目次
多関節ロボットの架台について紹介します。架台はロボットを固定させるための土台ですが、製品によってさまざまな性能や役割があります。そこで、あなたの会社で導入する産業用ロボットに適した架台が選べるよう詳しく解説します。
・多関節ロボットの架台は振動を抑制する役割がある
・協働ロボットの架台は移動機能や高さ調節機能もついている
・国内外でさまざまなメーカーが架台を販売している
多関節ロボットの架台の役割とは
架台は多関節ロボットがあなたの工場で目的に沿った動作を行わせるために大きな役割を持っています。
具体的には、以下のようなものがあります。
- 外部からの振動を抑える
- ロボットを自在に固定・移動させる
- 高さの調整を行う
- 安全カバーの土台としての役割
外部からの振動を抑える
架台によって、外部から伝わる振動を抑えることができます。工場内ではあらゆる機械が稼働していることで振動が発生します。
そのため、微々たる振動でもロボット本体に伝わることで、動作のずれによる不良品発生・品質の低下やロボット自体の故障要因になりかねません。
トラブルを避けるためにも、架台が必要です。産業用ロボットの架台は高剛性のため、振動を減衰させロボット本体に伝わらないように設計されています。
ロボットを自在に固定・移動させる
ロボットを自在に移動させ、固定できる機能を持っている架台もあります。架台の下に、キャスターとアジャスターが装着されており、生産ラインへのセッティングが非常に簡単です。
キャスターで移動を行い、アジャスターで固定することでロボットの設置場所からずれることを防ぎます。ただし、軽量の協働ロボットや小型ロボット向けの架台のみの機能で、中型や大型ロボットにはありません。
生産ラインのレイアウトを変更なしに産業用ロボットを導入したい工場に最適です。
高さの調整を行う
こちらも、協働ロボットや小型ロボット用の架台が持っている機能ですが、高さを調整することができます。
工具さえあれば誰でも簡単に調節できるため、はじめてロボットを導入した人でも扱うことができるでしょう。高さの違う生産ラインがある工場におすすめです。
安全柵の土台としての役割も
小型ロボットの場合に限りますが、安全柵の土台にもなります。
産業用ロボットは一般的に安全柵が必要です。協働ロボットだとしてもリスクアセスメントの結果で人に危害を加える可能性があると判断された場合は設置しなければなりません。
そこで、架台によりますが、安全柵及び安全カバーを設置できるものが販売されています。安全柵の中には、透明なカバーでおおわれているものもあり、安全を確保しながらロボットの動作を確認できます。
多関節ロボットの架台の関連メーカー
多関節ロボットの架台は国内外問わず多くの会社で作られており、各メーカーの製品ごとに特徴があるので詳しく見ていきましょう。
エヌアイシー・オートテック
エヌアイシー・オートテックは東京都に本社が置かれている企業です。アルファフレームという独自のアルミ素材やそれを使った製品とFA装置、クリーン装置などの産業機器を中心に製造・販売を行っています。
同社の小型ロボット用のアルミ架台「アルファキット」は安全性の高さと剛性の高さが特徴で、ロボットのあらゆる動作に対応します。ロボットの取り付けのための設計や加工が必要ないため、届いた直後に架台の組立が可能です。
ミスミ
ミスミは東京都に本社がある企業です。さまざまな工具や機械部品、電子部品、消耗品を販売しています。コストパフォーマンスの高さに強みを持っています。
同社ではあらゆる国内主要メーカーに対応している産業用ロボットスタンドがラインナップ。すでに取付穴が加工されているため、高さだけの指定で購入できます。
高津伝動精機株式会社
高津伝動精機株式会社は産業設備機器を取り扱う専門商社で東京に本社があります。主にモーターなどの駆動機器、ベアリングやリニアシャフトなどの産業設備に必要な機械部品を取り扱っています。
同社のロボットベースはレオンアルミ社が製造しており、振動の吸収力が強く、アルミ合金製のため耐食性が強いのが特徴です。バリエーションが豊富で、大型ロボット専用架台からキャスター付きの協働ロボット専用架台まであります。
鍋屋バイテック
鍋屋バイテックは岐阜県に本社があるメーカーです。伝動・制御・位置決め・ハンドリングのための機械要素部品の開発・製造を行っています。
鍋屋バイテックのロボットスタンドは、可搬重量7kg~14kgのロボットに対応。ロボットベースの面は位置決めのための突き当て部があり、簡単に設置することができます。6万円からの購入が可能です。
レステックス
レステックスは千葉県が本社のシステムインテグレータ会社。3DCAD、CAEを用いて最適な製造工程の構築を行い、開発コストの削減や生産性の向上を実現します。
レステックスが開発した協働ロボットと架台が一体化した「TMーREXシリーズ」は昇降機能がついており、あらゆる状況に対応できます。キャスター、アジャスターによりどこでも移動・設置が可能です。
EasyRobotics
EasyRoboticsはデンマークに本社のあるメーカーです。完全自動CNC旋盤などを中心に、コストパフォーマンスの高い製品を開発しています。
同社の「ER5 MobileCobotPlatform」は、簡単に持ち運びができる小型の架台です。ユニバーサルロボット社の協働ロボットに対応しています。調節可能なフットスタンドが取り付けられているため、安定性に優れています。
株式会社リバーシス
株式会社リバーシスは広島が本社のシステムインテグレータ会社です。システムの設計から本稼働、保守点検を一貫して行う強みを持っています。
完全自動化のための生産ライン改善や新規のロボットシステム構築を行い、工場の生産効率や安全化に貢献します。
同社では3種類の協働ロボット専用架台がラインナップ。キャスターとアジャスターがついている架台、昇降機能付きの架台、三菱電機の協働ロボットMELFS ASSISTA専用の架台が販売されています。
昇降機能は電動工具で任意の高さに設定できるため、調節が簡単です。
まとめ
産業用ロボットの架台について紹介しました。架台は制振や高さや位置調整など大きな役割を持っています。さまざまなメーカーが製造販売しており、それぞれの製品で特徴があるため、あなたの工場に適した架台を選ぶ必要があります。
しかしながら、初めて導入する方はどれを選べばいいかわからないと悩むかもしれません。その場合は、一度システムインテグレータ企業に相談することをおすすめします。