目次
自動機器とは、単純作業や工程間作業を機械におこなわせるための装置のことを指します。自動機器を利用することで何ができるようになるのか、また、自動機器を導入するメリット・デメリットについて解説します。
・自動機器とは単純作業や工程間作業を機械に行わせるための装置のこと
・導入することで作業員の負担が減り品質向上を図ることができる
・自動機器には導入時に多額の費用がかかるというデメリットもある
自動機器とは
「自動機器」、あるいは「自動機」とは、元々は人が行っていた作業を機械に行わせる設備や装置を指す言葉です。搬送や加工、組み立てなどの製造業に必要なほとんどすべての作業は自動機器も行うことができます。
1つだけの工程を担当する自動機器だけでなく、複数の工程を組み合わせて担当する自動機器もあります。1つの工程をおこなうものを「シングルステーション専用機」、複数の工程をおこなうものを「マルチステーション専用機」と呼びます。
自動機器は作業の内容や大きさ、スピードなどに合わせてオーダーメイドされます。そのため、自動機器を導入する際には、依頼から設計、製造、搬入の過程を踏む必要があり、設置して利用できるようになるまでに少し時間がかかります。
なお、オーダーしてから設置までの時間は、自動機器の作業内容や大きさ、台数、自動機器メーカーの混み具合によっても変わります。
自動機器でできること
では、自動機器でできる主な6つの作業について見ていきましょう。
- 搬送
- 供給・位置決め
- 排出
- 加工
- 組み立て
- 検品
搬送
製品を別の過程に「搬送」する作業を自動機器が担当します。製造過程に沿って、レーン間の移送を行う搬送作業は、製造をスムーズに行うために不可欠な作業です。
また、同じ過程の中でも、作業しやすいように製造途中の製品を自動機器によって移動させることもあります。いずれも人力でするよりも時間を短縮でき、また、取りこぼしが減るため、作業効率向上につながります。
供給・位置決め
作業しやすいように適切な位置にものを置く「供給」も、自動機器によって担当可能です。また、梱包しやすいように整列させる「位置決め」も自動機による自動化(機械化)が可能です。
排出
作業が終わったものを適切にレーンから外す「排出」も自動機器による作業が可能です。また、検品を行い不良品と判断されたものを出荷しないように「排出」する作業も担当することがあります。
加工
自動機器で、製品を切り出したり、研磨、切断、貼り付け、剥離などの「加工」を行ったりします。それぞれ別の自動機器が担当しますが、マルチステーション専用機ならば、ひとつの作業場で2つ以上の加工作業を行うことも可能で、工場の省スペース化にもつながります。
組み立て
部品を「組み立てる作業」も、自動機器が担当します。シーリング材の塗布、接着、塗装、ネジ締めなどを行います。また、電動シリンダを用いて接着や圧入作業を行うこともあります。
検品
規定を満たしていない製品がないか「検品作業」を自動機器で行います。サイズにばらつきが生じてはいけない製品に関しては、寸法測定作業も実施します。
自動機器を導入するメリット・デメリット
自動機器の導入あるいは自動化(機械化)によりどのようなメリットがあるのでしょうか。また、起こり得るデメリットについても紹介します。
メリット
自動機器の導入による主な4つのメリットについて見ていきましょう。
作業員の負担が少なくなる
自動機器の導入で、重労働を伴う作業を回避することができます。作業がきつい、立地が悪い、給料が低いなどで人手不足が深刻な業界では、重労働をしなくても良いということは労働者に大きくアピールできます。現在、人手不足が顕著な業界でも、自動機器を導入することで労働者を集めやすくなるでしょう。
また、作業の大部分を自動機器が担うことで、今までよりも作業人員を減らすこともできます。今後ますます人口減と高齢化のため労働人口が減少すると考えられています。自動化(機械化)により作業人員を減らしておくことで、人材不足の時代を乗り切ることができるでしょう。
危険な作業を減らせる
接着剤から発生する有毒物質を吸い込む恐れがある作業や、カッターや圧縮機を使用するなどの危険を伴う作業を自動機器に担当させることで、人体に及ぶ危険を回避しやすくなります。
危険な作業が多いと人材不足に陥りやすいですが、安全な作業のみを人間が担当できる職場ならば、労働者にアピールすることができるでしょう。
作業効率の向上
単純な作業を自動機器に任せることで、作業効率が向上します。生産量増加が見込め、利益増大の可能性も高まるでしょう。また、人間とは異なり、自動機器は1日にほぼ24時間働くことも可能です。稼働時間が増えることでも、生産量増加が見込めます。
品質の向上
自動機器を導入することで、品質のばらつきが減ります。さらに検品作業も自動化(機械化)することで、粗悪品の見落としが減り、企業の信頼性向上につながるでしょう。
また、粗悪品が減るということは、無駄になる原料が減り、1つあたりの生産コストも減るということです。より一層効率の良い生産体制を構築できます。
デメリット
自動機器を導入することで、注意すべき点もいくつかあります。その中でも次の3つは特に注意が必要です。
多額の初期投資が必要
自動機器は決して安価ではありません。また、工場全体に導入する場合、必要となる台数も多く、多額の初期投資が必要となるでしょう。自動機器は基本的にはオーダーメイドなので、既製品を導入するよりもさらに高額になる傾向があります。
小ロットの生産用に既製品を導入する場合は、自動機器自体の単価は安くなります。しかし、製造できる量が少ないため、初期投資費用を回収できるまでに長い期間がかかることもあります。
定期的なメンテナンスやトラブル対応が必要
自動機器はいつまでも問題なく稼働できるというものではありません。トラブルが起こらないように、定期的なメンテナンスが必要です。また、万が一トラブルが起こったときに迅速に対応できるようにしておかないと、作業が全面的にストップしてしまうことにもなりかねません。
メンテナンスやトラブルに対応できるスタッフがいるならば問題は減りますが、経験あるスタッフを確保することは容易ではありません。トラブル時にすぐに対応スタッフを呼ぶルートを明確にしておく必要があるといえるでしょう。
操作・管理する人員が必要
自動機器を導入すると、操作や管理をおこなうスタッフが必要になります。そのため、講習会などの特別教育が必要になるでしょう。新たな雇用や解雇が発生するため、自動機器を導入した時点には問題を多く抱える可能性があります。
自動化(機械化)や自動機器のメリット・デメリットについて
自動機器を導入することで、手間のかかる作業や危険な作業などを自動化(機械化)することが可能です。また、製品の品質向上も図れます。いくつか注意すべき点はありますが、労働者の確保に悩んでいる方は、ぜひ自動機器の導入を考えてみてはいかがでしょうか。