産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.09.30

多関節ロボットの導入と活用方法!活用事例とおすすめSler3選!

あらゆる産業用ロボットの中で最も一般的に普及しているものが多関節ロボットです。単純構造の直交ロボットに比べてより人間の腕に近く模した構造によって、より精密で繊細な動きを実現しています。
ここでは多関節ロボットの特徴や活用事例、そしておすすめのSlerを紹介します。

多関節ロボットの特徴

多関節ロボットは「垂直多関節ロボット」「水平多関節ロボット」の2種類に大別されます。

垂直多関節ロボットは4軸~6軸、あるいは近年では7軸以上の軸によって構成されている産業用ロボットです。その名の通り垂直方向の動きを得意とする、いわゆる“ロボットアームです。組み立てや搬送のみならず溶接や塗装などにも応用可能な広い汎用性を持っています。

水平多関節ロボットは4軸構成の産業用ロボットで、3軸で水平方向にアームを動かし、先端部は上下運動を行います。3軸によって平面上での位置決めをして先端部を上下に動かすという構造特性から、組み立て作業における部品の配置や押し込みの作業に適しています。

多関節ロボットの導入手順

多関節ロボットの導入においてはロボットシステムの構築が必要です。ロボットSlerとの共同作業でシステム構築を進めていくことになります。

導入の流れは以下の通りです。

  • ロボットシステム導入目的の明確化
  • システムの構想策定
  • 構想に基づいたシステムの仕様定義
  • システムの設計および製造
  • 納入前テスト、試運転
  • 本稼動
  • 点検およびメンテナンス

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多関節ロボットを導入するときのポイント

多関節ロボット導入に当たってのポイントは以下の通りです。

  • 導入目的を明確にする
  • 導入費用がその効果に見合うのか確認する
  • 多関節ロボットに関する情報収集を行う
  • 「提案依頼書(RFP)」の原案を作成する
  • 導入を依頼する会社を選ぶ

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多関節ロボットを導入するときに同時に導入したい周辺機器

多関節ロボット、とりわけ垂直多関節ロボットは非常に汎用性が高く、精密さや繊細さが要求される作業にも対応が可能です。

汎用性が高いために多種多様な現場に応じた周辺機器が普及していますが、ここではシステム構築の上でより一般的な周辺機器を紹介します。

安全柵およびエリアセンサー

安全確保のため作業スペースにおいてロボットの稼働空間を仕切り、人間が立ち入りできないようにする柵です。同時に、もしもロボットの稼働空間に人間が存在した場合、それを感知するセンサーを併用してロボットの稼働を停止します。

産業用ロボットの稼働における安全確保は法令で義務づけられており(労働安全衛生規則第150条の4)これは必須の周辺機器です。

ロボット用走行装置

作業スペースにおいてロボット自体を移動させるための装置です。自動車製造のラインや複数の工作機械間でロボットを移動させます。

床面を走行するのみならず、天井からロボットを吊るして移動させるタイプのものもありますので、作業スペースの大きさや形状に応じた導入が可能です。

コンベア

上記のロボット用走行装置とは反対に、ロボットは据え置きにして対象のワークを自動搬送する装置です。連続的な搬送によっていわゆる流れ作業を実現します。

またコンベアはただ単に一定速度でワークを流し続ければよいというものではありません。たとえば不規則な間隔でワークが運ばれてきたり、あるいはコンベア上でのワークの位置や向きがまちまちであるような場合には、それをフィードバックしてロボットの動作が追従するように調整する仕組みが必要になります。

これをコンベアトラッキングと言います。多関節ロボット+コンベアの導入にはこうしたトラッキングのためのセンサーも必須です。

多関節ロボットの活用事例

ロボットを利用したマイクロニードル化粧品の高度精密生産

美容目的のヒアルロン酸注射の製造を自動化した例です。従来は熟練工による手作業でなければ注射針という微細なアイテムを扱うのは不可能とされていました。

折ったり傷つけたりしてはならないのはもちろんのこと、衛生管理も必須となります。垂直多関節ロボットの導入により、組み立てから包装、ラベリングまでを自動化しています。単に省人化のみならず、人間の手が触れなくなったことによって衛生環境はさらに向上しています。

ロボットを利用した鉄道車両用床板のワンサイドスポット溶接

溶接もまた熟練工の技術への依存が高い作業の一つです。また鉄道車両など対象が大型となると、溶接ガンに求められる加圧力が非常に高いものになり、車両メーカーでは専用機をつくり込んで作業するしかありませんでした。

ロボット化は不可能とされていたこの業種でも、サーボガン搭載の垂直多関節ロボット導入により効率化を実現できるようになりました。省人化はもちろん、作業時間が大幅に短縮され稼働率がアップしました。

ロボットを利用した物流倉庫におけるピッキング・搬送の自動化

周辺機器としてロボット用走行装置を上記でご紹介しましたが、自走式のロボットも開発・製造されています。カメラやLiDARの搭載により自己認識やオートマッピング、複数台数の同時制御を可能とし、ロボットのためのガイド設備を不要としています。

既存の倉庫内設備に手を加えることなくロボットを導入するだけですので、その分コストは抑制できています。省人化によって労働力不足へのソリューションともなっています。

多関節ロボットの導入が得意なSIer

タイヘイテクノス株式会社

(引用元:http://www.taiheitechnos.co.jp/business/product/index.html)

タイヘイテクノス株式会社は生産現場のあらゆるニーズに対応可能なSIerです。制御部品・電子部品の生産販売、各種生産設備の設計・製作・据付、電気工事等の技術でビジネスソリューションを提供します。

エネルギー事業にも参入しており、太陽光パネルや蓄電池などの再エネ分野を得意としています。ISO9001を取得しており、品質の高さは折り紙つきです。

対応業種電子、機械、自動車、半導体、電気、発電
対応プロセスFA装置開発・設計・製作、搬送システム
住所熊本県熊本市北区高平3丁目43番11号
URLhttp://www.taiheitechnos.co.jp/index.php
ロボットスクールの有無
ロボットショールームの有無

株式会社サトー

(引用元:https://www.sato.co.jp/)

株式会社サトーは「自動認識ソリューション」を得意とするSIerです。あらゆるモノや人に情報を紐づけ、その動きを可視化することで、現場ごとに最適な課題解決の仕組みを提供します。

たとえばリテール業界においては店舗オペレーションの各種作業を効率化したり、また現在ではコロナ禍における“ニューノーマル”対応として従業員や買い物客の安心・安全を守る店舗運営を支援するシステムを提供しています。

対応業種リテール、自動車、電機・電子部品、化学、鉄鋼、食品、ロジスティクス、ヘルスケア、公共・文教
対応プロセス自動認識ソリューション
住所東京都港区芝浦3-1-1 msb Tamachi 田町ステーションタワーN
URLhttps://www.sato.co.jp
ロボットスクールの有無
ロボットショールームの有無

高丸工業株式会社

(引用元:https://www.takamaru.com/robot_system/welding_robot/)

高丸工業株式会社は生産性の向上や合理化に挑戦するロボットSIerです。産業用ロボット、ロボットシステムの企画・設計・製作・販売からメンテナンスまでを一貫して手掛けています。

導入事例としては搬送、溶接、溶断、バリ取りなどがあります。ロボット関連の人材育成にも注力しており、セミナーや見学会を積極的に開催して、これまで300名以上に“産業用ロボット特別教育修了書”を発行しています。

対応業種金属、鉄道
対応プロセス溶接、溶断、ハンドリング、バリ取り
住所兵庫県西宮市朝凪町1-50 JFE西宮工場内
URLhttps://www.takamaru.com
ロボットスクールの有無
ロボットショールームの有無有(ロボットテクニカルセンター)

多関節ロボットの導入事例と活用方法について

今回は多関節ロボットの特徴とその活用事例、そしておすすめSlerを紹介いたしました。精密さや繊細さが要求される作業から大型ワークにまで対応が可能な多関節ロボットは、従来は人の手の高度な技術に頼らざるを得なかった作業までも自動化し、省人化・省力化に役立ちます。

多関節ロボットを導入して、ワークフローやラインの自動化を目指してみませんか。

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