産業用ロボットSIer 300社掲載

2023.03.20

専用機械とは?種類や導入メリットと代表的メーカーを紹介します

専用機械とは

製造現場では、労働力不足や生産性の追求のため、急速に自動化が進められています。しかし、「多種多様なワークを扱うので機械化が難しい」「特殊な加工を行うので機械メーカーの標準品では対応ができない」といった課題があり、自動化が進まない分野が残るのも実情です。今回は、そのような製造現場の課題解決にアプローチする専用機械についてご紹介します。

専用機械とは?

専用機械とは、特定の工程で特定の製品を製造するために設計・製作された工作機械のことです。製造現場の加工・組立・搬送・洗浄・検査工程など様々な工程で導入されています。その製品の形状や特性に合わせた専用設計になっているため、大量生産が必要な製品や高い品質が求められる製品の生産に適しています。

例えば、自動車部品の製造工程では、部品点数が多く速い加工速度と生産性も求められるので、部品専用の加工機械の需要が高いです。

専用機械の特徴について:http://www.chuo-koki.co.jp/work7.html

専用機と複合機の違い:https://newswitch.jp/p/22715

専用機械の種類・活用例

専用機械と呼ばれる工作機械は、用途や対象ワークの形状・性質などによって種類が様々です。今回は代表的なものとして加工機・組立機・搬送機・洗浄機・組立機に分けて、それぞれの専用機械の特徴や活用例についてご紹介します。

専用機の種類について:https://www.itech-inc.co.jp/company/product.html

切削加工機について:https://jss1.jp/column/column_253/

プレス加工機について:https://jss1.jp/column/column_271/

組立機について:https://jss1.jp/column/column_054

https://sanada-ss.co.jp/archives/perform_category/assembly

搬送機について:https://jss1.jp/column/column_067/

ガントリーローダーについて:https://www.kousakukikaisekkei.com/gantryloader/415-2/

洗浄機について:https://metoree.com/categories/3469/

検査機について:https://monoto.co.jp/measurement/

加工機

株式会社イワシタ V溝加工専用機
株式会社イワシタ V溝加工専用機
V溝加工専用機

出典:株式会社イワシタ V溝加工専用機(https://www.iwashita-net.com/special/v溝加工専用機

加工機は、金属や樹脂などの材料を加工するための機械です。切削加工、レーザー加工、プレス加工などの機械が挙げられます。

①切削加工機

切削加工とは、切削工具を用いて材料の不要な部分を削り取ったり、穴をあけたりする加工法です。切削加工は、機械で行われるのが一般的です。

切削加工機には大きく、工具を高速回転させて加工するもの(転削)と、材料を回転させて加工するもの(旋削)の2種類があります。転削はフライス盤やマシニングセンタ、旋削はNC旋盤がその例です。切削加工機についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

②レーザー加工機

高熱のレーザー光を照射して材料を加工する機械です。金属、プラスチック、アクリル、木材など様々な材料の加工に使われます。切断だけでなく、穴あけや彫刻といった加工にも有用です。レーザー光の出力やレンズの設定を変更することで、材料の種類や加工内容に応じた加工を可能にします。

③プレス加工機

金属板などのワークにプレスによる圧力をかけて、特定の形状に加工する機械です。特に自動車業界などの製造業では欠かせません。

プレス加工機は、金型とセットで使用され、金型の形状によって加工結果が異なります。ワークを曲げたり凹ましたりする「曲げ加工」、決められた形の穴をあける「穴あけ加工」、特定の形にくり抜く「くり抜き加工」などが代表的です。

組立機

株式会社クリエイティブ・システム 基盤ネジ締め機
https://www.creative-systems.co.jp/products/

組立専用機械は、ある組立に特化して部品を接合し、自動で組立するための装置です。ねじ締め、溶着、カシメといった作業の自動化を実現します。

①ねじ締め装置

ねじ締めによる組立作業を行う装置です。ロボットアームを使用してねじを把持し、ワークに圧入、締結する装置がその例です。

ねじを締結する動作だけでなく、締結後の良品検査まで一つの装置で完結できるものもあり、人手作業よりも正確な作業が期待できます。

②溶着装置

プラスチックや非金属を加熱・加圧・冷却することによって接合するための装置です。熱溶着や超音波溶着など、溶着方法にも種類があり、生産品に適したものを選択します。自動車部品、食品の包装、不織布などの加工に使用されます。

③カシメ装置

カシメとは、金属やプラスチックなどの材料に、リベットを差し込み変形させて接合させる技術です。カシメ装置には、リベットを加圧・成形するスピンカシメ機や、リベットを押しつぶして変形させるプレスカシメ機などがあります。

搬送機

株式会社ハル技術研究所 ガントリーローダー
https://harutl.com/other-sp-9/

出典元:株式会社ハル技術研究所 ガントリーローダー(https://harutl.com/other-sp-9/

製造工程における加工工程の間での搬送を自動化する装置や、機械へとワークを投入するための装置、また加工が終わったワークを機械から取り出すための装置が挙げられます。

①ガントリーローダー装置

ガントリー=門型形状、ローダー=充填機を合わせた搬送装置です。加工機の上を走行する軸と、ローディング・アンローディングのための上下軸、ワークを掴むハンドで構成されます。

ワークを加工機に投入し、加工後にワークを取り出す一連の動作を機械1台で担っており、重量ワークを扱う製造現場や、工作機械が多い生産ラインに多く導入されています。

②シリコンウエハ搬送装置

半導体製造現場で、シリコンウエハの搬送に使用される機械です。暑さの異なるウエハの搬送に適したものや、非常に薄いウエハの搬送が可能なものまで様々な種類の装置があります。ウエハのチッピングや破損、不良品を防ぐための工夫が施されています。

③プレス間搬送機

プレス工程で次の加工工程へとワークを搬送する機械です。プレス工程で扱われるワークは重量物であることが多いので、搬送機械が役立っています。

洗浄機

CNCロボットハンド形 超高圧水バリ取り洗浄機
https://www.sugino.com/site/washing-deburring-machine/jm-type-jcc-603-robo.html

出典元:株式会社スギノマシン 超高圧水バリ取り洗浄機(https://www.sugino.com/site/washing-deburring-machine/jm-type-jcc-603-robo.html

部品の洗浄に用いられる産業機械です。自動車向けの小型部品から大型部品、半導体に使われる細かな部品など、大小様々な部品の洗浄を行います。汚れの種類や部品の種類に応じて洗浄方法も異なってくるので、各部品に適した専用の洗浄機を選定する必要があります。

①バリ取り洗浄機

高い水圧を利用して、ワークの段差部、深穴などにアプローチし、バリ取りを行う機械です。バリ取りと同時に、部品の洗浄もでき、二つの工程を一つに集約できるといったメリットもあります。

②超音波洗浄機

半導体などの細かな部品の洗浄に使われます。水の中に部品を浸し、そこに超音波をあてることで水や洗浄液を振動させ、油や塵などの汚れを落とします。

検査機

出典:株式会社ミツトヨ(https://www.mitutoyo.co.jp/products/measuring-machines/cmm/in-line/360-228/

検査機はワークの位置や加工の精度、不良品検査など、ワークの加工前、加工途中、加工後の全てで活用される機械です。

①3次元測定機①3次元測定機

ワークの立体寸法を測定するための装置です。プローブと呼ばれる針のようなものをワークに接触させてX、Y、Zの座標を読み取るものや、レーザーをワークに当てて測定を行う非接触のものもあります。

CADとの相性も良いので、CADデータとの比較検査や実物のワークから図面を起こすことも可能です。CADについては、こちらの記事を参照ください。

②マイクロメーター

マイクロメーターは、とても高精度な寸法測定を行うのに有用な装置です。マイクロメーターには、電気の変位量を利用した電気マイクロメーターや、空気の圧力の変化を利用して測定する空気マイクロメーターなどがあります。

専用機械のメリット

特殊な加工、搬送、組付作業の実現が可能です。高度な作業を連続的に高効率で行うことができるのも、専用機械を使った自動化のメリットです。

特定のワークの加工を効率的に行うためにオーダーメードで設計された機械なので、過剰スペックになることもありません。作業者を危険な作業から解放することができ、現場の安全性向上にも寄与します。

参考:http://www.kyoei-act.com/knowledge/5980.html

専用機械のデメリット

オーダーメイドで設計、製作されるので、やはり購入の費用は高くなってしまいます。特定の製品に最適化されているため、製品が変わったり、ラインが変更することで新たな機械を投入しなければいけないリスクも考えなければいけません。また、高度な技術を用いているものが多く、故障のリスクも高いといえます。

専用機械メーカー3選

専用機械を取り扱っている代表的なメーカーを3社、厳選してご紹介します。

株式会社イワシタ

株式会社イワシタは福井県に本社のあるオーダーメイド工作機械メーカーです。1949年の創業当時からフライス盤製造を続けており、そこで培ったノウハウを活かして門型マシニングセンタ、長尺NC加工機などの製造に事業を広げてきました。

完全オーダーメイドのアルミ切断機、特殊工作機械・専用機も手がけています。株式会社イワシタの機械は自動車・鉄道・建築・航空分野などで導入されており、幅広い分野で活躍しています。

アイテック株式会社

アイテック株式会社は群馬県を拠点に各種専用機械を設計、制作している会社です。機械の販売だけでなく、現地での装置の据付作業も行なっています。加工・組立・搬送・洗浄・測定・検査の分野向けに製品を取り扱っています。自動車部品メーカー・半導体メーカー・化学メーカー・食品メーカーなど、導入実績も豊富です。

https://www.itech-inc.co.jp/company/

山科精器株式会社

山科精器株式会社は、滋賀県に本社・工場を置く専用工作機械メーカーです。40名以上の設計・開発者が在籍しており、技術者がユーザーの要望をヒアリングしてくれ、ユーザーニーズを反映した仕様の機械を開発できる点を強みとしています。また、トラブル時には技術者が直接対応してくれるのも、ユーザーにとっては安心できる点でしょう。

https://www.yasec.co.jp/profile/

まとめ

専用機械は、特定の製品や加工方法に特化して設計・製作された機械です。そのため、加工・組立・搬送・洗浄・検査などあらゆる工程で行われる高度な作業の自動化が実現可能です。専用機械を活用することで、製造現場の労働力不足、生産性向上といった課題解決が期待できるでしょう。

この記事の監修者
滝元朔
滝元 朔
フリーライター

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