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産業用ロボットの導入を検討しているときによく出てくる「PLC」。生産ラインの制御だけでなくエアコンなどの日常製品まであらゆる場面で使われています。
PLCは使い勝手がよく、導入することでさまざまなメリットがあります。今回は、PLCについて詳しく紹介しますので、最後までお読みください。
・PLCは複数の機械を制御する装置
・PLCは入力部・MPU演算部・メモリ部・出力部・電源部で構成
・パッケージタイプとビルドブロックタイプの2種類がある
PLCは複数の機械を制御する装置
PLCとは、機械を自動的に制御する装置のことです。正式名称はProgrammable Logic Controller(プログラマブルロジックコントローラ)といいます。
用途として洗濯機やエレベーターなど日常生活にも使用されていますが、産業用ロボットを扱うような工場のラインでも欠かせない存在です。
特に最近の工場では、IoT化が求められており、データ収集やロボットの制御などを実現するためにPLCが重要な要素となっています。
ちなみに、PLCを調べるとシーケンサという言葉が出てきますが、三菱電気が発売しているPLCの商品名のことで、中身はPLCと同じです。
PLCの仕組み
PLCはシーケンス制御という手法が用いられています。シーケンス制御はあらかじめ決められた操作する順序を入力して機械の動作を制御する方法です。
PLCは入力部、MPU演算部(CPU演算部)、メモリ部、出力部、電源部の5つで構成されています。
入力部でスイッチやセンサなどの信号を受け取り、MPU演算部で入力信号の処理や演算を行います。
MPUの演算結果から出力を行い、出力部からパイロットランプ、制御バルブ、モータなどの機械を動作させることが可能です。
メモリ部はプログラムやデータを保存する記憶媒体で、電源部は電気を供給するための媒体となっており、5つがそろってはじめてPLCが機能します。
PLCを導入するメリット
PLCのメリットについて紹介します。
省スペースで利用可能
PLCは比較的コンパクトに設計されており、省スペースで設置できます。
PLC以外にもリレー回路を用いた制御方式の制御盤がありますが、複数のリレーを電線で繋ぐ必要があるため制御盤が大掛かりになってしまいます。そのため、設置スペースが必要です。
一方でPLCはソフトウェアを用いたプログラミングで制御をするため、制御盤がコンパクトで大幅にスペースを確保する必要がありません。
簡単に操作を変更できる
簡単に操作を変更できるのも大きなメリットです。
リレー回路を用いた制御では、機械の操作順序を変更するために一度停止しなければなりません。また、配線が複雑で工数がかかってしまいます。
PLCはプログラムを簡単に操作するだけで、機械の動作を変えられます。作動中でもプログラムを変更できるので、生産ラインを停める必要がありません。
PLCの種類
PLCには、パッケージタイプとビルドブロックタイプの2種類があります。
パッケージタイプ
パッケージタイプは、入力部、MPU演算部、メモリ部、出力部、電源部で構成されていますが、5つの要素が1つにまとめられているPLCのことを言います。小型ブロックタイプとも呼ばれることがあります。
特徴
小型で省スペースでの設置ができ、価格もお手頃のため、導入しやすいのが特徴です。ただし、簡単な制御はできますが、複雑な制御はできません。
このタイプが向いているケース
小規模なシステムなどの制御に向いています。
ビルドブロックタイプ
ビルドブロックタイプは5つの部品を個々に選定して、カスタムできるタイプのPLCです。入出力部を増やすことであらゆる制御を行えます。
特徴
自社システムに適したカスタムが可能で、どんなに複雑で大規模な制御にも対応できます。入出力部を増やすことで制御できる機械を拡張できるのもメリットです。
しかしながら、自分でカスタムするには制御に関してある程度知識が必要です。パッケージタイプと比べると、コストもかかり、制御盤が大きくなってしまうのもデメリットになります。
このタイプが向いているケース
公共インフラなどの大規模かつ停止できない重要なシステムの場合、冗長構成にすることで信頼性を高められます。
PLCを制御する言語
PLCを制御する言語は主に5種類あるので紹介します。
- IL(インンストラクション・リスト)
- LD(ラダー・ダイアグラム)
- FBD(ファンクション・ブロック・ダイアグラム)
- ST(ストラクチャ―ド・テキスト)
- SFC(シーケンシャル・ファンクション・チャート)
IL(インンストラクション・リスト)
ILはテキスト言語で、マイコンでいう「OR」「AND」といったアセンブラに相当します。アプリケーションの小型化や高速化に向いていますが、生産性やメンテナンス性に軟弱な点があります。
LD(ラダー・ダイアグラム)
LDはPLCでもっとも使われている言語です。シーケンス制御によく使われるシーケンス回路と、ラダー回路の記法が似ていることから、技術者にとってわかりやすいため主流になっています。
FBD(ファンクション・ブロック・ダイアグラム)
FBDはグラフィカルでさまざまな機能を持ったブロックを繋ぎ合わせて、機械を動かす順序を決められるのが特徴の言語です。
関数ブロックという機能を活用することで、プログラムの再利用ができ、簡単にプログラムを作成できるのがメリットです。
ST(ストラクチャ―ド・テキスト)
構造化テキスト言語と呼ばれ、C言語に近いプログラミング言語を用いて制御プログラムを作成します。
ソフトウェア技術者が組みやすい言語になっています。ラダー言語では難しい複雑な制御に対応できるのが強みです。
SFC(シーケンシャル・ファンクション・チャート)
SFCは製造ラインの動作させる順序をフローチャートのように表すことができるグラフィック言語です。各工程の処理や遷移条件をわかりやすく記述できるのが強みです。
PLCを扱っているメーカー5選
PLCを扱っているメーカーは国内外で多く存在しています。今回は代表して5社紹介します。
- 三菱電機
- 横川電機
- キーエンス
- 富士電機
- シーメンス
三菱電機
家電製品や自動車部品など生活に欠かせない製品を開発しているメーカーです。シーケンサという商品名でPLCを販売しており、国内で高いシェアを誇っています。
同社製のタッチパネルGOTと組み合わせたPLCを導入するケースが多いです。
横河電機
横河電機は高い制御技術を持っている会社です。AIの開発に使用されるPython言語に対応した産業用プラットフォームを発売しており、データ収集、解析、制御を1台で行うことができます。
PLCの上位システムに値する分散型制御システム「DCS」も販売しています。
キーエンス
キーエンスはセンサや変位計、マイクロスクープなどを開発しているメーカーです。
同社製のPLCは他社と比べると処理速度が早く、三菱電機製とリンクができる点が強みになっています。
富士電機
富士電機はパワエレシステム、電子デバイス、発電プラント、食品流通の4つのエネルギー事業を行っている会社です。
業界で初めてPLCにネットワーク機能を持たせた会社として知られており、高い技術力を持っています。
シーメンス
ドイツに本社があり、電力、FA機器、およびデジタル分野で世界的に有名な会社です。世界各地に販売店があり、手厚いサポートを受けながらPLCの導入をできます。
まとめ
PLCについて紹介しました。PLCはよりよい生産システムを作り上げるのに欠かせない存在になっています。導入していない会社であれば検討してみてはいかがでしょうか?