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日本国内では、労働者不足の問題が深刻化しています。帝国データバンクの調査によれば、特に情報サービスや建設業、運輸・倉庫業などの業界で人手不足に陥っているようです。
昨今では、こうした社会情勢もあり、産業ロボットの存在が注目されています。世界市場の伸びもあり、国内でも多くのロボット開発スタートアップ・ベンチャー企業が誕生しました。
本記事では、国内で注目すべきスタートアップ・ベンチャー企業を紹介します。
はじめに
産業用ロボットの業界は、「ABB」「ファナック」「安川電機」「KUKA」の4社が世界シェアを占有している状態です。2013年の「80W規制の緩和」以降、協働ロボットの活用も広がりを見せるようになりました。
さらに昨今では、AI(人工知能)の活用も広まっています。AIは、学習を通してパフォーマンスの精度を上げられるのが大きな特徴です。AIとロボットを組み合わせることで、従来のロボットにはできなかった複雑な作業も可能になっています。
ロボットベンチャー企業の仕事ロボット市場の今後
ロボットベンチャーの仕事は、「仕様・用途の策定」「設計・開発」「実証実験・検証実験」「運用」などです。これらをトータルで実施している企業もあれば、「仕様・用途の策定のみ」など、一部の業務に特化したところもあります。
「BtoB」か「BtoC」かによっても、ロボットベンチャーの仕事内容は大きく異なります。例えばBtoBであれば、クライアントへのヒアリングから仕様を考え、協働する形で開発や運用を進めていくという流れです。
ロボットベンチャー企業の将来性
ロボットベンチャー企業、そしてよりマクロな視点としてのロボット業界の将来性は、比較的高いといえます。
例えばBBC Researchによる調査では、ロボットの世界市場規模は2026年までに918億ドル、市場の平均年成長率は10.5%で推移すると想定されています。同調査によれば、2021年の世界市場規模が558億ドルであり、シミュレーション通りであれば5年で約360億ドルの伸びです。
世界規模でロボット産業が盛んになっており、社会的な需要を考えれば、これからもますますその傾向が強まると考えられます。
参考:ドリームニュース|ロボットの市場規模は、2021年から2026年にかけて平均年成長率10.5%増で推移する見込み【市場調査レポート】
ロボットに関するスタートアップ・ベンチャー企業6選
ロボットに関するスタートアップ・ベンチャー企業で注目したいのは、以下の6社です。
- ソフトバンクロボティクス株式会社
- コネクテッドロボティクス株式会社
- 株式会社Mujin
- 株式会社ソラリス
- 株式会社ZMP
- 株式会社ロボカル
企業の概要や事業内容について詳しく紹介します。
The Power of Robotics to Benefit Humanity.
ソフトバンクロボティクス株式会社は、ソフトバンクグループの中核事業である「ロボティクス事業」を手がける企業です。ソフトバンクの元統括部長である冨澤氏を代表取締役に、2014年7月24日に設立されました。
東京ポートシティー竹芝オフィスタワーに本社を構えており、札幌や、仙台、大阪、福岡などにも営業所があります。
ソフトバンクロボティクス株式会社・事業内容
ソフトバンクロボティクス株式会社は、ヒューマノイドロボットやサービスロボットの開発・販売・メンテナンスサービスの提供を行っています。
感情を持ったロボットである「pepper(ペッパー)」や、除菌清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」が、特に注目されています。ソフトバンクグループの安定基盤がありつつ、独自性の高い事業展開をしているのが魅力的です。
食産業をロボティクスで革新する。
コネクテッドロボティクス株式会社は、AI及びロボットコントローラーの開発事業として、2014年2月に設立されました。オフィスが東京農工大学の東小金井キャンパス内にある企業です。
代表取締役/ファウンダーは、MIT発ベンチャーでロボットコントローラー責任開発者をしていた、沢登哲也氏が努めています。
コネクテッドロボティクス株式会社・事業内容
コネクテッドロボティクス株式会社の事業内容は、食産業向けロボットサービスの研究開発・販売です。食産業に特化しており、人手不足や三密(密閉・密集・密接)など、業界ならではの課題と向き合っています。
外食向けのロボットと、食品工場向けのロボットの2種類を主に展開しています。特に盛り付けロボットなど、繊細な作業ができるロボットを多く開発しているのが魅力です。
すべての人に産業用ロボットを
株式会社Mujinは、ロボット工学の権威であるRosen Diankov氏と、製造業出身の滝野一征が共同創業した企業です。2011年7月に設立され、2012年には文京区小石川に本社を開設しました。
現在は東京都江東区に本社を置いており、名古屋とアメリカ、中国にもオフィスを構えています。従業員数は、195人(2022年4月時点)です。
株式会社Mujin・事業内容
株式会社Mujinの事業内容は、「知能ロボットコントローラの開発・販売」「知能ロボットソリューションの提供」の2つです。物流のあらゆる「見て・考えて・取って・置く」を自動化するロボットを開発しており、プログラミングを必要としない自律操作が可能です。
2020年には、日本オープンイノベーション大賞で内閣総理大臣を受賞しています。
参考:株式会社Mujin
ソフトロボティクスこそが、持続可能な社会をつくる。
株式会社ソラリスは、中央大学初めてのベンチャー企業として、2017年9月に設立されました。ソフトロボット、つまり生物の運動をヒントにしたロボットで、さまざまなソリューションを提供しています。
代表取締役社長は、キヤノン株式会社の設計室長、Kyoto Robotics株式会社で開発部長を務めていた梅田清氏です。
株式会社ソラリス・事業内容
株式会社ソラリスの事業内容は、「ソフトロボティクスとメカトロニクスの研究開発・販売・サポート」「人工筋肉の開発と販売」です。
2021年4月に販売を開始した上腕アシスト装置「Taski」は、長時間腕を上げたままの作業をサポートするデバイスです。ほかにも、腸管型ポンプロボットやミミズ型管内走行ロボットなど、生物の動きをヒントにしたユニークな製品が充実しています。
参考:株式会社ソラリス
ロボットを社会インフラへ
株式会社ZMPは、自動運転ロボットを開発するスタートアップ企業として、2001年に設立されました。ロボット業界のなかでも、特にIPOが注目されている企業です。
東京都文京区の小石川に本社を置いており、西日本営業所や九州営業所、ラボなどさまざまな施設を構えています。
株式会社ZMP・事業内容
株式会社ZMPの事業は、「自動運転ソリューション事業」「物流支援ロボット事業」「歩行速ロボ事業」「ロボ・AIプラットフォーム事業」の4つが核となっています。
数十ヶ国のエンジニアを採用しているなど、多様なバックグラウンドを持った人材が多く揃っています。先進運転支援システム「ADAS」や、パナソニックやホンダなどと「ロボットデリバリー協会」を発足するなど、自動運転の分野では重要な存在です。
参考:株式会社ZMP
ロボットで世界を豊かに
株式会社ロボカルは、ロボット導入に際するコスト・工数を削減することで、高品質・低価格・安定納期を実現し、発注者にとって最適なロボット導入を可能にすることを目標に、2021年1月に設立したスタートアップ企業です。
代表取締役社長は、ITベンチャーの(株)ミログの創業に参画後、株式会社ハッピーズを創業、代表取締役社長として、業界No.1のバーティカルメディアを運営していた芦川泰彰氏が努めています。
株式会社ロボカル・事業内容
株式会社ロボカルの事業内容は、「産業用ロボットの受発注プラットフォーム『ロボカル』の企画・開発・運営」です。
構想設計から、原価計算/見積作成/工程管理/品質管理/納入までの全商流に入り込むことで、発注者にかかる様々なコスト(情報収集・見積・業者選定・発注・与信調査・価格正当性他)を削減します。また、ロボット開発会社(Sier)にかかる様々なコスト(営業コスト全般・見積作成・発注者対応・欲しい案件のみを受注)の削減もおこなっています。
ロボットベンチャーで上場している企業3選
ロボットベンチャーで上場している企業で注目したいのは、以下の3社です。
- CYBERDYNE株式会社
- 株式会社エクサウィザーズ
- ファナック株式会社
上記の3つの企業について詳しく解説します。
世界を牽引する総合ロボット企業に
CYBERDYNEは、筑波大学システム情報系・サイバニクス研究センター研究統括 山海嘉之教授の研究成果をもとに、2004年6月に設立されました。2014年には、東証マザーズに上場しています。
CYBERDYNE株式会社・事業内容
CYBERDYNE株式会社は、医療福祉機器や、身体機能改善の治療機器などの研究開発を行っています。さらには重作業を支援するための機器・支援システムなど、産業に関する分野にも力を入れている企業です。
AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する
株式会社エクサウィザーズは、人工知能の開発や実装、戦略立案などをするスタートアップ企業です。2016年2月に設立され、2021年には東証マザーズに上場しました。従業員数は、351人(2021年3月31日時点)です。
株式会社エクサウィザーズ・事業内容
株式会社エクサウィザーズは、AIを活用したさまざまな事業を展開しています。ロボットの分野では、マルチモーダルAIシステムと呼ばれるサービスが代表的です。複数のセンサーを駆使して、ロボットには難しい繊細な作業が可能となっています。
参考:株式会社エクサウィザーズ
ファナックは、世界の工場の稼働率向上を目指しています。
ファナック株式会社は、工場の自動化設備にフォーカスしたメーカーであり、1972年に富士通の子会社として独立しました。1976年には、当時の東京証券取引所市場第二部に上場しています。
ファナック株式会社・事業内容
ファナック株式会社には、「ロボット事業本部」「FA事業本部」「ロボマシン事業本部」の3本の柱があります。従業員の約3分の1がエンジニアであり、技術力の高さが魅力です。
参考:ファナック株式会社
まとめ
ロボット業界のスタートアップやベンチャーは、それぞれ独自の強みを持っています。昨今ではAIが凄まじい勢いを見せており、ロボットと組み合わせることで、さまざまな分野に応用が見込まれるでしょう。
ロボカルでは、ロボット設備導入のプロたちが、業者探しから導入後のアフターサポートまでお客様に寄り添いながら対応させて頂いています。ご提案までは全て無料です。ロボットの導入にお悩みの方は、ぜひお気軽にロボカルにご相談ください。