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2023.05.12

NC旋盤メーカー26社|種類・特徴解説

世界には非常に多くのNC旋盤メーカーが存在し、メーカー選定に非常に多くの工数がかかると思います。この記事では国内外の主要なNC旋盤のメーカーを紹介します。

総合メーカー

NC旋盤以外にも、マシニングセンタ、複合加工機、レーザー加工機、金属積層造形加工機(金属3Dプリンタ)など様々な工作機械を製造している工作機械メーカーを、「総合メーカー」と呼ぶことがあります。日本には世界を代表する総合メーカーが3社あります。

ヤマザキマザック

ヤマザキマザック株式会社
出典元:ヤマザキマザック株式会社

1919年に製畳機メーカーとして誕生したヤマザキマザックは、海外製工作機械の修理・オーバーホール業でノウハウを蓄積し、1927年から工作機械の製造を始めました。MAZATROLという非常に優れた対話式NC装置をほぼ全機種に搭載しており、その使い勝手の良さから世界の多品種少量の部品生産を支えています。以下に代表的な機種をいくつか列挙します。

QUICK TURNシリーズ

ヤマザキマザック株式会社
出典元:ヤマザキマザック株式会社

ベストセラー横形NC旋盤シリーズです。チャックサイズ5インチ〜18インチまでの小型〜中型機レンジをカバーします。回転工具対応、回転工具+Y軸対応など、加工内容に合わせた幅広いラインナップから、最適な機種を選択することができます。

INTEGREXシリーズ

ヤマザキマザック株式会社
出典元:ヤマザキマザック株式会社

工具台としてタレットではなくミル主軸を搭載している、ベストセラー5軸複合旋盤シリーズです。小型機~中型機レンジでは、ミル主軸カップリング割出方式のINTEGREX jシリーズ(8インチ~12インチ)と、ミル主軸同時5軸制御方式のINTEGREX i-Hシリーズ(6インチ~12インチ)がラインナップされています。大径長尺対応のINTEGREX e-Hシリーズ(15インチ~24インチ、心間4m~8m)、立形タイプのINTEGREX e-Vシリーズ(最大加工径φ1450~φ3500)など、大型ワークにも対応するラインナップの幅広さが、INTEGREXの特徴です。

MEGA TURNシリーズ

ヤマザキマザック株式会社
出典元:ヤマザキマザック株式会社

立旋盤シリーズです。最大加工径φ600〜φ1650までと、立旋盤のなかでは小型機〜中型機に位置します。

M-5シリーズ

ヤマザキマザック株式会社
出典元:ヤマザキマザック株式会社

フラット旋盤シリーズです。最大加工径φ580×最大加工長2985mmと、長尺大径対応の旋盤です。高出力な主軸と、伝統的な角スライド駆動によって、非常に高い剛性を得ることができます。

DMG森精機

1948年に繊維機械メーカーとして誕生した旧 森精機製作所は、有力な旋盤メーカーとして戦後日本の金属加工業を支えました。その後2009年にDMG社と資本業務提携を結び、マシニングセンタのラインナップを大幅強化し、DMG森精機に社名変更しました。

活発なM&Aを行うことも特徴で、DMGの他にも今までに、マグネスケール(計測機器メーカー)、太陽工機(研削盤メーカー)、ワシノ(旋盤メーカー)など様々な工作機械関連メーカーをM&Aしてきました。以下に代表的な機種をいくつか列挙します。

NLXシリーズ

DMG森精機株式会社
出典元:DMG森精機株式会社

NC旋盤シリーズです。6インチ〜24インチまでワークサイズに応じて幅広いラインナップから選択できます。

NTXシリーズ

DMG森精機株式会社
出典元:DMG森精機株式会社

複合旋盤シリーズです。主に中型機レンジをカバーしますが、2022年発売の新型 NTX 500では、6インチサイズの小型ワーク加工にも新たに対応できるようになりました。CELOS NCがもたらす高水準の同時5軸制御により、複雑形状加工に柔軟に対応できる機種です。

WASINOシリーズ

DMG森精機株式会社
出典元:DMG森精機株式会社

汎用旋盤で国内屈指のメーカーだったワシノ機械は、アマダグループを経て2015年にDMG森精機に事業譲渡されました。高い信頼性から多くの工業高校、大学などでも採用されています。

オークマ

LBシリーズ

オークマ株式会社
出典元:オークマ株式会社

ベストセラー横形NC旋盤シリーズです。主に中型機レンジをカバーします。オークマらしい高剛性・高信頼性で日本国内で多くのシェアを獲得しています。

GENOSシリーズ

オークマ株式会社
出典元:オークマ株式会社

LBシリーズと同様、中型の横形NC旋盤シリーズです。台湾工場製でLBシリーズよりも廉価なラインナップで、コストパフォーマンスが高く評価されています。

Vシリーズ

オークマ株式会社
出典元:オークマ株式会社

ベストセラー立形NC旋盤シリーズです。最大加工径φ400〜φ1000と、小型〜中型機レンジをカバーします。

MULTUSシリーズ

オークマ株式会社
出典元:オークマ株式会社

複合旋盤シリーズです。同時5軸制御対応のUシリーズがフラッグシップです。同時4軸制御対応のBシリーズもラインナップしており、加工内容に合わせて柔軟に機種選択できることが特徴です。

MULTUS LASER EXシリーズ

出典元:オークマ株式会社

MULTUS複合旋盤にレーザーヘッドを搭載し、同時5軸切削・研削加工だけでなく、金属積層造形やレーザー焼入れに対応する機種です。

大型機メーカー

加工径φ1000以上の機種を主に取り扱うメーカーをご紹介します。

オーエム製作所

株式会社オーエム製作所
出典元:株式会社オーエム製作所

大型の立形NC旋盤の専業メーカーとして、国内では最も著名なメーカーです。最大加工径φ8000mでカバーし、造船業界やプラント業界向けの大物加工によく用いられています。

唐津プレシジョン

株式会社唐津プレシジョン
出典元:株式会社唐津プレシジョン

1909年に唐津鐵工所として創業した唐津プレシジョンは、大型・長尺横形NC旋盤のメーカーです。戦車や戦艦の砲身の旋削・中ぐりを行う「砲身旋盤」の開発によって、現在まで続く、長尺旋盤メーカーとしての地位を確かなものにしました。第二次世界大戦期の戦艦「大和」の46インチ砲身を加工した旋盤のメーカーとしても著名です。

中型機メーカー

チャックサイズ6インチ〜15インチ程度の中型機種を主に取り扱うメーカーをここではご紹介します。

村田機械

村田機械株式会社
出典元:村田機械株式会社

2つの主軸が正面を向いた正面2軸旋盤で著名です。付属のガントリーローダによって量産ワークの両面加工を同時に行うことができるため、自動車部品メーカーに非常に広く重用されています。分かりやすい動画は下記からご覧になれます。

ムラテックの正面型CNC旋盤の魅力をお伝えします (Official Full ver.)【製品PR動画】

池貝

1889年に創業した池貝は、日本最古の工作機械メーカーの一つです。上海電気集団総公司グループを経て、2014年に台湾の友嘉実業集団グループに入りました。ラインナップは非常に広く、中型横形NC旋盤、立旋盤、最大振りφ2500の大型長尺横形NC旋盤、汎用旋盤などを取り扱っています。

神崎高級工機製作所

株式会社神崎高級工機製作所
出典元:株式会社神崎高級工機製作所

ヤンマーの100%子会社である神崎高級工機製作所は、自動車部品の量産加工分野で強い存在感を有します。ライン構築にも対応しており、ピストン加工機ラインは大手自動車部品メーカーにも導入されています。アルミホイール加工機のNVシリーズは、2タレットを搭載し高効率な加工が可能です。

大日金属工業

大日金属工業株式会社
出典元:大日金属工業株式会社

国内でも数少ないフラット旋盤専業メーカーです。X軸が水平に動くため加工中の視認性が非常に高く、高い使い勝手から長尺ワーク加工に広く用いられています。

シチズンマシナリー

シチズンマシナリー株式会社
出典元:シチズンマシナリー株式会社

シチズン時計の完全子会社であるシチズンマシナリーは、1936年にシチズン時計の工作機械開発製造部門として旋盤の生産を開始し、1982年にシチズン時計から分離独立しました。2007年から同じくNC自動旋盤メーカーであるミヤノと資本業務提携を開始し、日本最大のNC自動旋盤メーカーとして業界で強い存在感を発揮しています。


バーワークに向く主軸台移動形のCincomシリーズと、チャックワークに向く主軸台固定形のMiyanoシリーズの両方をラインナップし、幅広い加工ニーズに応えています。各軸を切削方向に振動させることによって切粉の分断を促進するLFV技術や、摩擦接合によって棒材の残材を削減する技術など、革新的な取り組みも特徴の一つです。

スター精密

スター精密株式会社
出典元:スター精密株式会社

1950年に創業されたスター精密は、当初は腕時計やカメラ部品の製造販売会社でした。1958年にカム式自動旋盤のリリースによって工作機械業界に参入し、今ではスイス式自動旋盤で世界トップシェアを持ちます。独自のスラント型すべり案内面構造によって加工時の振動を抑え、高剛性・高精度な加工に強みがあります。

高松機械工業

高松機械工業株式会社
出典元:高松機械工業株式会社

3インチ〜10インチまでの小型〜中型機レンジで非常に幅広いラインナップを持つメーカーです。省人化システムの展開もあり、小径部品の量産加工に高い使い勝手を発揮します。国内だけでなく、海外の自動車部品量産工場にも、複数台のシステムで導入されている事例もあります。

TAKISAWA

株式会社TAKISAWA
出典元:株式会社TAKISAWA

2022年に滝澤鉄工所から社名変更したTAKISAWAは、6インチ〜28インチまでの中型機〜大型機レンジまで幅広いラインナップを持っています。オープンタイプのTACシリーズが最も著名ですが、2タレット機など高効率機も展開しています。

マザックのINTEGREXなどに類似した、ATCタイプの複合旋盤も近年新たにラインナップし、複合加工分野にも参入しています。また汎用旋盤分野では、ワシノに次ぐ有力メーカーとしても著名で、多くの工業高校や大学に導入されています。

中村留精密工業

中村留精密工業株式会社
出典元:中村留精密工業株式会社

中村留精密工業は、6インチ〜12インチまでの中型機レンジで幅広いラインナップを持っています。複雑な構成の機械が多く、3タレット2スピンドルの機種も選択でき、ニッチな高効率加工ニーズに対応しています。

自動化にも強く、ガントリーローダや機内搬送装置のような一般的な自動化システムだけでなく、ワークストッカの箱兵衛、シャフトローダの前兵衛などユニークな製品開発を行っています。
またNTJ-100は世界でも非常に珍しいタレット旋回型のNC旋盤で、既存のATCタイプの複合旋盤と比較し、圧倒的に工具交換時間を短縮することが可能です。分かりやすい動画は下記でご覧になれます。

NTJ-100 Multi-Tasking Machine

富士精機

株式会社富士精機
出典元:株式会社富士精機

量産用の単能機に強みがある富士精機は、NC旋盤の製造販売も行っています。単軸機だけでなく、ロボット付きなど柔軟な仕様が特徴です。

小型機メーカー

チャックサイズ3インチ〜6インチ程度の小型機種を主に取り扱うメーカーをここではご紹介します。

エグロ

株式会社エグロ
出典元:株式会社エグロ

くし刃旋盤で著名なメーカーです。小物部品加工で強みを発揮するほか、ロボット搭載機もラインナップしており、多品種少量生産から量産まで幅広く対応します。

北村製作所

株式会社北村製作所
出典元:株式会社北村製作所

4インチ〜6インチまでの小物部品向けNC旋盤を展開しています。1897年に精工舎(現在のセイコーグループ)専属の、時計部品加工用小型旋盤メーカーとして、工作機械業界に参入しました。刃物台はくし刃とタレットの両方をラインナップしています。キサゲ加工を施した高品質な機械構成がもたらす、精密・高剛性加工に強みがあります。

嶋田鉄工所

株式会社嶋田鐵工所
出典元:株式会社嶋田鐵工所

ワークを把持するチャックを複数個搭載した、世界的にも珍しい多軸旋盤に強みがあります。8軸旋盤では、最大で7個のワークの旋削加工を一気に行うことができ、小物部品の量産加工に非常に有効です。

西部電機

株式会社西部電機
出典元:株式会社西部電機

4インチ〜6インチまでの小物部品向けくし刃タイプNC旋盤を展開しています。精密加工に強みがあり、分解能0.1μの機種もラインナップしています。

タカハシキカイ

株式会社タカハシキカイ
出典元:株式会社タカハシキカイ

4インチ〜6インチまでの小型部品向けNC旋盤を展開しています。刃物台はくし刃とタレットの両方をラインナップしています。自動車部品だけでなく、光学部品や電子機器部品加工用途にも、多く用いられています。

ツガミ

株式会社ツガミ
出典元:株式会社ツガミ

1923年にゲージブロックの研究会社として創業したツガミは、1957年に「T-2形主軸移動形自動旋盤」をリリースし、自動旋盤業界に参入しました。

対向くし刃や垂直刃物台など、ニッチな刃物台機構をラインナップしています。またガイドブッシュレスで主軸移動形自動旋盤を稼動させる独自技術を持っており、バーワークの加工が平易に実現できます。

野村DS

野村DS株式会社
出典元:野村DS株式会社

φ38までの棒材加工に特化したNC自動盤をラインナップしています。くし刃タイプの小型刃物台により、機械面積が非常にコンパクトなことが特徴です。

長谷川機械製作所

株式会社長谷川機械製作所
出典元:株式会社長谷川機械製作所

4インチ〜6インチまでの小型部品向けNC旋盤を展開しています。刃物台はくし刃とタレットの両方をラインナップしています。最小機種のP15は、4インチチャック搭載機では最小クラスの間口550mmを実現しており、コンパクトな機械サイズが多くの加工メーカーに支持されています。

FUJI

株式会社FUJI
出典元:株式会社FUJI

2018年に富士機械製造から社名変更したFUJIは、ガントリーローダ搭載の量産用機種に定評があります。またモジュール型生産設備のDLFnシリーズは、同一形状のユニットを複数台並べ、材料の搬入から加工、洗浄までを一貫して行うことができます。省スペースかつメンテナンス性の高い量産設備として高い評価を得ています。

外資系メーカー

日本国内に小型〜大型機メーカーが幅広く存在するため、海外のNC旋盤メーカーはほとんど日本に進出できていないのが現状です。日本国内でしばしば名前を聞くことができる海外のNC旋盤メーカーを2社ご紹介します。

Haas Automation

Haas Automation Inc.
出典元:Haas Automation Inc.

アメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置くHaasは、NC旋盤だけでなくマシニングセンタも製造する、工作機械総合メーカーです。サービス拠点の少なさから、日本製マシニングセンターほどの高い信頼性は得られませんが、他メーカーの同サイズ機と比較して20〜40%ほど安価です。

主に中小の加工メーカーさんがスポット的に利用するために導入した事例があります。業界に先駆けてWEBでのオンライン見積システムを導入し、アメリカの広い国土でも着実に顧客を獲得しました。日本ではNKワークスが総代理店として販売・サポートを行っています。

Doosan

Ellision Technologies Inc.
出典元:Ellision Technologies Inc.

韓国のDoosan(斗山)はNC旋盤やマシニングセンタだけでなく、多関節ロボット、発電用ガスタービン、燃料電池などを手がける韓国有数の総合重工メーカーです。一般的なチャッカータイプのNC旋盤のほか、ATCタイプの複合旋盤 SMXシリーズもラインナップしています。

日本での導入実績はまだあまりないと思われますが、工作機械好きの方なら、YouTubeのTITANS of CNC Machiningチャンネルで名前を聞いた方も多いのではないでしょうか。

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NC旋盤を購入するには

コストの画像

様々なNC旋盤メーカーをご紹介しましたが、ここでは実際にNC旋盤を購入する方法をご紹介します。

馴染みの工具販売店

もし既に切削加工を行っている場合は、消耗品、特に切削工具において馴染みの工具販売店があるはずです。彼らは工具の仕入先として大手機械商社・工具商社との関わりがあることがほとんどなので、彼らのルートを使ってご希望のメーカーの営業と繋がることができるはずです。

大手機械商社やSIer

もしこれから切削加工を始める方や、馴染みの工具販売店では繋がれないメーカーの機械をご希望の場合は、大手機械商社に連絡してみることをお勧めします。大手機械商社は多くのメーカーを取り扱っているので、様々なメーカーで比較検討ができます。

またロボットSIerに依頼すれば、自動化システムの提案を受けることもできます。ロボカルでは工作機械と産業用ロボットを組み合わせた、生産現場の自動化が叶です。

まとめ

この記事では国内外のNC旋盤メーカーをご紹介しました。日本国内だけでも非常に多くのNC旋盤メーカーがあるので、最適な機械を選定するのは非常に難しいかもしれません。しかし各メーカーにそれぞれの強みがあるので、この記事が皆様の後悔のないNC旋盤選定の助けになることを願います。

この記事の監修者
古河悟アイキャッチ
古河 悟
外資系IT企業勤務 製造業系ソフトウェア営業

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