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ロボットやAIの進化によって、私たちの未来はどのように変わってゆくのでしょうか。すでに日々の仕事で産業用ロボットを使っていたり、自宅でお掃除ロボットを利用していたりと、ロボットの恩恵を受けている人もいるかもしれません。
本記事は、ロボットの市場規模、ロボットと組み合わされるAI技術、ロボットがもたらす未来のビジョン、シンギュラリティが引き起こす影響などを解説します。ロボットと人間の未来を考える参考にしてください。
ロボットの市場規模
経済産業省の「ロボット産業市場動向調査結果」(2013年7月18日公表)によると、ロボット産業市場が2025年に5.3兆円、2035年に9.7兆円に急成長すると予測しています。
注目すべきは、ロボット産業市場を先導している製造分野以外の成長が著しいと予想されている点です。
ロボットとともに発展するAI技術
ロボットの発展とAI技術は、切っても切れない関係です。人間に例えれば、ロボットが体、AIが頭脳といえるでしょう。
例えば、日常生活では掃除や料理などを多目的に行うAI搭載ロボットの開発が進んでいます。こうした高度な動作にはAI技術が必須です。
コミュニケーションロボットにもAI技術が欠かせません。自然な会話を実現しているのは、「自然言語処理(NLP)」という技術です。NLPとは、AIが大量の話し言葉や書き言葉を学習して、意味を理解して処理できるようにする技術です。NLPは翻訳機能にも応用されています。
ロボットの分類
そもそもロボットとは何でしょうか。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はロボットの定義を次のように述べています。
“センサー、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム”
引⽤: 総務省|ロボットの定義とパートナーロボット
しかし、ロボットの厳密な定義や分類は今のところ定まっておりません。そこでここでは、法律上のロボットの分類である、産業用ロボットとサービスロボットの2種類に分けて概要を解説します。
産業用ロボット
産業用ロボットとは、主に工場で活用されるロボットで、代表的な種類は次のとおりです。
- 垂直多関節ロボット:人間の腕に近い動きをする
- スカラ(水平多関節)ロボット:水平にアームが動作し、先端が上下する
- パラレルリンクロボット:複数のリンク(関節)が並列に構成され、高速で精密な動きが可能
- 直交ロボット:2~3のスライド軸に沿って直線的に動く
産業用ロボットは目的に特化しており、大型で大量生産に適したものが多いのが特徴です。産業用ロボットとして認められるには、JISや労働安全衛生法の規定を満たす必要があります。
ロボットの種類に関してはこちらの記事にも詳しく記載してます。
サービスロボット
サービスロボットは主に人間の動作、活動を支援するロボットです。例えば、自動お掃除ロボットや、犬や猫などのペットの代わりになるペット型ロボットがあります。また、足腰や腕の動きに連動して力仕事をサポートする「パワードウェア」の利用も、一般的になってきました。
サービスロボットは用途がさまざまで、個人利用に向く小型タイプが多いのが特徴です。サービスロボットにはJISや法律の決まりはありません。
ロボットがもたらす未来のビジョン
ロボットは私たちの社会や暮らしを大きく変えるポテンシャルを秘めています。ここでは労働力不足解消や、グローバリゼーションの加速、仕事や生活の充実の3つを解説します。
労働力不足の解消と高齢化社会への浸透
ロボットが人間の仕事を代替・支援することで、労働力を確保できると期待されています。特に日本では、高齢化社会にともなう労働力不足を解消するために、企業が積極的にロボットを導入するだろうと予想されています。
そうした未来では、ロボットは社会に浸透し、人間とともに働くようになるでしょう。例えば、ドローン物流サービス、ロボットタクシー、介護ロボットなどは近未来に普及するとみられています。
グローバリゼーションの加速
ロボットによる翻訳技術が進化すると、グローバル化がいっそう進むとされています。例えば多言語対応のコミュニケーションロボットがあれば、言葉の壁を低くできるでしょう。それによって、国を横断した商売や旅行などが活発になり、グローバリゼーションが進みます。
人の仕事と生活の充実
ロボットは人の仕事と生活を豊かにする役割も期待されています。例えば産業用ロボットは、人間に比べて作業スピードが速く、24時間稼働も可能です。これによって生産性を高めて利益を得やすくなります。また、サービスロボットを使えば、掃除や介護などの負担を減らして、自由な時間を多く持てるようになるでしょう。
シンギュラリティが起こす技術の超高速進化
前述したようにロボットとAI技術は切っても切れない要素です。そのAI技術では、「シンギュラリティ」が起こす技術の超高速進化が予測されています。ここではシンギュラリティとは何か、どのような影響があるのかについて解説します。
シンギュラリティとは?
ロボットがもたらす未来のビジョンを考えるとき、必ずシンギュラリティの問題に行き着きます。シンギュラリティとは、AIが人間の知性を上回ることです。日本語では「技術的特異点」と書かれます。自律的なAIが自らフィードバックによる改善を繰り返すと、人間の知性を超えるシンギュラリティに至ると予測されています。
シンギュラリティは起こるのか?
アメリカの人工知能研究の権威であるレイ・カーツワイル氏によると、シンギュラリティは2045年に起こるとされています。にわかに信じられない人もいるでしょうが、すでに囲碁や将棋の世界では、AIが人間の知能を超えました。ただし、シンギュラリティは仮説にすぎず、否定する専門家もいます。
シンギュラリティが起こるとどうなる?
シンギュラリティ以後の未来では、社会や暮らしにどのような変化が起きているのでしょうか。ここでは不老不死を得る可能性、ベーシックインカム制度の導入の加速、ディストピア化の実現の3つを解説します。
人類が不老不死を手に入れる
シンギュラリティが起こると、脳や臓器の仕組みを完全に解明して、人体の一部をロボット化できると考えられています。これによって不老不死を手に入れられる可能性すらある、と唱える専門家もいます。少なくとも、人間の寿命は伸びることになるでしょう。
ベーシックインカム制度の導入の加速化
ロボットによって労働の一部やすべてが置き換わると、失業率が急上昇する可能性があります。このため、ロボットによる経済活動で得た資金を分配するベーシックインカム制度の導入が加速するだろうと予想されています。
ベーシックインカム制度とは、社会保障によるセーフティーネットの一種で、全国民に一律の金額を継続的に配るのが特徴です。ただし、この制度によって多様なライフスタイルが実現するというポジティブな意見もあります。
社会のディストピア化の可能性
極端な可能性ですが、世界中で議論されているのが社会のディストピア化です。映画「ターミネーター」のようにAIやロボットが人類を滅ぼすと考える人がいます。また、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの小説「1984年」のように、独裁者がテクノロジーを独占して国民を支配するシナリオもあります。
私たちにできることは、ロボットやAIの利活用を冷静に考えることでしょう。すでに世界各国は、人権や社会に配慮した「人間中心のAI社会原則」を検討しています。
まとめ
ロボットは人間の自由時間を増やしたり、生活の利便性を高めたりするなど、多方面での応用が期待されています。ただし、急速な技術進歩にともなう失業や社会のディストピア化などの問題も懸念されています。人に配慮したロボット利用が、豊かな未来をつくりだすために必要です。
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