入しても通信規格と合わない時には接続できない可能性があります。工場内のすべての機器を同時期に購入している場合は、通信規格も統一されていることがありますが、ばらばらの時期に購入している場合は異なる通信規格のものが混じっていることもあるでしょう。すべてを接続してネットワークをつなげるためにも、通信規格がそろった機器とそれに対応するセンサーを導入するようにしましょう。

まとめ

スマートファクトリーの情報ネットワークにおいて、センサーは末端組織の位置にあります。センサーは種類が多く、色や大きさなどを多様な方法で感知することができます。工場内の機器の通信規格にセンサーが対応していないときには接続ができなくなるので、通信規格に注意して導入するようにしましょう。

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