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ナットランナーは、ナットだけでなくボルトやネジを締め付ける過程が必要になるときに利用されている、締結作業用の工具です。別名を「ナット自動締結機」とも呼ばれています。
この記事では、ナットランナーの特徴や作業時の注意点から、知っておきたい技術的なポイントなどを解説しています。また、ナットランナーの種類や導入するメリットにも触れているので、導入を検討される際の参考にしてください。
ナットランナーとは?
ナットランナーとは、ボルトやナットなどの締結作業を行う際に使用される電動工具の一種です。遊星歯車を使用してモーター動力を高トルクの回転力に変換することで、短時間で締結や緩め作業を行うことができます。
自動化や高速化のニーズにも応えるため多くの設備に採用されており、ボルトやネジを締結する際にも使用されることがあります。
ナットランナーにはいくつかのタイプがあり、用途によって選び方が異なります。締めたいナットやボルトの種類のほかに、必要な締め付けトルクによっても適したナットランナーのタイプは異なります。ナットランナーの種類については後述するので、あわせて参考にしてください。
ナットランナーの特徴
ナットランナーには以下のような特徴があります。
産業向けの電動工具
産業向けとして開発された電動工具になるので、販売価格もDIY用に購入するような価格ではないため、一般のホームセンターや工具店ではほとんど取り扱いはありません。
ナットランナーが使用されるのは、大型建築や造船・プラントといった製造工程で多数の締結作業が必要な現場に限定されています。
また、適切な力で締め付けが行われているかを測る「トルク値」を管理するため、トルク精度を維持する点検が必須の工具になっています。
作業時には反力受けが必要
ナットランナーで作業を行う際は、締結時に工具本体が逆回転しようとする力を受け止める反力受けが必要になります。
反力受けがないと、締結完了と同時に反対方向に向けて工具が逆回転を起こしてしまいます。逆回転の反力を作業者に伝えることなく、反力受けで確実に固定することによって、締結トルク値が安定します。
IoT技術の活用が進んでいる
ナットランナーはネットワーク接続による制御や使用記録といった、IoT技術革新が進んでいる工具の一つです。
締結作業は、後の安全性に大きく関係する工程になるため、作業者の熟練度や個人の力量に影響を受けない工具が求められます。
そのため、トルク値や作業履歴が管理できるような、高い付加価値を付けるためのIoT技術の導入・活用が進んでいます。
ナットランナーの種類
ナットランナーには、ストレートタイプ、ピストルタイプ、アングルタイプ、フィクスチャータイプの4種類があります。以下には、それぞれの特徴を解説します。
ストレートタイプ
ストレートタイプのナットランナーは、ナットやネジを締める先端部(ビット)とモーターの入った回転軸、手で握るグリップ部分が、棒状に一直線になっている形式のものです。
ボルトやナットに対して直線的な作業が可能なため、狭いスペースでも使用することができることが特徴になります。
作業スペースが限られている場合でも、取り回しが容易であるため、手動で締め付ける場合に比べても作業時間や作業負荷を軽減することが可能となります。
ピストルタイプ
ピストルタイプのナットランナーは、名称のとおりピストルのような形状のものです。ピストルの引き金を引くような、片手での容易な操作で作業を行えることが特徴となります。作業者の体が入らないような狭いスペースでも、高い作業効率を実現してくれます。
アングルタイプ
アングルタイプのナットランナーは、形状としてはストレートタイプに近いものの、先端が90度に曲がっています。モーター部にギアを入れて先端を横向きにしているため、狭い空間でもナットやネジの締め付けが可能になります。
ストレートタイプやピストルタイプに比べて、トルク伝達能力が高く、特に大型のボルトやナットを締め付ける際に威力を発揮します。
フィクスチャータイプ
フィクスチャータイプのナットランナーは、機械加工部品のサイズ(形状)や締結位置が一定の場合に、工業機械に取り付けて使うことを前提に製作されたナットランナーです
大量生産をする製造工程で、オートメーション化の1部として使用されます。
フィクスチャーと呼ばれる加工や測定を行うための装置と連動するように接続され、正確かつ高速に締結作業を行なうことができます。
ナットランナー導入のメリット
ナットランナー導入には大きなメリットがあります。導入によって得られるメリットは以下のとおりです。
ムラの無い締め付けが可能になる
手動で締め付ける場合、力の入れ方や角度によってはムラが生じると、ナットやボルトが緩む危険性があります。
それに対して、ナットランナーは、電動や空気圧によってムラなく均等の締め付け力がかけられます。
さらに、手動で締め付ける場合に比べ、はるかに高速で締め付け作業を行うことができるため、生産性向上にもつながります。
自動化設備に組み込みやすい
同じ形状の部品の同じ場所を締結作業をする大量生産の工程なら、自動化設備に組み込むことができます。
同じ作業を同じレベルの精度で続けることは機械の得意とする領域で、作業効率の向上だけでなく、労働災害の削減にも寄与してくれることでしょう。
作業の精度を管理するシステムも組み込んで管理できるので、生産性の大幅な向上が望めます。
ナットランナーの導入はロボカルにお任せください!
「ナットランナーの種類や魅力についてはわかったけど、どの製品を選んでいいか分からない」「SIerとのつながりがなく、どのSIerを選べばよいかわからない」初めてナットランナーを導入する際は、こんな不安もあると思います。
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自動的に異常を検出できる
ナットランナーの動作プログラムには、異常検知機能をつけることができます。これは理想とする締結状態をあらかじめ指示しておき、理想条件に該当しないものを自動的に判定する機能です。
何らかの原因で理想通りの締結ができなければ異常検出機能によって早期に発見され、、製品の不具合に対して適切な処置が可能となります。
まとめ
工業機械や建設現場といった作業現場では、ナットランナーは欠かせない工具です。ナットランナーを使えばナットやネジの締付において一定の品質を保てるため、安全性の高い建築物や工業製品を提供することにもつながります。作業員の安全性を保ちながら効率的な作業を実現することもできるナットランナーを、ぜひ利用してみましょう。