産業用ロボットSIer 300社掲載

2023.03.01

冷凍パン製造の大森工業、ロボット導入で作業環境の安全性を確立

大森工業株式会社
製函部 斉藤様
大森工業株式会社本社

【会社概要】大森工業株式会社

商号大森工業株式会社
代表取締役根上 靖晃
設立昭和28年1月14日
本社千葉県千葉市花見川区千種町323
事業内容    金属材料及び金属製品の溶融亜鉛めっき加工、支承、ボイラー、仮設機材、各種金物グレーチング、冷凍機器、造船関連、防音防護壁関連、橋梁関連、鉄道関連、その他)金属表面処理加工、鉄構・製函の製作、工業炉の製造販売及びメンテナンス工事、及び付帯する一切の事業
資本金36,000,000円
従業員数125名(平成30年4月現在)
大森工業冷凍パン
冷凍パン製品http://www.ohmori-kk.co.jp/

ロボカル矢部:

まずはじめに、御社の事業内容についてお願い致します。

斉藤様:

当社は溶融亜鉛メッキ事業を中心に、鉄構事業、製函事業など、日本各地にグループ会社を持って事業活動を行っています。
今回ロボットを導入したのは製氷業・水産業を行う製函事業部です。


製氷業ではコンビニなどで売られている氷や漁港で使う氷を作る容器の製造をしており、水産業は水産会社さんに缶詰や海外への輸出、家畜の餌として使われるイワシやサバなどの小さい魚を凍らせるための冷凍パンと呼ばれる四角い容器の製造を行っています。

その中でも冷凍パンの製造工程にロボットを導入しました。
※冷凍パン…ホテルのビュッフェで使われているようなトレイのさらに底の深い容器

ロボット導入のきっかけ

ロボカル矢部:
ロボット導入のきっかけは何だったんですか?


斉藤様:
私が6年前にメッキ部から製函部に異動した際に、冷凍パンの製造に朝から晩までプレス機の前で同じ作業をひたすら繰り返していました。1日1,500枚ほど製造していたのですが、明らかに人の手での作業が非効率だと感じていました。


その1年後に機械の劣化でオーバーホールの話が挙がりました。冷凍パンの製造には2機のプレス機が必要で、オーバーホールを行うのに1,000万円ほどかかるという状況でしたので、そのタイミングで導入を検討し始めました。

Sier選定からロボット導入までスケジュール

ロボカル矢部:
Sierはどのように探されましたか?

打ち合わせだけで1年の月日

斉藤様:
プレス機が30年以上前のものでメーカーメンテナンス期間が終了していたため、オーバーホールをしのはらプレスさんにお願いしていたんです。その際に自動化についても合わせて相談させていただきました。本当に0からの自動化だったので、打ち合わせだけで1年ほどかかりました。

ロボカル矢部:
時間がかかった要因としては何だったのでしょうか?

斉藤様:
ラインの形態ですね。まず、アームロボットを使うかローラーで流して加工するかで悩んでいましたが、材料を投下してライン上でプレスする過程でワークを上下反転させる必要がありました。反転させずにプレスを行うには専用機を作る必要があり、金額が数億円だったため、アームロボットで反転させてプレスを行うことにしました。プレス機に合わせて
しのはらプレスさんにも何度も足を運んでいただき、親身に相談に乗っていただきました。

導入自体はスムーズに

ロボカル矢部:
発注から導入まではどれくらいかかりましたか?

斉藤様:
1年ほどです。10月に発注して、翌年11月に組み立てが終わりました。
プレス機のオーバーホールにかなり時間を要したため1年間かかりましたが、ロボット自体はもっと早くに導入できたと思います。

ロボカル矢部:
導入から安定稼働までは時間はかかりませんでしたか?

斉藤様:
しのはらプレスさんでオーバーホールが終わったプレス機を並べてロボットのラインを仮組みして、実際に2ヶ月間ほどテストを行い調整していきました。ワークの種類が亜鉛鉄板、ZAM、エコガルの3種類があり、プレス機のオーバーホール後の調整に時間がかかりました。ロボットについてはかなりスムーズに進んだと思います。

ロボカル矢部:
他のSierにはお声がけはされましたか?

斉藤様:
他の取引のある会社さんにもお声がけしましたが、大阪の会社だったので、むしろ近くにあるしのはらプレスさんをおすすめされました。

ロボカル矢部:
ロボット導入にかかった費用はおいくらでしたか?

斉藤様:
プレス機のオーバーホールも含めた全体の金額が2,500万円で、1台450万円のロボットが2台、周辺設備で200万円、合計で1,100万円ほどです。
実際はもっと金額がかかるはずだったのですが、しのはらプレスさんが間違えて可般重量が小さいロボットで見積りをしていたため、こちらとしてはかなり金額が抑えられました。

ロボカル矢部:
補助金は活用されましたか?

斉藤様:
千葉県のものづくり補助金を活用しました。50%補助の最大1,000万円の補助金で、コンサルタントを付けず、自社で申請書を作りました。
自分たちで書くのはとても大変でしたが、それが会社の利益になると思うとやる価値は大きいと思います。

導入メリットたくさん、ロボットが救世主に

ロボカル矢部:
ロボット導入して良かった点を教えてください。

安全性の向上と価値ある人員削減

斉藤様:
もともと3名で作業をしており、そのうち2名がプレス機に付きっきりでしたが、ロボットを2台導入したことで1名まで人員を削減できました。単純作業で、なおかつプレス機の近くで危険も伴う作業だったので、安全性も向上し、さらに人の手をかける必要がなくなったのは会社としてかなり価値があると思います。

なおかつ、設定しておけば休み時間に自動で作業をしてもらえるので、とてもお得感があります。求人を出してもなかなか人が集まらず、人手不足で悩んでいたので、まさに救世主です。
稼働時間は基本的には8:30〜17:00で、残業時は20:00まで稼働しています。社員は19:00までの勤務ですが、ロボットは冷凍パンを重ねていき、ワークが行えなくなるまでの追加の1時間稼働しています。
また、生産が安定したのもとてもありがたかったです。

今までは人によって作業量も違っており、ワークのセットの仕方によっては不良品も生まれていたので、ロボット化でそこが改善されて良かったです。はじめのうちはロボットの設定がズレたまま製造して50枚ほどロスしていたこともありますが、現場での微調整で今ではほとんどなくなりました。

ロボカル矢部:
現場の微調整などはどのようにされていますか?

斉藤様:
工場長が行っています。はじめのうちはしのはらプレスさんにアームの調整などに1、2回来ていただきましたが、その後は自社で細かい調整まで行っています。

ロボカル矢部:
導入の失敗談や苦労した点などはありましたか?

斉藤様:
予め頭で考えていたよりも、周辺設備や安全装置の設置にかなり場所をとることは想定外でしたね。何とか場所を確保して導入したので、そこは事前に調べておけばよかったです。

製造業のロボット化が必須の時代へ

ロボカル矢部:
今後の自動化についてお聞かせください

斉藤様:
今のところは予定していないですね。最後の工程は人の手で行っていますが、細かい部分や最後の仕上げはやはり人の目で見ながら作業をしていくべきだと思います。ほかに導入できそうな工程もありますが、フォークリフトの移動などがあるので、スペースの問題からなかなか難しいという状況です。


温暖化の影響で魚の漁獲量が減っており、それに伴って冷凍パンの出荷枚数が減少しているのが現状です。また、新型コロナウイルスの影響でイベントの中止や飲食店の営業自粛が多く、氷の流通量が減少しているため、製氷工場の設備投資も止まってしまっています。
そのため当社も設備投資をする余裕がなく、今は耐え忍ぶ時だと思って頑張っています。

ロボカル矢部:
最後にこれからロボットを導入しようと思っている企業様に向けて一言お願い致します。

今後の人口不足にも対応できるロボット

斉藤様:
自動化によって人員を削減できるので、非常に効果は大きいと思います。
また、機械は「文句を言わない」「風邪を引かない」「休まない」ので、管理の面から見ても製造業にとっては本当にありがたいですね。

ロボット化、自動化することによって生産性も上がり、人手も減らすことができるということは今後の人口不足を考えると絶対に必要だと思います。

ロボカル矢部:
管理の部分においてもロボットの必要性を感じますね。
本日はありがとうございました。

斉藤様:
ありがとうございました。