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2021.02.28

射出成形とはどのような技法?手順やバリエーションも紹介

「射出成形」とはプラスチックやウレタン素材のものを製造する際に欠かせない技法です。どのような手順でつくるのか、またどのようなバリエーションがあるのかについて紹介します。

この記事の結論

射出成形とは金型に溶解物を射出によって流し込み高圧で成形する技法のこと
・プラスチック製品の成形時に使用されることが一般的
・熱硬化性のある樹脂などの特別な素材に合わせた射出成形法もある

射出成形とは

射出成形(しゃしゅつせいけい)とは、高温に溶かしたものを金型に入れて冷やし、また高圧をかけることで成形する技法です。注射器で注入するように金型に入れることから、「射出」という言葉が使用されます。

射出成形は、広く利用される製造法です。例えばスマートフォンの外側のケースや、ブルーレイディスク、フィギュア、ハサミの取っ手など、プラスチック等の溶かして固めることができる素材でできているものの多くは、射出成形によってつくられています。

射出成形機の構造

射出成形を行う機械を「射出成形機」と言います。射出成形機は材料を射出ユニットの前方(金型に近い部分)へと送り込む「駆動装置」と、材料を加熱し射出可能な状態にする「射出ユニット」、金型で成形するための「型締めユニット」の3つの部分から成ります。

  • 駆動装置
  • 射出ユニット
  • 型締めユニット
引用元:https://minsaku.com/category01/post217/

射出成形の手順

射出成形の手順は材料の特性によって異なることがあります。ここでは熱によって溶け、冷やすと固まる一般的なプラスチックを使った射出成形の手順を紹介します。

  • ①材料の準備
  • ②型締め
  • ③射出
  • ④保圧
  • ⑤冷却
  • ⑥可塑化
  • ⑦型開き
  • ⑧製品の取り出し

①材料の準備

まず材料を溶かす準備をします。材料は「ホッパー」と呼ばれる装置内に一旦蓄積され、少しずつ射出ユニットに供給されて、駆動装置によって射出ユニットの加熱部分に送り込まれます。

②型締め

金型は、装置と一体型になった「固定側」と射出した材料を押して形を整える「可動側」の2つの部分から成ります。金型の固定側に可動側を合わせ、型締めを行います。

③射出

溶かした材料を金型内に射出します。

④保圧

射出した材料が固まりやすい圧力に金型を保ちます。

⑤冷却

熱硬化性樹脂等の特殊な材料を除き、冷却して固めます。

⑥可塑化

次の射出に向けて、材料を射出ユニットに送り込み、温めて溶かしておきます。

⑦型開き

冷却して十分に固まったことを確認してから、型の可動側を開きます。

⑧製品の取り出し

製品を取り出します。金型は片方が固定されているため、エジェクタピンと呼ばれる針で刺して取り出します。

射出成形を行う際の注意点

射出成形を行う際には、次のポイントに注意をしましょう。

  • ペレットはホッパーから落ちやすいものを選ぶ
  • 成形品のクラックに注意する
  • 検品は一定時間後に行う
  • 成形品の寸法変化に注意する

ペレットはホッパーから落ちやすいものを選ぶ

ペレット(粒状にした材料)はホッパー(ペレットを入れておく容器)から落ちやすいものを選びます。引っかかりがあるとスムーズに可塑化(かそか、溶かすこと)、射出が進みません。

成形品のクラックに注意する

固める際に保圧をしているため、金型から成形品を取り出すときに残留応力によりクラック(ひび割れ)が入ることがあります。取り出す際には慎重に行いましょう。

検品は一定時間後に行う

成形までに温度や圧力を何度も変えているため、でき上がったばかりの製品と、一定時間たった後の商品でサイズが変わることがあります。少し放置し、温度・圧力ともに落ち着いてから検品を行いましょう。

成形品の寸法変化に注意する

材料の種類によっては、水分を含んでサイズが変わることがあります。特にポリアミドは吸水力が高いため注意が必要です。

素材に合わせた特殊な射出成形法

一般的なプラスチック製品は、紹介した基本の射出成形で成形することができます。しかし、熱硬化性樹脂やウレタン樹脂などは特別な射出成形方法を用います。

  • 熱硬化性樹脂の射出成形法
  • 低圧成形法
  • 射出圧縮成形法
  • ガスアシスト射出成形法
  • 反応射出成形法
  • 二色射出成形法
  • インモールド射出成形法

熱硬化性樹脂の射出成形法

加熱によって固まる熱硬化性樹脂は、シリンダ内で流動性が生じる程度に樹脂を加熱し、金型内を硬化可能な温度に維持してから射出します。すぐに硬化が始まるため、可塑化した材料をスクリューを用いて圧縮します。

なお、射出速度が速すぎる場合は、摩擦によって生じた熱で硬化することがあります。反対に射出速度が遅すぎると流動性に欠け、金型内に均一に広がらないこともあるので注意が必要です。

低圧成形法

高圧で可塑化した材料を射出すると、成形不良が起こりやすくなります。そのため、意図的に射出時の圧力を低め、不良率の低下を図る「低圧成形法」が用いられることもあります。

ただし、低圧成形法を用いる際には、通常の射出速度では成形品にヨレやズレが生じる恐れがあります。射出速度の最適化を行い、成形異常の削減を図る必要があるでしょう。

射出圧縮成形法

射出成形の技法に圧縮成形をプラスした技法を「射出圧縮成形法」と呼びます。熱融解性のある樹脂をキャビティと呼ばれる容器に射出し、キャビティの上から圧力を加えて成形します。

射出成形法と比べるとゆがみやひずみが生じにくいため、光学レンズやレーザーディスクなどのゆがみが許容されない製品を作成する際に用いられることが多いです。また、材料が固まるまで待たずに圧縮するため、生産スピードが上がるというメリットもあります。

ガスアシスト射出成形法

「ガスアシスト射出成形法」とは、キャビティに樹脂を射出した後で、圧力を加えた状態の不活性ガスを注入し、成形品の内部に空洞をつくる方法です。フィギュアやおもちゃなどの軽量化が求められる製品に私用されます。

ただし、不活性ガスの動きをコントロールすることが難しく、成形品の厚みが不均一になりがちです。

反応射出成形法

複数の低分子量かつ定年殿物質を混合し、金型内に射出して成形する方法を「反応射出成形法」と呼びます。元々はポリウレタンを成形するための技法です。

射出は低圧力で実施するので、金属製だけでなく樹脂製の型を用いることができます。樹脂のほうが金属よりも原料費が安いため、安価に型を作製できるというメリットがあります。

また、サイズの大きな型を作成することもでき、幅広い用途に使われています。

二色射出成形法

金型を2つ、射出ユニットも2つ用いて成形品を作成する方法を「二色射出成形法」と呼びます。2つの異なる材料を用いて成形できるため、組み立ての工程を減らせるというメリットがあります。

インモールド射出成形法

金型内に印刷済みのフィルムを挿入した後で射出成形を実施する方法を「インモールド射出成形法」と呼びます。成形すると同時にフィルムが表面に付着するため、色付けや飾りつけの工程を省くことができます。

まとめ

射出成形法はプラスチック以外にも、ポリウレタンなどの溶解できる材料を成形するためによく用いられる技法です。基本の射出成形法以外にもさまざまな技法があります。材料の特性や求めている品質、削減したい工程などによって適した技法を選択するようにしましょう。

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