目次
省力化とは、人の力を省くことで生産効率を上げる取り組みのことで、省力化ロボットは工場の省力化を実現する産業用ロボットのことを指します。
今回は、省力化ロボットの導入手順やおすすめSlerを紹介していきます。
省力化ロボットの特徴
省力化ロボットは、行わせたい作業の内容によって最適な構造が変わります。
人の腕と同様の形状で、複雑な動きを行わせるなら「垂直多関節ロボット」、動作速度や精密性、安定性を重視するなら「直交ロボット」など、目的に応じてロボットの種類を変えると良いでしょう。
省力化ロボットの導入手順
省力化ロボットを導入する場合、ロボットシステムの構築が必要となります。ロボットSlerとの共同作業で進めていきます。
導入の流れは以下の通りです。
- ロボットシステム導入目的
- システム計画策定
- 計画に基づくシステム設計・製造
- テスト・試運転
- 本稼動
- 点検・メンテナンス
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省力化ロボットを導入するときのポイント
省力化ロボットの導入ポイントは以下となります。
- 導入目的を明確にする
- 導入費用がその効果に見合うのか確認する
- 梱包用ロボットに関する情報収集をする
- 「提案依頼書(RFP)」を作成する
- 導入を依頼する会社を選ぶ
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省力化ロボットを導入するときに同時に導入したい周辺機器
梱包用ロボットを導入する際、同時に導入したい周辺機器について紹介します。
安全柵
省力化ロボットは、人にはできないスピードで作業を行い、様々な価値を生み出しますが、ロボットと人が接触すると事故につながる危険性も持っています。
安全を保つための対策の一つとして義務付けられているのが安全柵の設置です。
物理的に人とロボットが接触しない安全性と、安全柵内に人が入った際に動作しないリスク管理が必要となります。
ベルトコンベア
ロボットは基本的に据え置き構造であり、ワークを動かしてロボットの稼働範囲内に移動させる必要があるため、ベルトコンベヤがよく利用されます。
ロボットの動きと同期させることで、途切れることなくロボットに作業を行わせ、無人作業を実現します。
ベルトコンベヤ上のワーク位置はばらつきがあるので、センサーを使用し、ロボットがワーク位置を認識する必要があります。
カメラ
ロボットがワークを認識するのに欠かせないのがカメラです。
ワーク位置の判別や形状認識、不良チェックなど用途は多岐にわたり、ピッキングや組立、外観検査など、ほぼ全ての工程に利用されます。
省力化ロボットの導入事例
省力化ロボットは様々な製品に活用できます。その導入事例を確認していきます。
ロボットを利用した工場の無人化
生産量を向上させるため、家電製品の製造工程を全て自動化し、無人で製造を行えるようにした導入事例です。
工場の製造ラインでは、人手不足が深刻化しており、生産量の増加に限界があるという問題を持っています。
本事例では、様々な省力化ロボットを活用することで基板実装、組立、梱包までを自動化し、さらに無人搬送機も使うことで、出荷までの無人化を実現しています。
工場の未来の姿が垣間見える事例です。
セル生産システムの自動化
双腕ロボットを利用し、多品種少量生産を行うセル生産システムを自動化した導入事例です。
省力化ロボットは繰り返し作業に強い分、柔軟に作業内容を変えることには向かず、セル生産の自動化が難しいという問題がありました。
双腕ロボットなら、人と同様のアームとカメラを持ち複雑な作業を行えるので、品種ごとの作業をティーチングすることで自動で品種を判定し、セル生産の自動化を実現できます。
既存ラインにおける作業員の代替
協業ロボットを使用し、安全柵を使わずに既存ラインの作業をロボットに代替させた導入事例です。
省力化ロボットは安全柵の設置が必要なので、大規模な製造ラインの改造が必要となり、導入ハードルが高くなる問題があります。
省力化ロボットの一つである協業ロボットなら、人と接触しても危険を及ぼさない仕組みとなっていることから、既存の作業場でも問題なく導入でき、気軽に自動化が実現できます。
ロボットのAI化による運用コスト低減
省力化ロボットにAIを搭載し、ティーチング工数の低減や複雑な作業の自動化を実現した導入事例です。
ロボットは作業内容やワーク形状に合わせてティーチングを行い動き方を決めますが、ワーク形状のばらつきや向きの違いなどがあるとティーチングとの差が生じてしまい、上手く動かなくなるという問題がありました。
従来は不確定要素も含めてティーチングを行う必要があり、ティーチング工数が増えてしまう問題がありましたが、AIを導入することで自己学習を行い、柔軟な作業でも自動的に対応できます。
ロボットによる危険作業の代替
省力化ロボットを利用し、鍛造・鋳造やプレス、バリ取り工程などを自動化した導入事例です。
金属製品の製造工程では、危険な工程や作業環境が劣悪な工程が数多く存在し、作業員に大きな負担を与えるのが問題でした。
本事例では、省力化ロボットを導入することで加工機への材料投入や搬出を無人化できるだけでなく、溶接やバリ取りなど、従来は技術力が必要で自動化が難しかった工程の自動化も進んでおり、人の作業環境改善に大きく寄与しています。
省力化ロボットの導入が得意なSIer
省力化ロボットの導入を得意とするSlerを5社ご紹介します。
株式会社サイトウ工研
「株式会社サイトウ工研」は三重県を拠点に、各種産業用省力機械・自動化を設計からメンテナンスまで行っているSIer企業です。
住宅関連・自動車関連・物流関連・電子部品関連・食品関連などを中心に、幅広い業界の製造ラインを自動化した実績があります。
対応業種 | 金属製品、プラスチック製品、生産用機械器具、業務用機械器具、非鉄金属、住宅産業、電子部品・デバイス、情報通信機械器具、電気機械器具、食品製造業、医薬品、半導体、輸送用機械器具、汎用機械器具 |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 三重県四日市市鹿間町1100 |
URL | https://saito-koken.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
株式会社シリックス
「株式会社シリックス」は三重県を拠点とする、幅広い業界のFAシステム構築実績を持つSIer企業です。
ロボットシステム設計、電気設計、ソフト設計の3つの部署による設計で、顧客ごとに最適な自動化システムを構築できます。
各種メーカーの産業用ロボットを扱うことができ、細かい要望にも応えるFAシステムを提案から設計、完工、保守メンテナンスまでトータルサポートできるのが強みです。
対応業種 | 金属製品、プラスチック製品、生産用機械器具、業務用機械器具、非鉄金属、住宅産業、電子部品・デバイス、情報通信機械器具、電気機械器具、食品製造業、医薬品、半導体、輸送用機械器具、汎用機械器具 |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 三重県四日市市小古曽東2-9-40 |
URL | http://www.serix.co.jp/index.html |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
三菱電機エンジニアリング株式会社
「三菱電機エンジニアリング」は、電気・機械設計サービスを中心として、FAシステム、産業システム、メカトロシステムなど幅広いソリューションを提供している企業です。
三菱電機の技術パートナー企業としての技術力を活かして工場のスマート化ファクトリー化を推進しており、様々なアプローチで生産性向上や品質向上を実現します。
三菱電機やパートナー企業と連携することで、FAシステムを企画から設計、立ち上げ、保守サービスまでトータルソリューションを提供できる強みもあります。
対応業種 | 金属製品、プラスチック製品、生産用機械器具、業務用機械器具、非鉄金属、住宅産業、電子部品・デバイス、情報通信機械器具、電気機械器具、食品製造業、医薬品、半導体、輸送用機械器具、汎用機械器具 |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 東京都千代田区九段北1-13-5 ヒューリック九段ビル |
URL | http://www.mee.co.jp/index.html |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
立山マシン株式会社
「立山マシン株式会社」は、富山県を拠点として、FAシステムの開発製造を主に行っているSier企業です。
FAシステムをワンストップで提供可能で、自動車・医療・食品など業界を問わず、幅広い工程のシステム構築実績を持っています。
対応業種 | 金属製品、プラスチック製品、生産用機械器具、業務用機械器具、非鉄金属、住宅産業、電子部品・デバイス、情報通信機械器具、電気機械器具、食品製造業、医薬品、半導体、輸送用機械器具、汎用機械器具 |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 富山県富山市下番30番地 |
URL | https://www.tateyama.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
日本サポートシステム株式会社
日本サポートシステム株式会社は茨城県と神奈川県に拠点を持ち、10,000台以上の実績を持つSIerです。
企画から導入、アフターメンテナンスまでワンストップで対応しており、顧客のニーズに合わせた自動化・省人化のソリューションを提供しています。
対応業種 | 金属製品、プラスチック製品、生産用機械器具、業務用機械器具、非鉄金属、住宅産業、電子部品・デバイス、情報通信機械器具、電気機械器具、食品製造業、医薬品、半導体、輸送用機械器具、汎用機械器具 |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 茨城県土浦市卸町2-13-3 |
URL | https://jss1.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 有 |
ロボットショールームの有無 | 有 |
メーカーごとの省力化ロボットの特徴
省力化ロボットを製作しているメーカーの特徴をまとめます。
ファナック株式会社の特徴
ファナック株式会社は、FA事業とロボット事業を主力とする、世界4大ロボットメーカーの一つです。
幅広い種類の省力化ロボットを扱っており、技術力の高さから自動車、電子部品、物流を始め様々な業界で圧倒的なシェアを有しています。
川崎重工業株式会社の特徴
川崎重工業株式会社は、船舶、鉄道車両、航空機などが主力で、省力化ロボットの製造にも注力しているメーカーです。
幅広い構造の省力化ロボットを扱っていますが、特に双腕ロボットや遠隔協調型ロボットなど、ユニークな機能を持つロボットに注力しています。
安川電機株式会社の特徴
安川電機株式会社は、1970年代からファクトリーオートメーションの事業に参入し、ファナックと同じく世界4大ロボットメーカーに入っている企業です。
サーボやインバータの製造に強みを持ち、ロボット単体だけでなく、工場自動化に向けたトータルソリューションを強みとしています。
まとめ
今回は省力化ロボットの特徴と導入事例、そしておすすめのSlerを紹介いたしました。
省力化ロボットは、目的に合わせて最適な構造を選ぶことで、工場の省力化を実現できます。
導入においてはロボット単体だけでなく、周辺機器を含めたシステムを構築する必要があるので、慣れていない場合は経験豊富なSIerに依頼すると良いでしょう。
省力化ロボットを導入して、生産ラインの自動化を目指してみませんか。