産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.05.31

ロボットジャケットとは?利用するメリットや素材について解説

ロボットジャケットとは、ロボットに装着するカバーのことです。ロボットジャケットを使うことでどのようなメリットがあるのか、また、どのような素材が用いられているのか解説します。

この記事の結論

・ロボットジャケットとはロボットに装着するカバーのこと
・ロボットに汚れがつきにくくなり、操作性の低下を防ぐなどの多数のメリットを得られる
・カーボンファイバーなどの多様な素材が用いられる

ロボットジャケットとは

ロボットジャケットとは、ロボットに装着するカバーのことです。ほこりを避けるために装着しますが、使用しないときに使うだけでなく、ロボットジャケットを装着したまま作業することができます。

ロボットジャケットを装着したまま作業することになるため、無理なく動けるようなオリジナルのサイズのものを使用する必要があります。また、ロボットの操作性を邪魔しないため、伸縮可能な素材を選ぶこともあります。

作業内容によっても、ジャケットの素材等が異なることもあります。基本的には各ロボットに応じてつくられた既製品、もしくはオーダーメイドなので、ロボットメーカーで購入するか、ロボットジャケットを取り扱うメーカーで購入することになります。

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ロボットジャケットを装着するメリット

ロボットジャケットは各ロボットに合わせてつくられた既製品、あるいはオーダーメイドのため、決して安価なものではありません。しかし、ロボットジャケットを装着することで様々なメリットを得られます。主なメリットを5つ紹介します。

  • ロボットに汚れがつきにくくなる
  • 操作性の低下を防げる
  • 食品や医薬品製造などの厳しい衛生基準もクリア
  • 維持費の削減
  • 着脱の手間がかからない

ロボットに汚れがつきにくくなる

ロボットジャケットを装着すると、ロボット本体のほとんどが露出しなくなるため、汚れがつきにくくなります。特に重油などの落ちにくい汚れがつきやすい環境下で働くロボットは、ロボットジャケットを装着して保護することが望ましいです。

操作性の低下を防げる

ロボット本体に汚れが付着すると、ロボットの操作性が著しく低下します。汚れによって重量が増えるだけでなく、アームなどの関節部に汚れが入り込み、円滑な動きを実現できなくなることもあります。

しかし、ロボットジャケットを装着して汚れがつくことを防御するならば、操作性の低下を防ぐことが可能です。操作性が低下すると消費電力が増えたり操作に時間がかかったりすることになるので、ロボットジャケットを装着することは電力削減や作業効率の維持のためにも必要なことといえるでしょう。

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食品や医薬品製造などの厳しい衛生基準もクリア

食品や医薬品製造に用いるロボットは、厳しい衛生基準をクリアしていなくてはいけません。クリーンルームに対応している高衛生基準の専用のロボット開発が必要になります。

しかし、当然のことですが、高衛生基準のロボットは価格が高く、種類が豊富にあるわけではないため、作業内容によってはオーダーメイドで作る必要も生じるでしょう。

しかし、衛生基準をクリアしているロボットジャケットを装着すれば、ロボット自体は食品や医薬品製造専用のものでなくても利用できるようになります。

また、ロボットジャケットの素材によっては、ロボットにロボットジャケットを装着させた状態で次亜塩素酸ナトリウムやアルコールで消毒できるものもあります。そのため、ロボット本体に高額な費用をかけなくても、高い衛生基準を維持することもできます。

維持費の削減

ロボットは構造が複雑であるため、メンテナンスは専門の業者に依頼する必要があることも多いです。しかし、ロボットジャケットを装着したことでロボットに汚れがつきにくくなるので、メンテナンスの回数を削減できます。

専門家に依頼すると高額な費用がかかることになりますが、ロボットジャケットによりメンテナンスの回数を大幅に減らせるので、メンテナンスの費用も大幅に抑えられるでしょう。

また、ロボットジャケットによりロボット自体も長持ちしやすくなるので、買い替える費用も削減できます。ロボットは高額で、オーダーメイドのロボットであればなおさら高額です。

ロボットジャケットは高額といってもロボット本体に比べれば非常に安いので、装着してロボットの寿命を延ばすようにしましょう。

着脱の手間がかからない

ロボットにホコリ除けのカバーをかけるときは、作業時はカバーを取らなくてはいけません。また、作業が終わったらカバーを装着しなくてはいけません。手間がかかるだけでなく時間もかかるので、作業効率は落ちてしまいます。

しかし、ロボットジャケットは装着したまま作業ができるアイテムです。着脱の手間がかからないので、作業効率を落とすこともありません。

ロボットジャケットの素材

ロボットジャケットは使途によって使用される素材が異なります。主な素材をいくつか紹介します。

  • カーボンファイバー
  • ナイロンターポリンゴムシート
  • 食品衛生法基準を満たす素材

カーボンファイバー

重油などを使用する現場で使えるロボットジャケットは、カーボンファイバーで作られていることがあります。切削加工などの廃油が飛び散る環境下でも使用でき、大切なロボットを守ります。汚れがひどくなったときは、洗うのではなくロボットジャケットそのものを取り替えます。

なお、カーボンファイバーだけでなくスパンデックスを入れて、伸縮性をプラスしているものもあります。ロボットのスムーズな動きを妨げないために、ロボットジャケットを製作する各社で様々な工夫を実施しています。

ナイロンターポリンゴムシート

ナイロンターポリンゴムシートも、重油などを使用する現場で使用できる素材です。ゴムが入っていることにより伸縮性があり、産業用ロボットの多様な動きに対応します。

なお、カーボンファイバーとナイロンターポリンゴムシートは、取り扱っているメーカーが異なります。重油などで汚れる環境下で使用するロボットのジャケットを探している場合は、ロボットジャケット専用メーカーかロボットメーカーに問い合わせ、それぞれの素材の特性を尋ねてから購入するようにしましょう。

食品衛生法基準を満たす素材

食品製造に用いるロボットには、食品衛生法基準を満たす素材を用いることがあります。これらの素材はアルコールや次亜塩素酸ナトリウムといった消毒液にも耐えられるので、ロボットジャケットに付着した汚れを除去して消毒し、常に衛生的に保つことができます。

なお、食品製造業や医薬品製造業で用いられるロボットジャケットは、使用前後の消毒作業が欠かせないため、それ以外のロボットジャケットよりは使用の手間がかかります。

しかし、産業用ロボット本体を消毒するよりは凹凸が少なくパーツに分かれているわけではないため、大幅に消毒作業の手間が減っていると考えられるでしょう。

まとめ

ロボットジャケットは産業用ロボットに装着するカバーのことで、基本的にはロボットメーカーのオリジナルの既製品か、ロボットジャケット専用のメーカーにオーダーで作ってもらいます。

ロボットジャケットを使用することでロボット本体に汚れが付着しにくくなり、作業性低下を防げるだけでなく、メンテナンス費用を抑え、買い替え時期を遅らせるなどの効果を期待できます。

産業用ロボットは非常に高額なので、ロボットジャケットを導入して、ロボット本体を長持ちさせるようにしましょう。

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