産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.02.26

省力化ロボットとは?導入のメリットやデメリット、用途を紹介

省力化ロボットとは、「人力を削減する」ためにつくられたロボットで、産業用ロボットとはほとんど同じ意味の言葉として用いられています。省力化ロボットを導入するメリットや、現在活躍している分野について紹介します。

この記事の結論

・省力化ロボットとは人力を削減するためのロボット
・省電力で使用できるロボットも省力化ロボットと呼ぶことがある
・省力化ロボットを導入することで人件費の削減や品質安定などのメリットがある
・省力化ロボットは主に繰り返し作業に用いられる

省力化ロボットとは

省力化ロボットと産業用ロボットはほぼ同義で使用される言葉です。省力化の「力」とは人力のことを指しているおり、工場などで人の代わりに働くロボットと同じ意味を指すことがあります。

しかし、この「力」という言葉が、人力ではなくエネルギーを指すこともあります。この場合は、通常のロボットよりも省電力で使えるロボットという意味で「省力化ロボット」と呼びます。

省力化ロボットを導入するメリット・デメリット

省力化ロボットは、人手を減らしたり、少ないエネルギーで作業したりすることが可能なロボットです。導入することで得られるメリットと、デメリットになる可能性がある事柄について紹介します。

メリット

省力化ロボットを導入することで、次の6つのメリットを得られます。

労働者不足に対応できる

省力化ロボットを導入すれば、少ないスタッフだけで工場を運営することが可能です。メンテナンスすることで長期にわたって使用することができるため、将来においても一定の製造量を確保できるでしょう。

求人・雇用の手間やコストを削減できる

製造量が少ないときは稼働時間を減らし、製造量が多いときは稼働時間を増やすだけで対応できるので、需要の波があっても求人・雇用を行う必要がありません。募集や採用のコストも減らせるので、経費削減が叶うでしょう。

人件費の削減

毎月労働者に給与を払うよりも長期的に見ればコスト削減につながります。また、省電力型の省力化ロボットならば、通常の産業用ロボットよりも電気代も減らせるでしょう。

しかし、初期投資に大きな費用が掛かることに注意してください。

製品の品質の安定

人間が作製するより製品の品質にばらつきが少ないことも、省力化ロボットを導入するメリットです。大量生産する場合にも、安定した品質を期待できます。

品質が安定すると、検品不合格となる製品が減り、粗悪品が市場に出回ることを回避できるため、企業の信用度が向上することにもなるでしょう。

生産量の増大

人間の一日の稼働時間は7-8時間程度ですが、省力化ロボットは管理さえすればほぼ24時間稼働することができます。生産量を増やすことができ、利益増大にもつながるでしょう。

人的資源の有効化

省力化ロボットに単純作業を任せることで、人はよりクリエイティブな作業に時間を使うことができます。業務効率向上のアイデアを出すだけでなく、新商品の開発や付加価値の発見など、人にしかできないことに時間を使えるようになるでしょう。

デメリット

省力化ロボットの導入における、注意したい3つのポイントを紹介します。

高額な初期投資が必要

省力化ロボットは、長期的に見ればコスト削減になりますが、導入時のコストが大きいため、なかなか導入に踏み切れないというケースもあるでしょう。

使いこなせる人材が必要

省力化ロボットを導入すること=無人化ではありません。ロボットを使いこなす人が必要となりますので、使いこなせる人材を雇用する必要があります。

また、トラブルが起こることもあるので、社内にスムーズに対処できるスキルを持った従業員がいると良いです。しかし、ロボットを使いこなせ、なおかつ求職している人は少ないため、新たな雇用問題を抱えることになりかねません。

作業内容が変わったときの対応が難しい

今まで製造していたものを止めて別のものを製造するときなど、同じ省力化ロボットでは対応できないこともあります。この場合は別の省力化ロボットを導入するか、人力に戻ることになりますが、初期投資が大きい分、ダメージも大きいでしょう。

省力化ロボットの用途

省力化ロボットは、主に単純な繰り返し作業に用いられます。主な用途として次の7点を挙げられます。

  • 樹脂成形
  • 溶接
  • 機械加工
  • 電子部品実装
  • 組み立て
  • 入出荷や搬送
  • マテリアルハンドリング

省力化ロボットが導入されている分野

省力化ロボットは製造業に導入されています。主な分野を紹介します。

  • 自動車産業
  • 電気機器産業
  • 食品加工業

自動車産業

自動車産業にはさまざまな省力化ロボットが導入されています。溶接や組み立て、など危険かつ重労働な作業をロボット化しています。また、自動車産業のロボット化は歴史が古く、産業用ロボットの歴史そのものとも言えるでしょう。

電気機器産業

電気機器産業も、機械加工や電子部品実装などのロボット化しやすい作業が多い分野です。また、出荷前に検品作業を行いますが、検品作業も複雑かつ手間がかかるため、ロボット化されていることが多いです。

食品加工業

食品加工業は、衛生的かつ生産スピードの速さが求められるため、ロボット化に向いている分野です。製造から包装、発送までをロボット化し、時間をかけずに消費者まで届けます。

まとめ

省力化ロボットは、さまざまな製造業の分野に導入されています。初期投資費用はかかりますが、導入することで人件費や雇用費などのコストダウンが目指せ、また、製造量の増大も可能です。メリットの多い省力化ロボットの導入を、ぜひ検討してみましょう。

関連記事