目次
QCとは品質管理のことを指し、製造業では非常に重要なものです。品質管理を推進していく社内活動として「QCサークル活動」が設けられている会社も多いでしょう。QCとは何か、QCサークル活動によってどんなメリットがあるのか解説します。
・QCとは品質管理のこと
・製造業ではQCサークル活動を実施していることがある
・QCサークル活動を通して品質向上や目標意識の向上を目指すことができる
QCとは
QCとは「Quality Control」の略称で、日本語では「品質管理」を意味します。製品を完成品として送り出す前に検査を行うことを差し、規格や機能が求められたものなのかを確認する行為でもあります。QCを丁寧に行うことで、消費者は不安を感じずに製品を利用できるようになるでしょう。
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QCストーリー(問題解決ストーリー)の流れ
品質管理は、「QCストーリー」と呼ばれる問題解決の流れに沿って進めていきます。QCストーリーは次の7つのステップから成り立ちます。
- ①改善対象を決める
- ②事実の確認
- ③目標の設定
- ④原因の分析
- ⑤対策立案・実施
- ⑥効果の測定
- ⑦再発防止の仕組み作り
①改善対象を決める
まずは品質管理において、改善したい対象を決めます。その場の思いつきにならないよう、一定の基準を定めておくと偏りのない改善が実現できるでしょう。
②事実の確認
次は品質管理する上で問題となっている事実に向き合います。
③目標の設定
問題に向き合った上で、品質管理を実施することでどこまでクオリティを向上させたいのか、具体的な目標を定めます。
例えば「欠陥品を減らしたい」のような漠然とした目標ではQCを実施することは困難です。「不良品率を0.01%以下に抑えたい」のように数字として提示できる目標を設定しましょう。
④原因の分析
なぜ品質管理が必要な状態になったのか、原因を分析していきます。原因はひとつとは限らないため、幅広い視点で分析することが大切です。
⑤対策立案・実施
QCを進めていくうえで、具体的にどのような方法を取ることができるのかプランニングします。プランをQCに関わるすべての人と共有し、実施していきます。
⑥効果の測定
QCのプランを実施したことで、実際にクオリティは向上したのか、効果を数値で見える化し評価します。
また、最初に設定した目標を到達したのかも確認します。思うような効果が得られていないときは、④の原因分析から再度繰り返します。
⑦再発防止の仕組み作り
クオリティがQC実施前に戻らないように、再発防止の仕組みを考案し、実施していきます。
QCサークル活動とは
QCは一人では実現不可能です。作業に関わる人々が協力し、QCストーリーに沿って実施していく必要があります。
QCを行うグループを「QCサークル」、その活動を「QCサークル活動」と呼びます。
- 作業員が品質向上の施策を議論する活動
- 全国規模で行われている活動
作業員が品質向上の施策を議論する活動
QCサークル活動では、実際にQCストーリーに沿って品質管理を行うだけでなく、品質管理に関わるさまざまな事柄を学び、知識を共有します。また、習得した知識やスキルを身近な分野の品質管理に適用して、QCの実力を養成します。
QCサークル活動では、企業の品質管理に携わるさまざまな人が参加します。
例えば工場の現場で働く作業員や検品スタッフ、出荷管理を行う人なども、それぞれの立場からQCに取り組んでいきます。
全国規模で行われている活動
QCサークル活動は、一つひとつは数人の小さな集まりですが、全国規模でも実施しています。
1963年5月に仙台で「第1回QCサークル大会」が開催され、2008年5月には第5000回を迎えています。この大会は、品質管理の普及目的で1962年に発刊された「現場とQC」という雑誌の編集委員長が全国規模のQCサークル活動をしてほしいと呼びかけたことがきっかけと言われています。
QCを進めていくことのメリット
QCをサークル活動でおこなうことには多くのメリットがあります。主なメリットを3つ紹介します。
- 社員が主体的に考えて行動するようになる
- 社員が仕事にやりがいを感じるようになる
- チームに協調性が生まれる
社員が主体的に考えて行動するようになる
QCサークル活動は、社員が主体的に考えるきっかけとなります。基本的には数人で構成される小グループのため、立場に関係なく発言しやすいこともQCサークル活動のメリットです。
社員が仕事にやりがいを感じるようになる
QCサークル活動を通して、品質管理に対する意欲が生まれます。工場の作業は単調になりがちですが、QCに取り組むことで目的意識を持って作業を行えるようになるでしょう。
また、企業の製品を向上させるという目標が生まれることで、仕事に対するプライドも持ちやすくなります。
チームに協調性が生まれる
QCサークル活動を通して、チームの団結力が高まります。工場のライン業務だけではなかなか団結力は生まれにくく、それぞれが自分のパートのみに専念してしまいがちです。
しかし、サークル活動を実践することで、自分が担当する作業が大きな流れの中の一部と言うことを意識するようになり、協力して良い製品をつくっていくことに対する情熱が生まれます。
QC活動が失敗するよくある理由
QC活動が失敗するときには、大抵似たような理由が潜んでいます。主な理由を3つ紹介します。
- 業務に役立っている実感を持てないから
- ノウハウの活用が難しいから
- 平常の業務が忙しいから
業務に役立っている実感を持てないから
QC活動を行っている人自身が、QCの大切さや自分の行為の意義を理解していないと、継続することが難しくなり、結局目標を到達できなくなってしまいます。
業務に役立っている実感を持ちにくいときは、まずは実現可能な目標を設定し、小さな達成を何度も繰り返すことで意欲を引き出すことができるでしょう。
ノウハウの活用が難しいから
QCの工程やノウハウの活用が複雑なときは、つい細部までの正確な実施がおろそかになりがちです。QCのプランを立てるときは、工程が多すぎないこと、複雑になり過ぎないことを心掛けましょう。
平常の業務が忙しいから
平常の業務だけでも忙しい場合は、業務外の活動となるQC活動にまで集中することはできないでしょう。
QCに取り組むことは、社員一人の利益ではなく企業全体の利益につながります。会社側と話し合って、業務や活動時間の調整を行うことも検討してみましょう。
QC活動を続けるためのポイント
QC活動は目標を到達すれば終わりではありません。より高い目標を設定することや、他の品質管理に着目することもできます。QC活動を続けていくためのポイントを3つ紹介します。
- 適切な活動の頻度や時間を設定する
- 負担の少ない役割分担にする
- 活動への参加が目的にならないように意識する
適切な活動の頻度や時間を設定する
QC活動の時間や機会が多すぎると、作業を行う一人ひとりにとって負担となり、続けにくくなります。活動の頻度や時間を無理のない範囲で設定しましょう。
負担の少ない役割分担にする
特定の社員にQC活動の負担がかかると、QC活動を継続することが困難になります。QC活動の作業を分担して、一人ひとりの負担を軽減しましょう。
活動への参加が目的にならないように意識する
QC活動は参加することに意義があるのではなく、実践に意義があります。あまりにも活動が頻繁なときや参加することに重きを置く場合は、メンバー自身にとっても参加自体が目的になり、「品質管理をする」という本来の目的を忘れてしまいます。
まとめ
品質管理に取り組むことで、単調になりがちな作業に目的意識が生まれます。また、本来の「製品の質を高める」ことの実現にも大きな意味があります。高品質な製品を安定して製造するためにも、QCサークル活動を推進し、QCに取り組むことができるでしょう。