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2023.06.19

日本ロボット学会に入会するためには?学会の概要と必要な手続き

日本ロボット学会に入会するためには?学会の概要と必要な手続き

日本ロボット学会は、ロボット学の進展を目的として設置されている日本の学会です。

歴史のある学会であるため、ロボット分野の企業や研究者、専門課程を履修されているかたなら、興味をお持ちの方も多いでしょう。

この記事では日本ロボット学会について、概要や事業内容、入会の手続き方法などをまとめています。またロボット学会にはいくつかの会員資格があるため、会員の種類についてもご紹介します。日本ロボット学会に興味をお持ちの方や、入会を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

日本ロボット学会とは

日本ロボット学会とは

日本ロボット学会とは、日本におけるロボット学の学問領域の発展を目指す研究団体で、ロボットの専門家やロボット研究に従事する学生などが主に会員として所属しています。

ロボット学会は会員に対して、研究発表および技術交流の場を提供しています。

日本ロボット学会の発足は1983年で、すでに40年余の歴史をもつ団体です。2019年の段階で所属する会員の数は4,000名を越えており、賛助団体も100近くにのぼっています。

学会として『日本ロボット学会誌』や、欧文誌である “Advanced Robotics”を発行しているほか、ロボット関連の各種セミナー、論文に対する賞与、研究専門委員会の活動支援などが行われています。

日本ロボット学会の事業

日本ロボット学会の事業

日本ロボット学会の事業内容について、もう少し掘り下げて見てみましょう。具体的には以下のような事業内容があります。

1.学術集会、講習会及び見学会等の開催

学術集会には、学術講演会とロボティクスシンポジアの2種類があります。このうち毎年、定例で開催されている主要行事が学術講演会です。コロナ禍のためオンラインで開催された2021年のものも含め、例年3日〜5日間をかけて特別セッションやシンポジウムを行います。

ロボティクスシンポジアは複数のロボットシンポジウムを統合し、レベルの高い議論を行うことを目的に開催されているシンポジウムです。

2.学会誌、欧文誌、その他刊行物の発行

日本ロボット学会では『日本ロボット学会誌』、および欧文誌である “Advanced Robotics”を発行しています。

『日本ロボット学会誌』は2月・8月を除き年間10号が発行される月刊誌で、ロボット研究や開発動向などの紹介とともに論文誌としても機能するものです。欧文誌 “Advanced Robotics”は、当初『日本ロボット学会誌』の英訳版でしたが、現在では独立の論文誌として年間24号が発行されています。

3.研究及び調査

研究・調査の分野では、研究専門委員会、調査研究専門委員会が設置されています。

研究専門委員会は、学会内で研究分野ごとに専門家が参加しており、最新の研究成果の共有や研究の進捗状況の報告などを行っています。

調査研究専門委員会は、ロボット技術に関する市場動向や産業動向、社会的な問題点などを調査し、その結果を報告する役割を担っています。

これらのほか、外部機関からの受託研究によっても調査研究専門委員会が組織されることがあります。

4.研究の奨励及び研究業績の表彰

ロボット学会全般をとおして研究を奨励しているほか、優秀な研究業績には表彰も行っています。

表彰には、『日本ロボット学会誌』の掲載論文から選ばれる学会誌論文賞、 “Advanced Robotics”誌の掲載論文から選ばれるAdvanced Robotics Paper Awards、そのほか実用化技術賞、優秀研究・技術賞などがあります。

5.内外の関連学術団体との連絡及び協力

日本ロボット学会は、国内のロボット関連団体、学会などと協力してシンポジウムなどを開催したり、外部団体のシンポジウムに協賛したりしています。

また、人工生命とロボット国際学会(AROB)、International Symposium on Robot and Human Communication (ROMAN)といった、海外の研究団体との国際会議も共催・協賛しています。

6.その他、目的を達成するために必要な事業

上記に該当しないものであっても、日本ロボット学会では、学会およびロボット研究に有用な事業活動を行うことがあります。

日本ロボット学会の目的とは、ロボットに関連する研究発表、技術交流を通した、ロボット学の進展です。これらの活動を主眼として、ロボット関連分野の学問や技術の奨励、ロボット関連団体の活動支援などを行います。

会員の種類

会員の種類

日本ロボット学会では、会員にいくつかの種類があります。それぞれについて解説します。

個人会員

個人会員は、正会員、学生会員、名誉会員、終身会員の4種類です。

正会員

正会員になるには、学歴や職歴、研究歴などの一定水準を満たす必要があります。

主な会員には、学術研究者、技術者、企業関係者、教育者が在籍して、学会誌や欧文誌である “Advanced Robotics”の購読が可能になるほか、研究発表会やワークショップなどのイベントに参加することができます。

また、正会員は、学会の方針決定や役員選任の投票権も与えられます。

学生会員

学生会員は、大学学部もしくは大学院課程、あるいはそれに準じる課程の学生のうち、ロボット学やロボット活用に関わる分野を履修している個人が該当します。

日本ロボット学会では、提出された研究や論文に対してさまざまな賞を授与していますが、学生会員は優秀学生賞の選考対象になれるのが特徴です。またIROSで研究投稿をする場合、論文の英文添削や英文翻訳のための奨励金が受けられます。

名誉会員

名誉会員は、日本ロボット学会において、正会員としてすでに特筆すべき何らかの功績を持つ人が該当します。名誉会員になるためには、日本ロボット学会の総会において推薦を受け、承認されなければなりません。

名誉会員になった場合、正会員の資格はそのまま継続となります。

終身会員

終身会員は、65歳以上の正会員が申請できる会員種別です。65歳になる年まで正会員として会員資格を継続していた人のなかから、会員資格の申請があった場合は、理事会で審議のうえ承認されれば終身会員へと変更になります。

申請時点で常勤職を持たないこと、申請年度までの年会費を払い込んでいることも、終身会員承認の条件となります。承認されれば次年度以降の年会費は免除されます。

賛助会員

賛助会員は、日本ロボット学会の目的とする各事業に賛同し、援助を行う団体または個人の資格です。

賛助会員には日本ロボット学会のロゴデータマーク利用が認められるため、企業団体であれば、ロボット関連企業としてのブランド力を高めるのに役立ちます。またロボット工学に関連する優秀な人材からの注目度も高まるなど、さまざまなメリットが受けられる会員資格です。

入会手続きについて

入会手続きについて

ここでは新規の入会手続きに必要な入会費や年会費等について解説します。

入会金・年会費等

入会金が必要なのは正会員のみです。正会員への入会時、入会金1,000円が必要となります。

年会費は、正会員10,000円、学生会員は学生証送付ありの「学生会員A」が4,000円、学生証送付なしの「学生会員B」で2,400円です。

賛助会員に関しては、年会費1口が80,000円となります。賛助口数によって、学会や講演会への参加優待券、セミナー招待券等の枚数が異なり、増口することでたくさんの優待券等を受け取ることができる仕組みです。

まとめ入会手続きの方法

まとめ入会手続きの方法

新規入会手続きの申込みは、日本ロボット学会のホームページから行うことができます。会員区分の選択、住所や氏名、在学中の学校や最終学歴、勤務先、職種・専門分野など、該当する箇所を記入し、送信してください。

日本ロボット学会では、所属すればさまざまな学術論文を参照でき、またセミナーやシンポジウムへの参加も優待が受けられます。ロボット学研究、また企業のロボット分野に携わる人にとっては大変興味深く、また有用な知識や論文発表等の機会を得られることでしょう。

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