目次
段ボールなどをまとめて移動させるための台をパレットと呼び、段ボールや製品をつかみパレットに並べる産業用ロボットのことをパレタイジングロボットと言います。
今回は、そんなパレタイジングロボットの導入手順やおすすめSlerを紹介していきます。
パレタイジングロボットの特徴
パレタイジングロボットは、パレットに製品や、製品の入った段ボールを積み重ね、出荷できる状態にするロボットです。
特に重量物のパレタイズは、作業員に大きな負荷がかかるので、自動化によって作業員の労働環境改善や、生産性の向上が見込めます。
パレタイジングロボットの導入手順
パレタイジングロボットを導入する場合、ロボットシステムの構築が必要となります。ロボットSlerとの共同作業で進めていきます。
導入の流れは以下の通りです。
- ロボットシステム導入目的
- システム計画策定
- 計画に基づくシステム設計・製造
- テスト・試運転
- 本稼動
- 点検・メンテナンス
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パレタイジングロボットを導入するときのポイント
パレタイジングロボットの導入ポイントは以下となります。
- 導入目的を明確にする
- 導入費用がその効果に見合うのか確認する
- 梱包用ロボットに関する情報収集をする
- 「提案依頼書(RFP)」を作成する
- 導入を依頼する会社を選ぶ
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パレタイジングロボットを導入するときに同時に導入したい周辺機器
パレタイジングロボットを導入する際、同時に導入したい周辺機器について紹介します。
フィードコンベア
パレットに積み込む製品や段ボールを、パレタイジングロボットまで供給するのがフィードコンベアです。
段ボールの場合は、フィードコンベアに梱包ロボットを導入することで、製品の梱包からパレタイズまでを一括で行うことができます。
パレットコンベア
パレットコンベアは、空のパレットを供給し、積込み後のパレットを払い出す装置です。
パレットを手動で取り出す場合、ロボットの稼働範囲内に入るたびにロボットを止める必要が生じますが、パレットコンベアなら作業を中断せず効率的にパレタイズを行えます。
パレットストレッチ包装機
パレットストレッチ包装機は、パレットに積み込んだ製品を固定・保護するストレッチフィルムを巻く機械です。
全自動タイプの包装機もあり、導入すればパレタイズ後にそのまま出荷できるようになります。
パレタイジングロボットの導入事例
パレタイジングロボットは様々な製品に活用できます。その導入事例を確認していきます。
少量多品種生産に対応したレトルト製品パレット積み工程のロボット化
レトルト製品のOEM生産工程にロボットを導入し、包装から梱包、出荷するまでの工程で作業員にかかっていた負荷を軽減した事例です。
パレタイズは重量のある段ボールを持ち上げるため、負荷が特に高い工程でしたが、多品種少量生産で段ボールの形状がばらばらなので、自動化をなかなか実現できませんでした。
本事例では、さまざまな段ボールのサイズや形状に対応したアームを開発し、また4m四方の省スペースなロボットを導入することで、既存の作業場を使った省人化を実現しています。
ロボットによる食品の重量検査作業とパレタイズ作業の標準化
アームにカメラとロードセルを取り付けたロボットを導入し、食品の重量検査とパレタイズを自動化した事例です。
食品の製造は多品種少量生産であることから自動化が難しく、手作業で段ボールを持ち運んでいたため、作業員に大きな負担がかかっていました。
そこで、画像認識で製品の種類を認識して指定のパレットに積み込みを行い、重量が基準から外れているものは自動で払い出しするロボットを導入することで、パレタイズ要員が不要になり作業環境が大幅に改善しました。
高温の鍛造加工製品のピッキング及び整列箱詰め工程にロボット導入
金属製品の製造工程において、鍛造後の部品を検査・箱詰めしていた工程を自動化し、作業者の負荷低減と生産性向上を実現した事例です。
従来は作業員が検査工程と梱包・パレタイジングを全て行っており、過酷な作業で負荷が高いことから、自動化に対するニーズがありました。
本事例では、磁気探傷試験工程を自動化したことを皮切りに、梱包・パレタイジングまでをロボットで自動化したことで、作業員を2人削減し、労働生産性が2倍に向上しています。
協働ロボットとパレットストレージ導入による医療用分包紙検査作業環境の改善
協業ロボットを採用し、上流・下流のコンベアと連動させることで、出荷作業を自動化した事例です。
医療用分包紙の出荷工程では、幅広い製品を作業員が認識してパレタイズしていましたが、出荷量の増加に伴い負荷が高まっているという問題がありました。
協業ロボットを導入することで、既存の作業場を大きく変えることなくパレタイジングを自動化し、作業員2人の人員削減を実現しています。
軸受けBOX積載システムへのロボット導入
軸受け部品を仕分け・積載する工程にロボットを導入し、生産効率向上を実現した事例です。
従来は自動機を使用していましたが、フレキシブルな生産に対応するのが難しく、システムの更新が必要でした。
最適なレイアウトを検討した結果、垂直多関節ロボットを2台導入することとなり、作業員を1人から0人に削減し、レイアウトもコンパクトになりました。
パレタイジングロボットの導入が得意なSIer
パレタイジングロボットの導入を得意とするSlerを5社ご紹介します。
株式会社マキテック

株式会社マキテックは、愛知県に拠点を持ち、搬送システムの製造・販売が主力のSIer企業です。
段ボールのパレタイジングロボットを販売しており、各種段ボールの形状に合ったマニピュレータやパレタイズ専用ソフトなども開発し販売しています。
対応業種 | 金属製品、プラスチック製品、生産用機械器具、業務用機械器具、非鉄金属、住宅産業、電子部品・デバイス、情報通信機械器具、電気機械器具、食品製造業、医薬品、輸送用機械器具、汎用機械器具 |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 三重県四日市市鹿間町1100 |
URL | https://www.makitech.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
株式会社松浦鉄工所

「株式会社松浦鉄工所」は大阪に拠点を構える、ロボットシステムの導入を主な事業とするSier企業です。
自動車や各種機械、電気、食品など幅広い業界において、多関節ロボットを中心に使い、マニュピレーター・搬送装置・反転機などのシステム化を手がけています。
対応業種 | 金属製品、プラスチック製品、生産用機械器具、業務用機械器具、非鉄金属、住宅産業、電子部品・デバイス、情報通信機械器具、電気機械器具、食品製造業、医薬品、半導体、輸送用機械器具、汎用機械器具 |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 三重県四日市市鹿間町1100 |
URL | https://matsuura-iron.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
サンビット株式会社

「サンビット株式会社」は福岡県と佐賀県を拠点として、食品メーカーを中心とした様々な業界の生産ラインにロボットを導入するSIer企業です。
企画構想、設計から据付、生産立会いまで、システム構築をトータルにサポートしているのが特徴で、食品の整列搬送を始め、多数のロボット導入実績を誇ります。
対応業種 | 金属製品、プラスチック製品、生産用機械器具、業務用機械器具、非鉄金属、住宅産業、電子部品・デバイス、情報通信機械器具、電気機械器具、食品製造業、医薬品、半導体、輸送用機械器具、汎用機械器具など |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 福岡県福岡市博多区住吉3-1-80 オヌキ新博多ビル3階 |
URL | https://www.sunbit.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
田辺工業株式会社

田辺工業株式会社は新潟県に本社を持ち、プラントエンジニアリングを中心に、電気・機械分野で様々な設備を開発・提供している企業です。
自動車、医療業界を始め幅広い業界や工程へのロボット導入実績もあり、構想・設計からアフターメンテナンスまで対応しています。
対応業種 | 金属製品、プラスチック製品、生産用機械器具、業務用機械器具、非鉄金属、住宅産業、電子部品・デバイス、情報通信機械器具、電気機械器具、食品製造業、医薬品、半導体、輸送用機械器具、汎用機械器具 |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 新潟県上越市大字福田20番地 |
URL | https://www.tanabe-ind.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
株式会社イシダ

株式会社イシダは、1893年に民間初のハカリメーカーとして誕生し、京都府に本社を構える老舗のSIer企業です。
食に関わる全ての現場に対してサービスを提供し、食品工場から小売、物流までの分野におけるトータルソリューションを提供しています。
対応業種 | プラスチック製品、食品製造業、医薬品、輸送用機械器具、汎用機械器具など |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 京都府京都市左京区聖護院山王町44 |
URL | https://www.ishida.co.jp/ww/jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
メーカーごとのパレタイジングロボットの特徴
パレタイジングロボットを製作しているメーカーの特徴をまとめます。
Mujin株式会社の特徴
Mujin株式会社は、知能を持った産業用ロボットを開発・製造しているメーカです。ロボットの知能化により、ティーチングをせずともロボットを使用できるのが一番の特徴です。
物流用のロボットが強みで、知能ロボットとAGV(自動搬送機)を組み合わせたユニークなパッケージも販売しています。
不二輸送機工業株式会社の特徴
不二輸送機工業株式会社は、マテリアルハンドリング機器の開発・製造に特化したメーカです。
パレタイザ、デパレタイザを主力に、製品の運搬に必要なロボット・自動機を販売し、アフターフォローも含めた付加価値の高いサービスを提供しています。
株式会社PSSの特徴
株式会社PSSはパレタイザ、デパレタイザの開発・製造に強みを持つ専用機メーカです。
極省スペースに設置できるパレタイザ「PAL-AH01A」が主力で、パレットの高さを変えることでハイスピードなパレタイズを実現しています。
また、装置のオーダーメイド設計・製造を行っているのも特徴です。
まとめ
今回はパレタイジングロボットの特徴と導入事例、そしておすすめのSlerを紹介いたしました。
パレタイジングは重量物の持ち運びが多く、作業者の負担が大きいため、ロボットの導入によって作業環境の改善と生産性の向上が見込めます。
導入においてはロボット単体だけでなく、周辺機器を含めたシステムを構築する必要があるので、慣れていない場合は経験豊富なSIerに依頼すると良いでしょう。
パレタイジングロボットを導入して、生産ラインの自動化を目指してみませんか。