産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.03.31

労働安全衛生法とは?産業用ロボットで安全柵の設置が義務付けられる条件を紹介

産業用ロボットを作業現場に導入する場合には、ロボットと作業員の間に安全柵の設置が義務付けられる場合とそうでない場合があります。この記事では産業用ロボットの安全柵に関する規制について分かりやすく解説します。

この記事の結論

・リスクアセスメントやISO規格に準じる措置を取れば安全柵の設置が免除される場合もある
・協働ロボットであれば安全柵なしで導入することも可能
・安全柵の設置は「労働安全衛生法」および「労働安全衛生規則」に従い適切に実施する

産業用ロボットに安全柵は必須なのか

産業用ロボットの安全柵については厚生労働省が定める「労働安全衛生法」および「労働安全衛生規則」で規定されています。結論から言うと、産業用ロボットを扱う現場においては安全柵の設置が法的に義務付けられる場合とそうでない場合があります。以下、どのような場合に義務付けられるのか、あるいは義務付けられないのかを詳しく解説していきます。

安全柵の設置が義務付けられる場合

労働安全衛生規則第150条の4によると、次のように規定されています。

事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために産業用ロボットを運転する場合及び 産業用ロボットの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用 ロボットを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第150条の4

安全柵の設置が義務付けられない場合

従来の規制においては高出力(80W以上)の産業用ロボットは安全柵で囲い人間の作業スペースから隔離することが必須でしたが、2013年12月の規制緩和により次の条件を満たせば、80W以上の産業用ロボットと人が同じ作業スペースで働くことが可能となりました。

  • リスクアセスメントにより危険のおそれがなくなったと評価できる場合
  • ISO規格に定める措置を実施した場合

詳しく見ていきましょう。

リスクアセスメントにより危険のおそれがなくなったと評価できる場合

厚生労働省「平成25年12月24日付基発1224第2号通達」によると、人とロボットが安全に共存するための対策(リスクアセスメント)を実施し安全性が評価された場合には、人とロボットが安全柵なしで協働作業をすることが認められます。

産業用ロボットを使用する事業者が、労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(以下 「リスクアセスメント」という。)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるとき

厚生労働省「平成25年12月24日付基発1224第2号通達」

リスクアセスメントの具体例としては、人感センサなどで作業員の動きを感知してロボットを減速または自動停止させる措置などが挙げられます。

ISO規格に定める措置を実施した場合

国際標準化機構(ISO)が定める産業用ロボット規格に準じた措置がとられている場合にも、人とロボットが安全柵なしで協働作業をすることが認められています。

法的に安全柵の設置が任意である場合でも、日頃の安全確認や定期点検・メンテナンスを実施し事故防止に努めることは全ての現場にとって必須です。

安全柵なしで人と作業できる「協働ロボット」とは

  • 「ロボットを安全柵で囲ってしまうと他の作業に支障が出てしまう」
  • 「安全柵を設置するための予算やスペースがない」

このような悩みをお持ちの現場には、人と協働することを前提に設計されている「協働ロボット」の導入を検討してみてはいかがでしょうか?協働ロボットを導入することで、次のような効果が期待できます。

  • 省人化
  • 品質の安定
  • 生産性の向上

産業用ロボットの安全柵と労働安全衛生法について

本記事では産業用ロボットを導入する場合に作業員の間に安全柵の設置が義務付けられるのはどのような場合なのかを解説しました。産業用ロボットの安全柵の設置は、「労働安全衛生法」および「労働安全衛生規則」で規定されている内容を確認した上で適切に実施しましょう。

安全柵なしで導入可能な「協働ロボット」なども検討材料としながら、それぞれの現場にとって最適なロボット環境を構築してみてください。

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