産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.02.15

産業用ロボットの導入価格(値段)は?費用対効果の計算法や補助金制度を紹介

人材不足や生産性向上のために産業用ロボット(機械)の導入を考えている企業が増えています。しかし、「産業用ロボットっていくらかかるの?」と悩んでいる企業も少なくないはずです。そこで今回は、産業用ロボットの導入に必要な金額や補助金制度について紹介します

この記事の結論

・ロボット本体以外にもコストが発生します。
・ロボット1台に1000万円かかると見積もっておきましょう。
・補助金制度を活用することで負担を抑えることができます。

産業用ロボット本体の価格(値段)

産業用ロボット自体の価格(値段)は決して高くありません。小型ロボットであれば本体価格は100万円台、一般的に生産ラインで使用されている大きさのロボットでも300万~500万円程度で購入できます。

産業用ロボット本体以外に発生するコスト

産業用ロボット(機械)は本体以外にもコストが発生します。本体だけ購入したとしてもロボットは動作せず、稼働させるためにさまざまな製品やサービスを購入しなければなりません。

発生する費用として、ロボット関連装置にかかる費用や法律で定められたロボット周辺機器にかかる費用、システムインテグレータ費用があります。

ロボット関連装置

ロボット関連装置は本体を設置するための装置や、目的の動作を行わせるために本体に取り付ける装置のことです。費用は購入する製品によって変わりますが、少なくとも100万円程度かかります。

具体的には、以下のようなものがあります。

  • ロボット架台
    ロボットを設置するための土台
  • ロボットハンド
    ロボットに目的の動作を行わせるために必要な装置
  • センサー類
    画像認識などを行わせるための装置
  • 走行装置
    ロボットを水平方向に移動させる装置
  • 天吊走行装置
    パラレルリンクロボットなど天井に吊るして水平方向に移動させるための装置

ロボット周辺機器

ロボット周辺機器はロボットを動かすために法で決められた設備や自動化のためにロボット関連装置以外で必要な周辺設備のことを言います。導入する生産ラインの規模によりますが、費用は少なくとも100万円はかかります。

具体的には、以下のようなものがあります。

  • ベルトコンベア
    前後の工程からワークを自動的に運搬するための装置
  • PLC(プログラマブルロジックコントローラ)
    複数の機械を効率よく稼働させるために、あらかじめ動作させる順番を決める制御盤。
  • ワークストッカー
    加工品や製品を傷つけないように置くための装置
  • 安全柵
    人がロボットの可動範囲内に侵入しないようにするための柵
  • エリアセンサー
    作業者が意図せずに安全柵内に侵入した時にロボットを停止させるセンサー
  • 安全プラグ
    安全柵内に入るときにロボットの動作を停止させるための装置

また、周辺機器で必ず設置しなければならないのが、安全柵などの安全設備。法律で定められており、「労働安全衛生規則第150条の4」に次のように記載されています。

事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等産業用ロボットの運転中を除く)において、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずる恐れのあるときは、さく又は囲いを設ける等、危険を防止するために必要な処置を講じなければならない。

労働安全衛生規則 第二編 安全基準 第一章 機械による危険の防止

ただし例外もあり、人と同じ環境で働くことを目的に作られた協働ロボットであれば安全柵はいりません。

システムインテグレータ(SIer)費用

システムインテグレータ(SIer)費用はロボット(機械)の導入から稼働までをサポートしてくれるSIer会社に対して支払う費用のことです。SIer会社や導入する生産ラインの規模によって変わりますが、費用は少なくとも500万円はかかります。

SIerでは主に、以下の業務を行ってくれます。

  • コンサルティング
  • 基本設計、詳細設計
  • 周辺機器の手配
  • ハンドなどの製造
  • システムの組み立て
  • 生産ラインの組立、運搬、設置
  • ティーチング
  • 安全講習

システムインテグレータ費用は本体、関連装置、周辺機器よりも費用負担の割合が大きいことが多いです。しかしながら、自分たちでロボット(機械)を導入することはかなり難しいため、SIer会社にお願いしてもらうようにしましょう。

関連リンク:ロボットシステムインテグレータとは?依頼する内容やメリットを解説

産業用ロボットの導入に必要な総額|具体例あり

産業用ロボット(機械)の導入に必要な総額として少なくとも1000万程度は見積もっておきましょう。

日本ロボット工業会が発行した「ここが知りたい!ロボット活用の基礎知識」に具体例が記載されているのでいくつか紹介します。

例①:部品の工作機械への着脱工程

ロボット本体垂直多関節ロボット1台300万円
ロボット関連装置ロボットハンド
ロボット架台
70万円
ロボット周辺設備安全柵
製品ストッカー
90万円
SIer関連構想設計
リスクアセスメント
詳細設計
製造組立
設置工事、調整、運搬
安全講習
520万円
合計980万円
①部品の工作機械への着脱工程

関連リンク:垂直多関節ロボットのメーカー20社と各社商品を紹介

例②:製品の箱詰め工程

ロボット本体パラレルリンクロボット2台800万円
ロボット関連装置ロボットハンド
カメラ
400万円
ロボット周辺設備コンベア
製函機、封緘機
2500万円
SIer関連構想設計
リスクアセスメント
詳細設計
製造組立
設置工事、調整、運搬
安全講習
1350万円
合計5050万円
②製品の箱詰め工程

関連リンク:箱詰めロボットの種類3選 特徴&メリット導入の注意点(動画つき)

参考:https://robo-navi.com/webroot/document/robokiso.pdf

2つの例をみるとシステムインテグレーションの費用がかなり多額であることがわかるでしょう。また、生産ラインの規模が大きくなるほどシステムインテグレーション費用が増加します。

産業用ロボットの価格帯や相場

産業用ロボットの価格帯や相場について解説します。

産業用ロボットには、組立・検査・搬送等の様々な種類のロボットがあります。

これらのロボットには、それぞれ製造元メーカーがあり、性能や機能・グレードなどが設定されており、多機能でグレードが高いものほど高価格になる傾向です。

また、海外で製造されているものについては、為替等の相場が影響する場合があります。

他にも、性能として高精度・精密性が必要な作業を可能にするロボットほど価格帯が高くなっております。

一般的な産業用ロボットの価格帯や相場は、数百万から数千万円ですが、大型のロボットでは数億円規模の資金が必要になることがあります。

他にも、特殊な用途やカスタマイズを行うロボットも高額になります。

これらのロボットには、設置場所の改装費用だけでなく、定期的な保守や点検、運用費用が必要となるので、導入の際には、これらのコストの計算も重要です。

ファナックの産業用ロボットの価格(値段)

産業用ロボットで有名なファナックですが、製品の価格は公表されていません。

これには、様々な種類が存在しているというだけではありません。

グレードやカスタマイズの有無や種類によって、同じような見た目や同じモデルであったとしても価格は大きく異なります。

ファナックのロボットは、数百〜数千万円の価格内で販売されますが、グレードやカスタマイズだけでなく、使用方法や設置場所などでも変動します。

そのため、小型の工業用ロボットとして有名な「LR Mate 200iD」も、価格は条件によって異なりますが、数百万円となります。同様に、大型の高度作業ロボットとして有名な「M-2000iA」の価格は数千万円前後となります。

これらの有名なロボットに限らず、その他のロボットもオプションやアクセサリーといった価格により変動します。

三菱電機の産業用ロボットの価格(値段)

三菱電機の産業用ロボットも、シリーズやグレードによって値段が大きく異なります。

例えば、RV-Fシリーズの最安値の標準モデルは180万円、最高値のクリーン仕様では350万円(税抜)等の様々なモデルや価格帯が用意されています。

様々なタイプ、価格帯のロボットやグレードに加え、カスタマイズが用意されているため、詳細な価格について知りたい場合には、問い合わせを行うかロボカルのサービスを利用するのがおすすめです。

産業用ロボットの中古価格(値段)

中古の産業用ロボットの価格は、機能や年式、ロボットの状態や需要によって異なります。

購入を検討しているモデルの新品と比較すると30%〜50%程度の価格で販売される事が多いですが、修理が必要な場合は別途で費用が必要となる場合があります。

更に、古いモデルを購入する場合には、費用が安くても生産効率性が落ちることで費用対効果で比較すると結果で見ると高くなることがあるので注意が必要です。

ほとんど新品に近い状態のものは、10%〜20%程度の値下げとなっている場合がありますが、こういった場合でもサポートが行われない場合や、適切なカスタマイズが行われてないことで無駄になってしまうことがあるので、こちらも注意が必要です。

産業用ロボットのレンタル価格(値段)について

産業用ロボットのレンタルは、最新ロボットの導入が行いやすく、購入やリースと比べて比較的安価で導入が出来ることがメリットとして挙げられます。

ただし、リース等に比べて価格(値段)は高くなる傾向があるので、長期的な使用を検討している場合はレンタル以外の方法で導入することをおすすめします。

レンタルで導入を行う場合は、購入等で導入を検討しているモデルをレンタルで試験運用する目的等が一般的です。

レンタルするモデルやグレード、レンタル期間や使用環境等で価格が異なる場合がありますが、月額レンタルといったサービスを提供している会社もあります。

産業用ロボットの価格(値段)・導入費用と効果が見合うか確認する方法

産業用ロボット(機械)を導入する前に投資費用をいつまでに回収できるかを表す「回収期間」を計算しましょう。計算式は以下になります。

投資費用÷(削減できた人件費+増えた利益)=回収期間

例えば、産業用ロボットを1,000万円で導入し、ひと月に25万円の人件費削減、ひと月に25万円の利益向上が見込めるとします。

このとき、回収期間は、
1,000万円÷(25万円+25万円)=20カ月
となり、20カ月で投資費用を回収できることになります。

せっかく多額の投資をして産業用ロボットを導入したのにあまり効果がなかったというようなことがあれば、会社の利益に大きく影響が出てしまいます。導入する前に必ず費用対効果が見合うかどうか検討する必要があります。

産業用ロボットの価格(値段)は補助金で抑えられる

補助金制度を活用することで産業用ロボットの導入コストを抑えられます。そこで、補助金制度をいくつか紹介します。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者が革新的なサービス開発や生産システムの改善による設備投資を行うときに支援する補助金制度です。産業用ロボットを導入すると、機械装置・システム構築費、技術導入費に該当し、最大1000万円の補助金が支給されます。

対象者日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者
および特定非営利活動法人
概要・革新的な製品やサービス開発に必要な設備
・生産プロセスの改善に必要な設備
補助対象経費機械装置・システム構築費、技術導入費
補助金額100万円~1,000万円
設備投資単価50万円以上

業務改善助成金

業務改善助成金は、事業所内の最低賃金を引き上げるための助成金制度。中小企業・小規模事業者が生産効率化のために設備などの投資をするよう推進しています。

産業用ロボットの導入で、事業所内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、投資費用の一部を助成してくれます。

引き上げ額が20円以上の「20円コース」、30円以上の「30円コース」があります。

条件・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内
・事業場内規模100人以下
・引上げた後の賃金を支払うこと
・設備投資の費用を支払っていること
20円コースの補助金額・25万円(1人)
・40万円(2~3人)
・60万円(4~5人)
・80万円(7人以上)
30円コースの補助金額・30万円(1人)
・50万円(2~3人)
・70万円(4~5人)
・100万円(7人以上)

関連リンク:産業用ロボット導入に使える補助金を紹介|金額や適用条件なども解説

まとめ

産業用ロボット(機械)にかかるコストの内容と、補助金制度について紹介しました。

産業用ロボットを購入すると、本体以外にもさまざまな費用が発生してしまいます。費用対効果をしっかりと考えて導入を考えましょう。また、補助金制度を利用することでコストを削減できるかもしれませんので是非活用してみてください。

利益向上、コスト削減のことを考えているのであれば、産業用ロボットの導入をSIerに相談してみましょう。

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