産業用ロボットSIer 300社掲載

2023.04.28

シーケンス制御を分かりやすく解説!基礎知識とおすすめの習得方法

シーケンス制御を分かりやすく解説!基礎知識とおすすめの習得方法アイキャッチ

工場の機械を動作させるために「シーケンス制御」の知識は欠かせません。この記事では、シーケンス制御の基本的な知識の解説や、おすすめの習得方法について記載していますので、ぜひ参考にしてください。

シーケンス制御とは

工場の設備を見たときに、どのようにして動いているのか不思議に思う方が多いと思います。動作の順番や条件を決める設備の制御方法がシーケンス制御です。

PLCとは

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PLC (Programmable Logic Controller) を用いることで、簡単にシーケンス制御を行うことができます。PLCが登場するまでは、リレーによってシーケンス制御を行っていました。しかし、膨大な数のリレー配線の作業は非常に大変な上に、リレーには寿命があるためメンテナンスも大変でした。それに比べ、PLCはパソコン上のソフトで簡単に編集可能で、故障も少ないため一般的に使用されています。

参考文献:OMRON(リレーとは?

シーケンス制御の実例

シーケンス制御のイメージが出来るように、日常生活で使われている実例を見てみましょう。分かりやすい例として、自動扉を例に挙げてみましょう。

自動扉の動作の図
図1. 自動扉の動作_ロボカル

自動扉は、センサによって人が来たことを感知して扉の動作を行います。また、一定時間センサが反応しない場合は扉を閉じます。さらに扉が10回開くと、ブザーが鳴る仕組みです。シーケンス制御では、このように条件を満たしたときに、次の動作に移るような動作を構築していきます。

ラダー図のとは

PLCの制御内容を記載したものをラダー図と呼びます。前項の自動扉の動作をラダー図にしたものを下記に示します。左側に条件、右側に動作内容が記入されています。

ラダー図の例_ロボカル
図2. ラダー図の例_ロボカル

デバイス

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図2を見ると、X、Y、Tなどの記号が記載されています。これらをデバイスと呼びます。ラダー図はこれらのデバイスを使って構成されています。

入力リレー

シーケンサ外部のスイッチなどからの信号を受けるデバイスです。入力リレーはXの記号で表されます。図2では、人を感知するセンサからの信号をX001で受けています。

出力リレー

外部のランプやモーターなどに信号を送るデバイスです。出力リレーはYの記号で表されます。図2では、自動扉を動かすモーターへの信号としてY001 、 Y002を、ブザーへの出力にY003を使用しています。

内部リレー

シーケンサが内部に持っているリレーのことです。内部リレーはMの記号で表されます。瞬間的な外部信号を内部で記憶する場合など、様々な場面で使用します。回路が複雑になるほど多用するデバイスですので、使いながら使用方法を学ぶと良いです。図2では、扉開の回数を数える補助リレーとして使用しています。

参考文献:補助リレー(M)の概要と使用例

タイマ

シーケンサが内部に持っているタイマです。入力条件が満たされている状態が、指定した時間続いた場合にONするデバイスです。タイマはTの記号で表されます。図2では、モーター動作条件としてタイマを使用しています。

タイマの時間設定は、K10などの形で設定します。Kは10進数であることを表し、時間の単位は初期設定で0.1秒になっています。従って、K10は1秒を表しています。この時間の単位はシーケンサの設定で変更可能です。

カウンタ

シーケンサが内部に持っているカウンタです。入力条件が満たされた回数をカウントし、指定した回数に達するとデバイスがONします。カウンタはCの記号で表されます。
図2では扉が開いた数をカウントし、10回カウントしたらブザーで知らせるという使い方をしています。

ラダーの構成

接点

ラダー上で動作条件にあたる部分です。接点には、大きく分けてa接点とb接点があります。

a接点はリレーが繋がっているときにONになる回路です。上図では①、③、⑧、⑩、⑫が該当します。例えば、①ではセンサがONであることが条件として設定されています。

b接点はリレーが繋がっていないときにONになる回路です。上図では⑥が該当します。⑥では、センサがOFFになっていることが動作条件となっています。

この接点には、X、Y、Mなどすべてのデバイスが使用されます。

コイル

図2の右側に記載された回路のように、出力リレーや内部リレーへの出力を動作させる回路です。接点で表された条件が満たされたときに、コイルがONします。④ではタイマがONしたときに、Y001がONするという動作内容になります。

応用命令

各PLCごとに用意されている命令です。図2では使用していませんが、算術計算をしたり、数値の移動をおこなったり、様々な機能が用意されています。

使用頻度が多いものは、MOV命令や四則演算命令です。MOV命令は、数値を違うデバイスに移動するときに使用します。四則演算命令は文字通り四則演算を行う命令です。メーカーごとに使い方が違うため、使用する際は命令語の説明書を参照しましょう。

参考文献:転送 (MOV) 命令の指令方法

参考文献:四則演算のラダープログラム例

機器構成

機械を制御するときに、一般的に使用する機器構成を下記に示します。タッチパネルや操作ボタンを押すことで、PLCの接点がONして、モーターなどの駆動機器を動かすという仕組みになります。

近年は、タッチパネルを使用するケースが一般的です。従って、ラダー作成に加えて、タッチパネル作成が出来る必要があります。

PLC機器構成の画像
PLC機器構成_ロボカル

出典元:三菱電機PLC(シーケンサ MELSEC-Qシリーズ

出典元:三菱電機GOT (GOT2000シリーズ

出典元:キーエンス(アンプ内蔵型光電センサ PZ-G シリーズ
出典元:オリムベクスタ株式会社(オリエンタルモーター NXシリーズ
出典元:IDEC USA(タッチ押しボタンスイッチ

おすすめの習得方法

ラダー図の知識を学習しても、いきなり実用的なラダーを作成できるわけではありません。最も効果的な習得方法は、すでに完成されているラダー図を解読して理解することです。ラダー図を見ながら分からない部分を検索して調べることで、全体像を理解することができます。

その後、既存の設備のラダー図の修正やデバッグを経験すると、より理解が深まります。その状態まできたら、自分でラダー作成を試してみると良いです。

独学で勉強していて、ラダー図のサンプルが無いという方は、下記のサイトが分かりやすく解説していますので、参考にしてみてください。

参考文献:シーケンス制御講座

おすすめのPLCメーカー3選

三菱電機

非常に高いシェア率があり、多くの工場で使用されているPLCになります。三菱のPLCを習得すれば様々な工場で活かすことができます。

三菱電機のシーケンサ MELSEC画像
出典元:三菱電機(シーケンサ MELSEC

キーエンス

三菱電機よりも高価ですが、処理能力が高く、様々な機能を搭載しているため、よりハイエンドなものになっています。また、三菱電機などとの互換性もあるため、三菱で組まれたシステムとリンクすることも出来ます。納期の早さもキーエンスの特徴です。他社メーカーの納期遅延でお困りの場合は、キーエンスのPLCも選択肢に入れると幅が広がります。

PLC / モータ / タッチパネルの画像
出典元:キーエンス(PLC / モータ / タッチパネル

オムロン

三菱電機よりはシェア率が低いですが、比較的一般的に使用されています。大きな仕様は三菱電機と変わらないですが、RUN中書き込み機能が無いため、三菱電機に慣れていると多少の使いにくさを感じる可能性があります。

オムロンCS1D CPUユニットの画像
出典元:オムロン(CS1D CPUユニット

まとめ

PLCは生産設備には欠かせないもので、ラダー作成のスキルがあれば、エンジニアとしての活躍の幅が広がります。PLCの選定やラダー作成でお困りの際は、ぜひロボカルまでお問い合わせください。
また、技術者不足でお困りの方はロボカルエージェントへお問い合わせください。

この記事の監修者
ライター福島淳平
福島淳平
ライター

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