産業用ロボットSIer 300社掲載

2022.03.19

時代の変化に挑み続ける「ナベル」。ロボットジャケットや協働ロボットなどロボット関連市場参入の戦略について伺いました!

株式会社ナベル
代表取締役社長 永井 規夫 様
ナベル

株式会社ナベルでは、ロボット向けのジャケットのラインアップ拡充と、テックマンロボットの日本正規代理店としてロボット関連市場での業績拡大を目指します。同社の永井社長にその経緯や今後の戦略をロボカルの矢部秀一が伺いました。

【サマリー】
・時代の変化によりカメラの蛇腹からロボットジャケットまでを開発・製造・販売するメーカーに変貌
・テックマンロボットから依頼を受けて協働ロボットの輸入販売も開始
・ロボットに関わる様々なジャケットも開発・製造

株式会社ナベル
株式会社ナベル インタビュー

(右から㈱ナベル 営業部長 米田道生様、㈱ナベル 代表取締役社長 永井規夫様、㈱ロボカル 矢部秀一)

【会社概要】

社名株式会社ナベル
代表者代表取締役社長 永井 規夫
所在地〒518-0131 三重県伊賀市ゆめが丘7丁目2-3
HPwww.bellows.co.jp
TEL0595-21-5060
FAX0595-23-5059
創業1972年10月(永井蛇腹)
設立1988年10月(有限会社 永井蛇腹:資本金800万円)
改組1992年11月(株式会社 ナベル:資本金2,000万円)
資本金5000万円
社員数200人(2022年3月15日現在)

【なぜ蛇腹メーカーがロボットジャケットを取り扱うのか】

ロボカル 矢部秀一:
まずは御社がなぜロボットジャケットを開発・製造することになったのか教えて下さい。

ナベル 永井社長:
1972年に創業してから1980年代にかけては、カメラの蛇腹市場を中心に開拓していました。
ただ、時代の流れからカメラの市場が衰退するにつれて、次の市場を開拓する必要があり医療業界向けにCT、MRIベッド用のフード蛇腹を開発し展開していきました。


さらに、レーザー加工機用の蛇腹も開発し、国内では9割以上の市場シェアを占めるまで成長しました。


ところが、レーザー加工機の主流がCo2レーザーからファイバーレーザーに変わったことで、ファイバーレーザーでは弊社の特殊な蛇腹が必要なくなっていく可能性が出てきました。会社を存続させる為に、また新しいビジネスを考えなくてはならないという状況になりました。


そこで、一般消費者向けに、Bella-Solarという折りたたんで移動が簡単なソーラーパネルを開発したり、蓄電池とセットにしキャンプや震災時に活用いただけるようラインアップを拡充したりとビジネスを拡充していきました。


そんな中、2010年代になり世界中の展示会を回っている中で、従来の安全柵に囲われた産業用ロボットの時代から、人と隣り合わせで作業をする協働ロボットの時代に変貌していくのを感じ、ナベルが活躍できるチャンスであると捉えました。


「これからは、人が料理をする時はエプロンをしたり、ゴルフの時はゴルフウェアを着たりと服装を変えるように、ロボットも環境に合わせてジャケットを着る機会が増える。ロボットジャケットを作る工程は、ナベルがもともと蛇腹メーカーとして持っている、「お客様の要望に合わせて素材メーカーと協業しながらオリジナルな素材を開発し、それを製法する」というノウハウをぴったり活かすことができると仮説を立て、2018年から本格的にファクトリーオートメーション業界に参入しました。

ロボカル 矢部秀一:
これまでも時代の先を読み、ニーズを掴んできた永井社長のお言葉は説得力がありますね。
他のロボットジャケットメーカーと比べてどういうところを強みとして捉えているのでしょうか。

ナベル 永井社長:
蛇腹メーカーとして、素材の特性を吟味し、試験し、具体的にどの程度までジャケットの効果が出せるかを示すことができるところだと考えます。


現在、生地のラインアップとして、防塵・防水用、ブラスト用、塗装用、工作機械・産業機械用、溶接用、食品用の6種類を揃えていますが、それぞれの耐熱性や耐寒性、引張強度や耐薬性などを具体的な数値で示しています。


お客様に信頼していただくために、自社として責任を持って数値を公開しています。また、ロボットの動きの特性に合わせてジャケットを開発できるという特徴も持っています。既に、テックマンロボット、ユニバーサルロボット、ファナック、安川電機、三菱電機、デンソーウェーブの6社の協働ロボットに合わせたジャケットラインアップを揃えております。


しかし、ロボットの動きによっては、ジャケットの擦れや周辺機器との衝突によって特注品が必要になるケースがあります。そのような場合、3Dスキャナーを使用してロボットの動きを解析して、その動きに合わせたジャケットを制作することも可能です。


実際に1ヶ月程度で破れてしまうような窮屈な動きをしていたロボットのジャケットを弊社が専用ジャケットにすることによって3ヶ月以上寿命を延ばすことができたというケースもあります。
我々としては、ジャケットが1ヶ月で破れてどんどん交換されるほうが儲かるのですが(笑)。

【ロボットの様々なジャケットを開発】

ロボカル 矢部秀一;
すごいですね!
これからロボットを導入するときに環境に耐えられるかわからないというお客様から、既にロボットジャケットを使用しているけれども耐久性や効果に疑問があるというお客様まで幅広く相談に乗っていただけるということですね。

ナベル 永井社長:
そうですね。協働ロボット、産業用ロボットともに対応できるので、是非お問い合わせお待ちしています。協働ロボット用のジャケットはAmazonでもご購入いただけるようになっております。ロボットのジャケットだけではなく、制御盤やティーチペンダント、配線のジャケットも用意しております。

【テックマンロボットを扱うことになったきっかけ】

ロボカル 矢部秀一:
ロボットジャケットを取り扱われている理由はとても良くわかりました。
なぜ、テックマンロボットの代理店になられたのでしょうか?

ナベル 永井社長:
実は、ロボットの代理店をやるということに関しては全く考えておりませんでした。ロボットジャケットを作る上で、テックマンロボットにも許可を得るために台湾に向かいました。そこで、プレゼンテーションを実施したときに、先方からロボットを売らないか?という打診を頂いたのがきっかけです。最初はお断りしたのですが、強い要望を頂いてロボットの販売をすることにしました。お客様のことを理解して、より良いジャケットを提供するためには、ロボットのことも理解する必要があると考えたからです。

ロボカル 矢部秀一:
実際にロボットを販売するようになり、変わったことはありましたか?

ナベル 永井社長:
はい。テックマンに内蔵されているカメラのための蛇腹を開発しました。カメラによる認識精度は外乱光や被写体からの反射光などに影響を受け、テストでは認識がうまくいっていたのに、現場では認識しないということが起きてしてしまいます。実際にロボットを販売することになったからこそ、そのような課題に気づき、ロボットの動きを邪魔せずそのような光の問題を解決できるロボットカメラ用の蛇腹を作ることができました。この蛇腹はテックマンにも絶賛され、たくさんのお引き合いを頂くようになりました。

ロボカル 矢部秀一:
ありそうでなかったロボットカメラ用の蛇腹という発想はとてもおもしろいですね!
今後も様々なお客様の痒いところに手が届くアイディア商品が開発されるのが楽しみです。
時代の先を捉えて、新しいものを生み続けてこられた永井社長のお話を伺うことができ、私自身もとても勉強になりました。本日はありがとうございました!

【編集後記】
2019年には日刊工業新聞社の最優秀経営者賞も受賞されている永井社長ですが、お客様の意見やニーズを取り込み、自社のコア技術と融合させ、世の中に製品を出していくということを実直に繰り返した結果なのだと感じました。ご子息にも面会させていただきましたが、自社技術で「世の中の役に立ちたい」というアイデンティティーが受け継がれていて、そういうところから信頼感が生まれるのだと感じました。ナベルのロボットジャケット、是非使用したくなりました!

株式会社ロボカル
技術営業部
責任者
矢部秀一

早稲田大学卒業後、川崎重工業株式会社のロボット部門にて海外営業、国内営業を経験。
大手自動車メーカーや電機メーカーなどに向け約10年間で通算2,000台以上のロボットの販売に携わる。日本の強みである産業用ロボット業界を更に発展させるため、株式会社ロボカルの立ち上げに従事。ITの力で産業用ロボット業界のビジネス環境を向上させることを目指す。