目次
生産技術は工場において重要な役割を担っています。その仕事は多岐に渡るため、広範囲な知識と経験が必要です。それゆえ、非常に需要が高い職種になります。この記事で生産技術について知り、今後のキャリア形成に役立ててください。
生産技術とは
生産技術は工場の生産ラインの設計、管理、改善を行う仕事です。企業によって生産技術の仕事内容は変わってきますが、一般的な生産技術の仕事内容を解説します。
生産ラインの構築
工場には数十台、数百台の機械が導入されています。この生産ラインの構築が生産技術の仕事の一つです。作業者の動きやすさ、物の流れなどを分析して、より効率的な生産ラインを構築していきます。下記に生産ラインの最適化の際に必要な、IE手法に関する知識の一部を紹介します。
工程分析
工程分析は材料が製品になるまでの流れを分析する手法です。対象工程を「加工・運搬・検査・停滞」に分けて分析します。この方法により、生産ラインがスムーズに流れているかを確認することができます。
運搬分析
物の流れの状態を「運搬工程記号」で表し、積み下ろしや停滞の状況を分析する手法です。
これにより、工場内のものの流れが、スムーズになるようなレイアウト構築が可能です。
【関連記事】IEとは?
製造現場の課題発見と解決
工場の目標は、安定した品質の製品をより多く生産することです。しかし、実際には様々なトラブルにより、不良品が発生したり、機械が停止したりします。生産技術担当者の仕事はは、このような課題に対して、その原因の分析や課題解決の対策を発案することです。
この原因分析や課題解決に取り組むときに、「QCストーリー」に沿って行うとスムーズな改善を実施することができます。
さらに、「現状の把握」「原因の分析」「効果の確認」において、QC7つ道具を知っておくと、的確なデータ分析が可能です。
【関連記事】QC7つ道具とは?
設備導入
工場への新規設備導入や、既存設備の改造なども生産技術の仕事です。企業によっては、この分野は設備技術として別部隊を編成しているところもあります。
設備の製作は、設備メーカーに依頼する場合が多いですが、一部を内製する場合もあります。設備の仕様決めから、工場での立上げまで行うことが一般的です。
設備導入を担当する場合、広範囲の知識が必要です。特に重要な知識・スキルを紹介します。
機械設計
設備の立ち上げ時には、各動作箇所がどのように動作するのかを、知っておく必要があります。そのためには、機械図面を理解できる必要があります。さらに、CAD図面の作成ができると図面の修正や、部品の内製が可能です。
参考文献:CADとは?
電気設計
設備を動作させるためには、電気配線が必須です。電気図面の作成ができなくても、図面の内容を理解することは必要です。メーカーに製作を依頼する場合でも、図面を見て修正点や要望を伝える必要があります。
また、PLCに関する知識を身に着けておくと、設備の動作を自分で作成できます。さらに、導入後も不具合が起きた場合に、メーカーに頼ることなく動作変更が可能です。
【関連記事】PLCとは?
ロボットティーチング
現在は多くの設備において、ロボットを使用しています。ロボットを扱ううえで必要なスキルが、「ロボットティーチング」です。ティーチングができる技術者がいれば、ロボットの動きの修正や仕様変更が可能です。
【関連記事】ロボットのティーチング方法は?
生産技術に求められること
生産技術は設計開発の要素もありながら、現場とも密接な関係を持っている仕事です。この仕事で必要なスキルや能力を解説します。
コミュニケーションスキル
生産技術において最も大切なスキルです。生産技術は多方面の部署と連携しながら、仕事を進めていきます。特に生産現場の作業員とのコミュニケーションは重要です。工場内でより多くの人と関わることで、仕事がスムーズに進められるようになります。
分析能力
工場での問題点からその原因を特定する際に、分析能力が必要になってきます。この分析は、前項に挙げた様々な手法があるので、仕事に携わる前から学習しておくと良いでしょう。知識があると、実務に取り組んだときに、より早く習得することができます。
観察力
工場の設備が停止したとき、迅速な復旧が必要です。しかし、毎回その場限りの改善をしているだけでは、同じトラブルが再発することになります。生産技術者には、設備がなぜ停止したのかを観察し、予測を立てて改善に結びつけるスキルが必要です。
生産技術の魅力
生産技術の仕事に取り組む中で、やりがいとなる部分はどんなところにあるのか。生産技術の魅力を解説します。
現場から感謝される
生産技術の仕事の一つは、現場の困りごとを解決してあげることです。作業性や機械の扱いやすさなどを改善できると、現場の作業者から感謝されます。自分のやっていることが役に立っていると感じ、やりがいに繋がります。
結果が数字に表れる
改善や機械導入によって、生産数量や効率が向上するなど、結果が分かりやすく表れます。この数字の改善は企業の利益に直結していきます。このことから企業へ貢献している実感を得られます。
身につけられる技術の幅が広い
生産技術の仕事は、機械的なことから生産プロセスに関連するところまで、幅広く知ることができます。最初は知識や技術が追いつかないこともありますが、仕事をしていく中で自然と色々な技術が身についていきます。これは企業に関わって仕事をする上で、どの部署に行っても活かすことができる技術です。
生産技術の将来性
技術の移り変わりの激しい現代では、職種によっては需要が少なくなってしまう場合もあります。生産技術の将来的な展望について解説します。
生産技術の必要性
各企業が目指している方向性は、工場の自動化です。現在は手作業を極力減らし、ロボットなどを導入しているフェーズになります。さらに今後はAIなどが発展していくと、工場にある機械をPCで一括管理するような方向へ向かっていきます。そうなった場合、工場が自動化されていることが前提となるため、自動化に対応できる生産技術者の需要はますます広がっていきます。
生産技術の希少価値
生産技術のスキルは、勉強で身につけるものよりも、経験で身につけられる部分が大きいです。特に生産現場で何が求められるのかを知るためには、実際に現場に行き、作業者と話してみないと分かりません。このような経験を今のうちにしておくことで、将来は様々な企業から必要とされる存在となります。
フリーランスという選択肢
企業側としては、生産技術者を育てるには時間とコストがかかります。少子高齢化により、年々人員の確保が難しくなっており、企業にとって技術力が高い生産技術者のニーズは高くなっています。
従来、生産技術者の人員確保のためは、派遣会社を頼ることが一般的でした。しかし、最近では個人事業主と提携したロボカルエージェントのような会社が出てきています。技術力があればフリーランスとなり、企業に縛られないより自由度の高い働き方が出来ます。
まとめ
生産技術は様々な経験ができて、非常にやりがいのある仕事です。最初は未経験からスタートする人がほとんどですので、就活や転職でチャレンジしてみることをおすすめします。また、技術を習得した後はフリーランスとして働く選択肢もあります。実際にフリーランスで活躍している先輩の話を聞いてみたい方は、ロボカルエージェントまでお問い合わせください。