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2023.04.05

工作機械の修理依頼先は?修理業者8社の比較解説

工作機械が壊れた時、どのような修理業者に依頼すれば良いのか迷ったことはありませんか?本記事では、依頼先別にメリット・デメリットと価格イメージをまとめています。良い修理業者を探している方はぜひご覧ください。

工作機械の修理を依頼するなら

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8種類の修理依頼先について簡単にまとめました。それぞれメリット、デメリット、概算料金を後述します。

依頼先特徴メリットデメリット料金
1. 機械商社馴染みの相談先安心感修理専門ではない要相談
2. 工作機メーカー現行機は確実修理後保証高額¥50,000/1日
3. 制御メーカーNC機器の故障対応修理後保証高額¥20,000/1h
4. 修理専門業者地元密着コスパ良し技術力にムラ¥5,000/1h
5. 中古機械業者購入先ならメーカより割安対応遅い¥10,000/1h
6. オーバーホール業者摩耗による故障高い技術力専門外は不可新品価格1/2
7. 保全代行業者多数の工作機対応本業に集中高額な委託料要相談
8. SIer現場の自動化対応現場のアップデート修理のみは不可要相談
修理先一覧表_ロボカル

1. 機械商社

まずは、工作機を購入した機械商社に連絡をとりましょう。

メリットは馴染みの業者さんならではの安心感がある点、デメリットは修理専門ではないので早期対応が難しい場合がある点です。

料金は機械商社の修理依頼先によって異なるため、事前の問い合わせが必要です。

2.工作機械メーカー

現行品の工作機械の修理であれば、工作機械メーカーが確実です。反対に現行品ではなく古いモデルの場合は、修理対応期間外で修理を断れる場合もあります。

メリットは修理後の保証が受けられる点、デメリットは料金が高い点です。現状確認だけでも、出張対応費として1日5万円以上の基本料金がかかり、さらに出張の旅費も上乗せされます。

3.制御機器メーカー

NC装置などの制御機器部分の故障の場合は、依頼先の選択肢は制御機器メーカーしかありません。制御装置はブラックボックスになっていて、制御機器メーカーにしか修理依頼できない場合がほとんどです。メリットは修理後の補償が受けられる点、デメリットは修理費用が非常に高い点です。費用のイメージは修理費用1時間で2万円プラス交通費、部品代も高額です。ただし保守体制が整っているメーカーが多いのも特徴で、早期対応が期待できます。そのため、保守契約を結んだ方が安くすむ場合もあります。

4.修理専門業者

今は亡きメーカーの汎用工作機の修理や小さな部品が破損した場合などは、修理専門業者が一番料金が安く現実的です。メリットは料金の安さ、技術力が計り知れない点がデメリットとなります。料金は交通費プラス、個人経営で1時間¥5000、専門会社で1時間¥8000が相場です。

多くの修理専門業者の中から、良い依頼先を選ぶにはどうすれば良いでしょうか。まずは交通費を低減させるため近隣の業者を候補にします。探索方法はインターネット以外もご検討下さい。個人で修理を請け負う腕の良いベテラン業者は、ホームページ等での情報発信をしていないことが多いです。そのため、例えば中小企業振興センターなどに問い合わせると近隣の業者を紹介してくれます。そのほか、同業者や次章の中古機械業者に相談してみると、良い業者が見つかる場合があります。

5.中古機械業者

故障した工作機械の購入先が中古機械業者でしたら、まずはそこに相談してみるべきです。メリットとしては、工作機械メーカーより料金を抑えて確実な修理が期待できる点です。逆にデメリットとしては、修理が主業務ではないためにタイムリーな対応が期待できない点です。中古機械業者には懇意にしている修理専門業者がいるはずで、中には修理部門を持っているところもあります。

6.オーバーホール業者

故障の原因がベッドや主軸の摩耗ならば、オーバーホール業者に連絡しましょう。メリットは、確実な修理がメーカーよりは割安に受けられる点です。デメリットはオーバーホール以外の修理箇所は請け負ってくれない点です。料金の目安は新品価格の半分くらいと高額になります。摩耗の度合いによってはほとんど分解し再研磨やきさげという職人作業が必要なためです。場合によっては、程度の良い中古機械を購入した方が安くなります。まずは相談や見積もり依頼をご検討ください。

7.保全代行業者

多数の工作機を保有しているなら、保全を代行する業者に委託するのもご検討ください。メリットは本業に集中できること、デメリットは委託する金額が非常に高額なことです。技術力も高い業者がほとんどですが、個人経営では手が出ない委託料のためか、大手製造業者の間でしか採用されていません。

8.Sler(システムインテグレーター)

故障した工作機を含めた製造設備の改善をしたい場合は、SIerへの相談も検討しましょう。メリットは現場のアップデートが可能な点です。デメリットは単純な工作機修理は請け負ってもらえない点です。料金は得られる提案によります。SIerはFA機器の保全も業務の一部として行っている場合が多く、適切な修理の依頼先を知っています。

コストから考える修理の依頼先

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コストをかけない修理依頼先

一番安い修理依頼先は、個人の修理専門業者です。例えば汎用部品の交換で完了するような修理であれば、わざわざメーカーに修理してもらう必要はありません。逆にメーカーでないと手配できない部品を使う修理が頻発する場合は、工作機械や制御機器メーカーの保守サービスが結果的には安く済みます。

コストのかかる修理依頼先

修理費用が高いのは工作機や制御機器メーカーに依頼する修理です。出張対応費でまず5万円、部品や交換工賃を合わせると数十万円の費用になります。保有する台数によっては、保全代行業者の委託料が一番高くなります。

修理費を抑える工夫

修理費用を安くするには、近隣の業者を選ぶと良いでしょう。出張費(ガソリン・高速・宿泊)を抑えることができるからです。また、保守サービスや機械保険への加入を検討するのも手です。次章の予防保全を取り入れて、故障の発生率を下げることもご検討ください。

良い修理とは

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故障箇所を短期間、低コストで修理するだけが、良い修理とは限りません。故障は改善の機会と受け止めましょう。良い修理を行ってもらえる業者の特徴は次のような提案をしてくれるところです。

レトロフィット

故障した部分を最新の部品に交換することで、現状維持または性能アップなどを図るのを“レトロフィット”と呼びます。もしも故障していない場合でも、使いづらさや性能に不満がある様でしたら、修理業者に相談してみましょう。独自に製作した部品で工作機を改造し、顧客の要望に応える修理業者もあります。

故障診断と対策

故障には物理的な原因があり、それを診断し対策を施すことで故障リスクを低下させます。例えば物理的な干渉による工作機の損壊なら、工作機の設置位置やワーク、刃物のハンドリングが悪い可能性があります。

ベアリングやシャフトの焼き付きであれば、給油切れが原因としてあげられますが、さらに給油切れの原因は給油経路の詰まり、あるいはそもそも給油不足が原因かもしれません。これらの対策としては、設置位置や手順の改善、定期的な清掃や給油をタスクに追加などが挙げられます。

予知保全・予防保全

前述した清掃・給油の日常化や、点検項目を追加し故障の兆候を探ることを“予知保全”といいます。点検にセンサーを取り入れてデータ蓄積やモニタリングをすれば、スマートファクトリー化につながるでしょう。モータの振動診断と工具寿命診断を業務として行っている会社もあります。

故障の原因となる部品の耐用を決めて、故障する前に定期的に交換する”予防保全”という考え方もあります。工作機の場合は、運転のOn/Offスイッチなどが対象になるかもしれません。

効率化

工作機の故障だけに注視せず、現場全体を見渡した改善ポイントを検証して実行するのが効率化です。対象は工作機の設置場所、前後工程とのつながり、人が介在する作業などがあります。

効率化の提案が一番得意なのは、前章でご紹介したSIerです。ただいきなりSIerに相談するのは敷居が高いと感じられたら、株式会社ロボカルにご相談ください。

ロボカルでは1日工場診断を行っています。業界に精通する診断士を派遣して様々な提案を行い、適切なSIerの紹介も可能です。

1日工場診断/ロボカル

まとめ

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工作機械を修理する場合は、故障箇所や予算に応じて、メーカー、修理業者、中古機械業者、オーバーホール業者などから依頼先を選択します。ただし金額の安い修理を依頼するだけが良い修理とは限りません。故障というトラブルをチャンスと捉えて、予知保全、予防保全、工程改善などを導入することもご検討ください。

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