産業用ロボットSIer 300社掲載

2022.05.21

老舗ロボットメーカー川崎重工業株式会社の未来のロボットの壮大な展望について伺いました!

川崎重工業株式会社
精密機械・ロボットカンパニー ロボットディビジョン長 執行役員 髙木登様

川崎重工業株式会社のロボット部門の責任者の髙木登様に、今後のロボット業界の展望とロボット部門の成長戦略ついてロボカルの矢部秀一がインタビューさせていただきました。

【インタビューにご協力頂いた方】
川崎重工業株式会社
精密機械・ロボットカンパニー
ロボットディビジョン長
執行役員
髙木 登 様

【会社概要】

商号川崎重工業株式会社
代表取締役代表取締役社⻑執⾏役員、最⾼経営責任者 橋本 康彦
設立1896年
本社兵庫県神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号
事業内容船舶、鉄道車両、航空機、宇宙機器、ジェットエンジン、各種エネルギー設備、
各種舶用機械、プラントエンジニアリング、鉄鋼構造物、モーターサイクル、
レジャー関連機器、各種油圧機器、産業用ロボット等の製造・販売
HPhttps://kawasakirobotics.com/jp/

【川崎重工とロボット部門の強みについて】

ロボカル 矢部秀一:
本日は川崎重工業株式会社のロボット部門の責任者である、髙木登ロボットディビジョン長にお話を伺います。
まず、川崎重工の概要とロボット部門について教えていただけますか。

川崎重工業株式会社 髙木登ロボットディビジョン長:
弊社は1896年に設立した会社で、陸・空輸送システム、エネルギー&マリンエンジニアリング、ロボットや精密機械やモータービークルなどを製造している総合エンジニアリングメーカーです。
ロボット部門は1968年にアメリカのユニメーション社と提携して、日本で初めて産業用ロボットの製造販売を始めました。
最初は自動車メーカーと共に開発に取り組み、主に自動車の組立で使われるスポット溶接用のロボットを開発し、現在でも主力ビジネスになっています。
他にも、電気電子業界や食品医薬業界などの一般産業機械業界向けや半導体ウエハを搬送するクリーンロボットも弊社の主力製品となっています。
2012年からは医療業界にも本格進出し、2013年からはシスメックス株式会社と株式会社メディカロイドという合弁会社を設立しました。
メディカロイドではhinotoriという手術支援ロボットの開発販売をしており、既に200症例以上(2022年4月現在)の手術実績を積み重ねています。
2015年からは人協調ロボットの製造販売も行っており、duAroという双腕型水平多関節ロボットも主力製品にまで成長しました。

ロボカル 矢部秀一: 
総合エンジニアリングメーカーとして様々なビジネスを展開されていますが、ロボットビジネスを展開する上で貴社の強みというのはどのようなところにあるとお考えですか。

川崎重工業株式会社 髙木登ロボットディビジョン長:
様々な製品を作っているので製造現場も多様で、自社の製造現場でロボットを使うチャレンジができることが他社にない強みであると考えます。
現場の生の声を活かしながらロボット開発をすることによってユーザーに寄り添った製品開発ができるからです。
また、全社に跨る技術開発部門があり、他のカンパニーの技術も活かせるところも優位な点です。

【今後のロボット業界の展望について】

ロボカル 矢部秀一:
川崎重工ならではの開発ができるところは魅力的ですね。
労働人口が減っている中で、今後さらにロボット需要が増えてくることが想定されますが、現状のロボットにどのような課題があると思いますか。

川崎重工業株式会社 髙木登ロボットディビジョン長:
確実に高まるロボット需要に対して、普及が進んでいない分野がたくさんあると認識しています。
その理由の1つはロボットを使用するために大きなスペースを準備する必要があることです。
それから、ロボットの繰り返し動作を作るためのティーチング作業が大変なため、多品種少量生産の現場には向かないということです。
人の感覚に頼ったような作業をしているような現場もロボット化がなかなか進んでいません。

ロボカル 矢部秀一:
そのような課題を解決するために、どのようなロボット開発に注力されているのでしょうか。

川崎重工業株式会社 髙木登ロボットディビジョン長:
協働ロボットの「duAro」が1つの例です。弊社のduAroはそうした課題を解決するために開発しました。
衝突検知や速度制限といった「人協調」の規格を満たしているので、安全柵がなくても使用することができ、ティーチングもタブレットで非常に視覚的にわかりやすいようにできるようになっています。
また、人の触感や感覚に頼らないといけないような現場でも、ロボットの開発が進んでいないため、私達はそのような現場では「Successor」というシステムを提案しています。
「Successor」はコミュニケーターというツールをロボットから離れた安全なところから操作して、その動作をそのままロボットが再現し、ロボットがどんどん再現した動作を覚えていくという技術です。
また、ロボットがモノとぶつかっている感覚やモノを削っているときの感覚など、ロボットが感じる感覚をセンサー技術を駆使して、ロボットから離れたところでコミュニケーターを通じて感じることもできます。
また、離れたところからロボットを操作できるので、3K(キツイ、汚い、危険)職場から人を解放することもできます。
ロボットが得意な決められた動きを決められた通りに作業するという動作は自動で行い、人にしかできない感覚を頼りにした作業はコミュニケーターを通じて人が行うという作業分担ができるようになり、オフィスでロボットを遠隔操作して現場作業が完結するという世界を作れると思っています。

ロボカル 矢部秀一:
夢のある世界ですね。様々な分野で新しい技術開発のチャレンジを行っていてとてもおもしろいと感じます。
昨今、DXというトレンドもありますが、ロボット×DXという分野での取り組みもあるのでしょうか。

【ロボットとDXについて】

川崎重工業株式会社 髙木登ロボットディビジョン長:
「RoboCross」というロボットのオープンプラットフォームを作っております。当社のロボットをご使用くださるお客様はもちろん、導入に関わるシステムインテグレーター、センサーメーカー、ベンダーの皆様からデータを集めて、そのデータを使って、価値あるソリューション、サービスを提供する仕組みづくりに取り組んでいます。
私達はこのプラットフォームを使って、データを集め、そこから様々なアプリケーションを生み出し、サービス展開に広げて行くことを目指しています。
「RoboCross」を使うと、集められたデータを用いてロボットシステムの設計やシミュレーションが簡単にできるようになります。その「RoboCross」上のシミュレーションデータと同じものを実際の世界でも再現できる、いわゆる「デジタルツイン」と言われる機能を持たせることを目指します。
その結果、ロボットのシステムインテグレーションが簡単になり、ロボットの導入がより進んでいくと考えています。

ロボカル 矢部秀一:
ロボットのシステムインテグレーションのお手伝いをしているロボカルとしても非常に興味のある分野です。そのような世界を是非早く実現していただきたいです。

川崎重工業株式会社 髙木登ロボットディビジョン長:
みなさんに早く使っていただけるよう開発を進めていますのでご期待ください。

【ヒューマノイドロボットについて】

ロボカル 矢部秀一:
期待しています!
2022年3月の国際ロボット展ではヒューマノイドロボットの「Kaleido」も注目を集めていました。ヒューマノイドロボットはまだ世の中にあまり普及していませんが、そのようなロボットの需要についてどのようにお考えでしょうか。

川崎重工業株式会社 髙木登ロボットディビジョン長:
ヒューマノイドロボットが世の中に普及する日は間違いなく来ます。究極の自動化をするにはヒューマノイドロボットが必要だと考えています。
なぜなら、世の中のモノは人が作業する前提で成り立ってるからです。災害現場などでも活躍する場は広がると考え、自律したロボットの研究を進めています。既に具体的な引合いも頂いており、こちらの開発も加速させていきたいと考えています。

ロボカル 矢部秀一:
川崎重工が夢のある様々な取り組みをしていることがとても良くわかりました。本日はありがとうございました。

【インタビュー】
株式会社ロボカル
技術営業部 責任者 
矢部秀一
早稲田大学国際教養学部卒業後、
川崎重工業株式会社のロボット部門にて海外営業、国内営業を経験。
大手自動車メーカーや電機メーカーなどに向け約10年間で通算2,000台以上のロボットの販売に携わる。
日本の強みである産業用ロボット業界を更に発展させるため、株式会社ロボカルの立ち上げに参画。
ITの力でロボット業界のビジネス活性化を目指す。