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天吊り型のスカラロボットについて紹介します。天吊り型には一般的なスカラロボットよりも優れた点があり、使い方次第で非常に生産性を高めることができます。今回は各メーカーの取り扱っている製品についても解説しますので是非最後までお読みください。
・天吊り型スカラロボットは全範囲での作業が可能で省スペース性に優れている
・さまざまな国内メーカーが天吊り型スカラロボットを販売している
・普通のスカラロボットをオプションで天吊り型できる場合もある
天吊り型スカラロボットの特徴とは
スカラロボットの中でも天井に設置するタイプの「天吊り型ロボット」にはさまざまな特徴があります。
具体的には以下のような特徴があるので詳しく見ていきましょう。
- 全範囲での作業が可能
- 省スペースでの設置が可能
全範囲での作業が可能
天吊り型スカラロボットは360°全範囲での作業が可能になります。
通常のスカラロボットではモーターの回転の上限やアームの長さによって中心部など一部の範囲がアクセスできません。また、動作領域の限界によって移動できる方向が限られており、別の位置へのアクセスに時間がかかる場合があります。
しかしながら、天吊り型では全範囲に対応でき、中心部のアクセスも可能です。中心部を通ることができるため、無駄のないアクセスが可能となり、サイクルタイムの短縮を実現します。
省スペースでの設置が可能
通常のスカラロボットと比較すると省スペースでの設置ができます。
通常タイプの場合は床に設置するため、ある程度場所の確保をしなければなりませんが、天吊り型は同クラスでも比較的省スペースで設置が可能になります。
狭いスペースを有効利用したい人は天吊り型のスカラロボットをおすすめします。
天吊りタイプのスカラロボット7選
天吊りタイプのスカラロボットを製造しているメーカーによって製品の特徴が違います。
そこで今回は以下の7つのロボットを紹介します。
- 水平多関節系天吊りタイプロボット|三菱電機
- IX-HNNシリーズ|IAI
- AR-Tシリーズ|平田機工
- RSシリーズ|セイコーエプソン
- THシリーズ|芝浦機械
- 全方位スカラロボット YK-TW|ヤマハ発動機
- ウィングスライサー型ロボット EZ03|不二越
水平多関節系天吊りタイプロボット|三菱電機
省スペース天吊り設置型の水平多関節形ロボットです。三菱電機の水平多関節系天吊りタイプロボットは省スペースでの設置が可能なスカラロボット。
可搬重量が3kgであるため、電子機器や精密機器の搬送、組立など軽量物を対象にあらゆる用途で利用できます。先端にはハンドの配管内装経路が装備されており、配管の配列が容易で整理しやすくなっています。
コンパクトなシステムを立ち上げたい場合、作動範囲の制限をしてくれる機能も搭載されているため、範囲外に飛び出すことがありません。他の設備と衝突することなく扱え、生産ラインのトラブルを防ぎます。
IX-HNNシリーズ|アイエイアイ
アイエイアイのIX-HNNシリーズは高速性と高精度が特徴の天吊り型スカラロボット。スピーディな搬送を実現し、サイクルタイムの短縮に貢献します。
豊富なバリエーションがあり、アーム長が500mm~800mm、最大可搬重量が20kgまでと、用途や設置スペースに合わせたロボットの導入が可能です。
AR-Tシリーズ|平田機工
平田機工のAR-Tシリーズは汎用性の高い天吊りタイプのスカラロボット。最適な速度を自動で設定してくれるため、滑らかに動きサイクルタイムを短縮してくれます。ワークを持つハンドにかかる負荷を軽減できるように動作するため、壊れにくいのも特徴的です。
ツールによって、オフラインティーチングができ、事前にトラブルを回避するためのシステム構築を行います。他にも、他の設備との衝突回避機能やティーチングの支援機能で初心者でも操作が難しくありません。
RSシリーズ|セイコーエプソン
セイコーエプソンのRSシリーズは自由度の高い旋回アームを採用していることが特徴のスカラロボットです。高速運搬や精度が求められる作業に強く、あらゆる用途に対応できます。
アームの長さ・可搬重量が350mm・3kgの「RS3」と550mm・4kg「RS4」が販売されており、どちらも省スペース性に強みがあります。
THシリーズ|芝浦機械
芝浦機械のTHシリーズは通常のスカラロボットですが、オプションで天吊りタイプに変更できます。アーム長180mm、最大可搬質量2kgの小型から、アーム長1200mm、最大可搬質量20kgの大型スカラロボットがあります。
THシリーズは多彩なオプションに強みを持っており、防滴防塵機能やクリーンルーム対応機能を追加することができます。そのため、あなたの工場の用途によって最適なカスタマイズを行うことが可能です。
全方位スカラロボット YK-TW|ヤマハ発動機
ヤマハ発動機の全方位スカラロボット YK-TWはパラレルリンクロボットよりも精度の高い繰り返し作業ができるスカラロボット。下方1000mmの全領域にアクセスでき、軽量で高剛性のため、広いエリアで作業が可能です。
サイクルタイムも速いため、生産性向上に貢献します。また、オプションで専用架台も用意されているため、強度計算の必要がなく、簡単に取り付けられ生産ライン立ち上げの工数削減に貢献します。
ウィングスライサー型ロボット EZ03|不二越
不二越のEZ03は第一軸に独自の上下機構を採用した天吊り型ロボットです。スピーディな動作を行うことができ、さまざまな用途で利用できます。
EZ03は上下ストロークが150mmと250mmの2種類がラインナップ。省スペースでの設置が可能なため、通常のスカラロボとよりもシステム構築の構築が簡単です。
また、中央部へのアクセスが可能なため、サイクルタイムの短縮を実現できます。
まとめ
天吊り型のスカラロボットについて紹介しました。通常のスカラロボットよりも省スペースでの設置が可能で動作領域が広いため、用途によっては天吊り型を導入することをおすすめします。
また、どのロボットを選べばいいかわからない場合はシステムインテグレータ会社に相談することをおすすめします。最適なロボットを導入するために一度依頼してみましょう。