産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.04.30

協働ロボットのレンタルとは?リースとの違いやレンタル企業を紹介

現在の作業員の雇用を確保しつつ、ロボットを導入したいというニーズが多く、昨今はロボットレンタルに注目が集まっています。今回は、協働ロボットのレンタル事情、レンタルとリースの違いからレンタルをしている企業を紹介します。

この記事の結論

・協働ロボットを試しにレンタルで導入する企業が増えている
・協働ロボットは手軽にレンタルが可能
・レンタルは短期間から可能な貸し出し、リースは長期間の貸し出し
・協働ロボットのレンタルは様々な企業が行っている

レンタル化が進む協働ロボット活用

日本国内の労働人口は、近年は慢性的に不足状態に陥っています。年間平均約72万人ずつ減っていく労働人口をカバーするために、メーカーや工場を中心に産業用ロボットの導入を行うケースが増えています。

しかし、人が行っていた作業の全てを産業用ロボットに置き換えるのは現実的ではありません。既存の作業員に対して雇用確保の問題もあります。また、日本の生産メーカーは緻密で複雑な作業も多く、どうしても人手が必要になる現場が残ります。

そこで、最近は人と同じラインで作業ができる「協働ロボット」に注目が集まり始めたのです。人手の作業ならではのきめ細かい作業と、ロボットならではの安定かつ量産が可能な作業の両立が期待できるからです。

ただ多くの生産メーカーは協働ロボットをいきなり導入することに少なからず躊躇を感じるものです。導入コスト発生や作業スペースの確保などの、いくつかのクリアすべき現状課題があるからです。

そのような現場の戸惑いを解消する一手段として、最近は協働ロボットのレンタルの需要が高まっているのです。協働ロボットを導入する前に、お試し的にトライアルが可能なレンタルから始めてみる動きが加速しています。

協働ロボットのレンタル・リースのそれぞれの違い

産業ロボットを購入するのでなく、トライアル的に試す際には「レンタル」と「リース」があります。

レンタルとは、提供元となる企業が保有する協働ロボットという資産を、依頼側がお金を払い借り受けることを指します。一方でリースは、提供元となるリース会社が、依頼側との契約に基づいて商品を代替購入し、それを契約した依頼側に貸し出すサービスです。

レンタルとリースの最も大きな違いは、契約期間です。レンタルは数日単位で短い期間の貸し出しが可能であるのに対し、リースは数ヶ月単位の中長期の貸し出しが基本となります。

また会計上の違いも発生します。レンタルは経費として計上できるのに対し、リースはオフバランスというリース資産として計上するのが一般的です。

レンタル・リースの共通メリット

協働ロボットの本格導入に躊躇する企業に対してニーズが高まるレンタル・リースですが、双方の形態に共通するメリットを解説します。

新しいロボットを試しやすい

産業ロボットの世界は近年急速に発展しています。技術やテクノロジーの進化が速く、ロボットの可動範囲が数年単位で飛躍的に増える時代です。最新のロボットを購入したと思ったら、すぐに新しいタイプが発売されるということもあります。

ロボットを新規購入した場合、時代の変化に合わせて新しいロボットに切り替えたい状況も発生すると思います。しかし購入した場合には、ロボット本体代金を払い終えることはもちろん、廃棄処理費用の発生などのコストも生じます。

リースやレンタルを利用すれば、支払うのは契約に基づいた利用料金だけです。ロボットを使い終わったあとは、借りた企業に返すだけなので廃棄処理費用もかかりません。

「新しいロボットを気軽に試してみたい」と考えている場合、実際に購入するよりも、レンタルやリースを利用したほうがよいでしょう。

固定資産を抱えずコスト管理しやすい

協働ロボットを購入すると自社の資産になりますが、同時に資金面でのリスクを伴うことも忘れてはいけません。資産には固定資産税などの税金が課され、ロボットの稼働状況にかかわらず、自社で所有している間は費用が発生します。

一方、レンタルやリースの場合は、毎月決まった料金を支払えばいいので、それ以外の税金やメンテナンス費などの不規則なコスト管理をする必要がありません。

レンタルのメリット

レンタルのメリットは、短期間から協働ロボットの貸し出しが可能になる点です。協働ロボットを数日から数週間単位という短期間で借りられるため、スポットで必要になったときに利用できるのが強みです。

例えば、もともと稼働していたロボットを修理にださなければならないときや、繁忙期で一時期のみ増産しなけらばならないときは、レンタルが適しているでしょう。

期間に関するレンタルのもうひとつの強みは、利用期間を柔軟にできることです。リースの場合、契約の途中解約は原則できません。しかしレンタルであれば、利用期間に応じた料金を支払えば返却できるケースが多いです。想定より速く当初の目的を達成できたとき、期間相応の料金を支払えば、契約期間に満たなくても返却できます。

また短期間で利用できる点は、本導入前のテスト利用にも最適です。本格的に導入やリースを検討している場合、ロボットを導入するとどれだけ生産性が向上するのかなどの検証データが必要になります。ロボットのレンタルを利用することで、現場でのリアルなデータを取ることができます。

こうした理由から、スポット的な導入目的の場合や短期間であることが決まっているときは、レンタルを活用するとよいでしょう。

リースのメリット

リースのメリットは、中長期間の利用が前提となっているため、一日当たりの費用が安いことです。

短期間貸し出しのレンタルの料金はリースと比べると、比較的高い料金に設定されています。購入と価格を比較しても、協働ロボットを数年単位で利用する場合はリースのほうが安くなることが多いです。またリース期間を満了したのち、期間を延長する場合はさらに安い料金で借りられるのが一般的です。

しかし価格が抑えられるといっても、企業の資産にはなりません。継続的に協働ロボットの活用を検討している場合、半永久的にリース費用を支払うことになってしまいます。リース満了後にリース料金を差し引いた金額で買取ができる企業もありますが、この点は貸出企業に確認が必要です。

そのためロボット導入方法としてリースを選ぶ際は、「ロボットをこれからずっと使い続けるかどうか」を入念に確認しましょう。

協働ロボットのレンタル企業

レンタル化が進む産業ロボットですが、人との作業を前提とした協働ロボットに特化したレンタル企業を紹介します。

オリックス・レンテック

オリックス・レンテックのロボット事業では、ロボットのレンタルサービスをはじめとした、各種サポートサービスを提供しています。

ロボットレンタルサービス「RoboRen」は、国内外の主要なロボットメーカーとの協業により、マルチベンダー対応で、即納の短期レンタル提供が可能なサービスです。

また自社専任のロボットエンジニアを配置し、操作の異なる各種ロボットに対してもサポートをしているため、初めて協働ロボットをレンタルする際にも安心の体制が整っています。

高島ロボットマーケティング

高島ロボットマーケティングは、一日の超短期レンタルから協働ロボットの貸し出しが可能です。

少しだけ協働ロボットを試してみたい時や、展示会・イベントなどのスポットの用途でのレンタルに適しています。費用例は5日間で85,000円~となっているため、比較的安価で協働ロボットのトライアルが可能なレンタル企業といえます。

IDECロボットファクトリー

IDECロボットファクトリーは、SMFLレンタル株式会社との連携のもと、協働ロボットのレンタルを実施しています。取り扱うロボットはユニバーサルロボットの3機種です、 安全柵なしでも人と同じ領域内での作業が可能で、軽量・省スペースなのが特徴です。

細かい作業が多い食料品、医薬品、化粧品などに最適な協働ロボットのレンタルで、用途に応じて、ハンド、力覚センサ、リストカメラ、可台車などのオプションもレンタルが可能です。

まとめ

不可逆的な人口減少の最中にいる日本の生産現場においては、今後も協働ロボットの活躍の場はますます増えていくことが予想されます。

いきなり高額な協働ロボットを購入することに躊躇がある場合は、短期間・低コストで貸し出しが可能なレンタルは協働ロボットに触れる第一歩としては最適です。

協働ロボットが気になっているものの、実際にどれくらい有効活用できるか分からないという人は、まずはレンタルを試してみてはいかがでしょうか。

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