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特注の大型門扉製造工程において、熟練職人が手作業で行っている溶接作業をダイヘンの『垂直多関節ロボットFD-B4L』を導入して自動化に成功した応緑株式会社。ロボカル矢部がインタビューさせていただきました。
【会社概要】応緑株式会社
商号 | 応緑株式会社 |
代表者 | 代表取締役 河越祥郞 |
設立 | 1973年(昭和48年)8月 |
本社 | 兵庫県姫路市京町1丁目11番地 |
資本金 | 5,000万円 |
事業内容 | ゲート事業部 ・大型門扉 ・特殊門扉 ・電気錠システム ・格納庫扉 ・大型オーバードアー ・自動ドア ・ リニューアル、メンテナンス ハウジング事業部 ・ リフォーム・トクラス製品・オーダー製品・外構、造園工事 |
施工実績 | 神戸空港、大阪伊丹空港、岩国錦帯橋空港、三沢空港、近畿管区警察局、中国管区警察局 兵庫県警、大阪府警、京都府警 |
ロボカル矢部:
まずはじめに御社の事業内容についてお願い致します。
橋本様:
当社は今年で創業50年を迎える会社で、事業としては大きく2つ、住宅用のコンクリート工事を行うハウジング事業と門扉の設計から施工までを行うゲート事業があります。
今回ロボットを導入したのはゲート部門になります。ゲート事業は本格的に開始してから13年ほどで、現在はほとんど受注生産となっています。ですので、あまりロボット化には向いていなかったのですが、人件費の削減・生産の効率化など、先のことを考えてロボットの導入を進めました。
ロボット導入の経緯
ロボカル矢部:
ロボット導入についてはいつごろからご検討されていたのでしょうか?
橋本様:
導入したのが4年前で、検討してすぐに導入が決まりました。
ロボカル矢部:
検討からあまり時間はかからなかったということでしょうか?
橋本様:
そうですね。まずはトライの意味も込めて導入しました。
ロボカル矢部:
溶接工程にロボットを導入されたと思うのですが、そこにはどういった意図があったのでしょうか?
橋本様:
現在溶接の専門工の方が2名いるのですが、受注が増えるとどうしても溶接工程がボトルネックになってしまうので、そこを解消するために溶接工程に導入しました。
自動化にあたってのSier選定
ロボカル矢部:
自動化にあたって、どのようにSierさんを選定していったのでしょうか?
橋本様:
2〜3社お声掛けしましたが、オペレーターにとって一番簡単に使えるロボットシステムを提案していただいた高丸工業さんにお願いしました。初めての導入だったので、まずは簡単に使うことができることを重要視しました。
ロボカル矢部:
他のSierさんにもお声がけはしたのでしょうか?
橋本様:
他にも2、3社にはお声がけはしました。
ロボカル矢部:
発注まではどのくらいの時間がかかりましたか?
橋本様:
半年ほどです。
ロボカル矢部:
金額としてはおいくらぐらいでしたか?
橋本様:
4,500万円ほどです。
ロボカル矢部:
ロボットの選定は高丸工業さんにお願いされたのでしょうか?
橋本様:
そうですね。高丸工業さんがダイヘン製のロボットを選定してくださいました。
ロボット導入によるメリットと新たな課題
ロボカル矢部:
ロボットを導入して、効率化は進みましたか?
橋本様:
現在はまだ標準化されていない特注品が多すぎるため、あまり稼働できていません。ただ、ロボットを有効活用するには、特注品の中でも標準化できる部分を作らなければいけないということがはっきり分かったことが収穫でした。そのため、現在はロボットを有効活用するために、設計の標準化を進めています。
ロボカル矢部:
導入して良かった点はありますか?
橋本様:
ゲートメーカーでロボットを導入している会社さんがほとんどないので、工場見学や得意先の方々には先進性のアピールになっています。
ロボカル矢部:
導入にあたって苦労した点はありましたか?
橋本様:
ゲートの溶接は上下や左右対称に溶接する必要があり、2台で作業すれば一度にできるのですが、導入したのが1台だったため、作業効率がどうしても上がらないということが導入後に判明しました。
ゲートが700㎏ほどあって、容易に回転などができないため、溶接機自体の数も必要になってきますね。
ロボカル矢部:
それほど大きい製品に対して、ロボットのリーチは届くのでしょうか?
橋本様:
片面はできるのですが、反対側には届かないので、その点も活用しきれていない要因の一つですね。
ロボカル矢部:
両面届くように2台用意しておけばより効率化が進んだということですね。
橋本様:
そうですね。
ロボット化を進めるために周囲の環境を整えていく
ロボカル矢部:
今後のロボット化についてはどのようにお考えでしょうか?
橋本様:
3つほど考えています。
1つ目は先ほどお話した設計の標準化をすることで、ロボットをフル活用できるようにすることです。
2つ目は受注量の増加に伴って工場の移転を考えており、新工場ではロボットを置く前提でシステムの構築をしていくことです。
3つ目は24時間体制で生産ができるようにすることです。新工場を工業地域につくることができれば、もっとロボット化が進んでいくと思います。
ロボカル矢部:
ロボット化をより進められるように、周囲の環境から整えていくということですね。
橋本様:
そうですね。今はあとづけで導入している状態なので、もっと活用できるように環境も整備していきたいと思っています。
ロボカル矢部:
最後にこれからロボットを導入しようと思っている企業様に向けて一言お願い致します
橋本様:
課題のシュミレーションをしっかり行うことが大切ですね。課題の明確さとその対処法を分かったうえで導入すると効率的にロボットを活用することができると思います。
ロボカル矢部:
事前のテストや検証はとても重要ですね。
本日はありがとうございました。
橋本様:
ありがとうございました。
【編集後記】
特注品のゲートという自動化が難しい分野でも、将来を見越してチャレンジしていく姿勢がとても素敵だと思いました。その中でロボット化のノウハウや設計の標準化のノウハウが蓄積されていけば、工場の先進性のアピールというところも含めてより競争力がつく想像ができました。今後どのように自動化されるかが楽しみです!
株式会社ロボカル
技術営業部
責任者
矢部秀一
早稲田大学卒業後、川崎重工業株式会社のロボット部門にて海外営業、国内営業を経験。
大手自動車メーカーや電機メーカーなどに向け約10年間で通算2,000台以上のロボットの販売に携わる。
日本の強みである産業用ロボット業界を更に発展させるため、株式会社ロボカルの立ち上げに従事。ITの力で産業用ロボット業界のビジネス環境を向上させることを目指す。