産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.03.27

製造業界におけるOPCとは?OPCサーバについても詳しく解説!

OPCはファクトリーオートメーション(工場の自動化)にとって今やなくてはならない存在となりつつありますが、一体どのような役割をしているのかイメージがつかない人も多いでしょう。

この記事を読むことで、OPCという用語の正確な意味や歴史、OPCサーバなどの関連知識までを一通り学ぶことができます。

この記事の結論

・OPCはデータ通信を円滑にするための通信規格
・OPCの利用で、メーカーや品番が異なる機器同士でも通信可能になる
・OPC Foundationという団体が規格の開発と維持をしている

この記事の結論

・協働ロボットを試しにレンタルで導入する企業が増えている
・協働ロボットは手軽にレンタルが可能
・レンタルは短期間から可能な貸し出し、リースは長期間の貸し出し
・協働ロボットのレンタルは様々な企業が行っている

OPCとは

OPCとは、メーカーや品番が異なる機器同士が円滑にデータ通信をするために定められている通信規格であり、OPC Foundationという団体が規格の開発と維持をしています。

元々は「Object Linking and Embedding(OLE)for Process Control」の略称として使われていましたが、後述するように、時代の変遷に伴い「Open Platform Communications」という意味に変化しつつあります。

OPCの意義はデバイス同士の互換性を高めることです。OPC通信を行うことによって、工場内で使われている機械装置やアプリケーション同士を相互連携させることが可能になります。元々はWindowsの規格として使用されていましたが、現在では製造業を含む様々な産業界で活用されています。

OPCの歴史

OPCは1996年に誕生しましたが、時代の変化とともにその規格も変化してきています。ここでは、従来規格の「OPC Classic」と現在主流の「OPC UA」について解説します。

OPC Classic(1996年〜)

初代OPCはOPC Classicと呼ばれており、1996年にMicrosoft Windowsの通信規格として制定されました。この時代のOPCの用途はWindows関連のデータ通信に限られていました。

しかし製造現場へのパソコンの普及が進むにつれて、OPC Classicの内容を拡張する必要性が生じたため、新たにOPC UAという規格が開発されました。

OPC UA(2006年〜)

OPC Classicの課題を解決するために登場した規格が、OPCの第2世代であるOPC UA(OPC Unified Architecture)です。IoT(Internet of Things)の興隆やインダストリー4.0(第4次産業革命)などの追い風もあり、現在普及が進んでいます。

OPC Classicの登場によって、Windows製品に限らずさまざまなメーカーの機器が共通規格でデータ通信をすることが可能になりました。

そのためOPC UAの登場以後、OPCは従来の「OLE for Process Control」の略語ではなく、より汎用性の高いデータ通信を意図した「Open Platform Communications」の略語として再解釈されるようになってきています。

OPCの用途

製造業界においてOPCはどのように活用されているのでしょうか?ここでは代表的な事例を3つ紹介します。

FA(工場の自動化)システムの簡略化

OPCによる制御を行うことで、複数台の機械装置の管理をよりシンプルにすることができます。

工場内の自動化設備にはさまざまなメーカーの装置が使われており、各装置が品種情報などのデータのやり取りをする必要があります。OPCを利用した制御パソコンを1台設置すれば、異なるメーカー製の装置が共通の規格で通信することが出来るようになるため、システムを簡略化することができます。

トレーサビリティーの取得

OPCを利用すれば品質管理に役立つトレーサビリティーを取得するのが容易になります。

トレーサビリティ(traceability)とは、工場内で製品が通過した製造工程のデータを記録・追跡する機能を指します。たとえば、不良品が発見された際に生産ラインのどの段階で不良品が生じたのかを追跡することで、原因究明に繋げることが可能になります。

工場内の各種装置をOPCサーバに接続しておけば、製品番号や装置のシリアルナンバー、タイムスタンプなどをデータベース化することが可能です。

IoTへの応用

IoT(Internet of Things)とは、機械装置を含むあらゆるモノ同士をネットワークで繋げる技術です。製造業においてはIoT技術を駆使して工場内の装置をネットワークで繋ぐ「スマートファクトリー」の試みが加速しています。

IoTではネットワークを利用するという特性上データ通信量が多くなるため、通信上の負荷を下げることが重要課題となります。OPCサーバを利用することで通信方式を一元化できるため、通信負荷を軽減しより多くのIoTを実現しやすくなります。

OPCの使用に必須のOPCサーバとは

ここからは、ファクトリーオートメーション(工場の自動化)において必須のツールとも言われる「OPCサーバ」に焦点を当てて解説します。

OPCサーバとは

OPCサーバとはOPCで接続された装置群の中心に据えるアプリケーションのことで、工場内の各装置の仲介役を果たします。OPCサーバをインストールしたパソコンをネットワークの中心に据えることで、装置間のデータ通信の無駄を減らせるため、ネットワーク全体の負荷を軽減することができます。

OPCサーバ導入時の4つのポイント

OPCサーバ導入時に考慮すべきポイントは以下の4点です。

  • パソコンの動作環境
  • 機械装置との相性
  • アプリケーション開発に使うプログラミング言語との相性
  • 工場内に実装したい機能

パソコンの動作環境

動作環境に関しては様々な要素がありますが、特にWindowsやMacintoshといったパソコンのOS(オペレーティングシステム)と導入したいOPCサーバとの相性は重要です。

機械装置との相性

OPCサーバを導入する際には接続するメーカーの機械装置での使用実績を事前に調査し、できるだけ実績の多いOPCサーバを選定するのがおすすめです。中には動作負荷などでうまく動作しない機器があるので、注意が必要です。

アプリケーション開発に使うプログラミング言語との相性

OPCサーバを利用したアプリケーションを開発する際に使うプログラミング言語との相性も重要です。製造業界アプリケーション開発では、OSはMicrosoft Windows、統合開発環境(IDE)はMicrosoft Visual Studioを使用するケースが主流となっています。

工場内に実装したい機能

実装したい機能に合わせてOPCサーバを選定することも必要です。たとえば、

  • 接続する装置の数
  • データ通信の頻度
  • データ形式
  • 必要となるデータ容量

といった点を考慮の上で使用環境に適したOPCサーバを選定すると確実です。

まとめ

今回はOPCという用語の正確な意味や歴史、関連知識などについて解説しました。

異なる機器同士が通信するための共通規格であるOPCは、IoTの興隆やインダストリー4.0が進む中で製造業界になくてはならない存在となりつつあります。

OPCを活用することで異なる機器同士が共通規格で通信することが可能になり、工場内のシステムの単純化やトレーサビリティーの取得、スマートファクトリーの推進といったメリットが期待できます。

本記事でご紹介したOPCサーバ導入時のポイントなども考慮しながら、ぜひ導入を検討してみてください。

関連記事