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2021.02.28

スマートファクトリーとは?特徴や移行を成功させるポイントを解説

スマートファクトリー(スマート工場)という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。スマートファクトリーとは備えられた能力を用いて継続的に品質向上や生産効率の向上を図る工場のことです。スマートファクトリーで目指せる未来、そして、スマートファクトリーが実現することで懸念されるポイントについても紹介します。

この記事の結論

・スマートファクトリーとは備えられた能力を用いて継続的に品質向上や生産効率向上を図る工場のこと
・スマートファクトリーかすることで一定の品質が担保され、コスト削減や生産性向上を目指せる
・既存のシステムと連動させることでスマートファクトリー化による失敗を回避できる

スマートファクトリーとは

スマートファクトリーとは、備えられた能力を用いて継続的に品質や生産効率を向上していく工場のことです。デジタルデータを活用して過去の業務内容や過程を分析し、さらなる発展を目指します。

スマートファクトリーは以下の条件を満たします。

  • ロボットで作業が自動化されている
  • 無線技術でケーブルレスな工場になっている
  • 小型で軽量なデバイスで作業や現場状況を確認できる
  • センサーが現場の状況を認識できる
  • センサー、ロボットからのデータを備蓄・分析して活用できる
  • AR技術を利用してマニュアルなどを閲覧できる
  • 生産から物流までを自律的で行うシステムがある

スマートファクトリー化するメリット

スマートファクトリーを実現することで、どのようなメリットが予想されるのでしょうか。主な9つのメリットを紹介します。

①一定の品質が担保される

ロボットで作業を自動化し、人の手が入らないことで、品質にばらつきが生じにくくなります。粗悪品が減り、無駄にしてしまう材料も減らせます。また、検品作業も自動化するため、人による検品よりも見落としが減ります。

問題のある商品が市場に出回ることを回避し、消費者からの信頼を得ることもできるでしょう。

②コストが削減できる

スマートファクトリー化することで、人件費を大幅に削減することも可能です。人件費は毎月継続して発生する費用のため、大きなコストダウンが期待できるでしょう。

また、品質にばらつきがなくなることで不良品率が下がることでも回収コスト削減につながります。

③生産性が上がる

スマートファクトリー化することにより、時間当たりの製造量が増えます。また、稼働時間を長くすることもできるので、さらに生産性が上がるでしょう。

④大量生産が可能になる

生産性が高いため、大量生産も可能です。いつも品切れを起こしていた製品も、品切れを起こしにくくなります。生産量が増えると業界内のシェアの拡大につながり、企業知名度と信頼性の向上も期待できるでしょう。

⑤人材不足が解消される

人手が少なくて済むため、人材不足が解消されます。特に製造業の人材不足は深刻で、人材不足の解消はスマートファクトリー化を進めるうえで重要なポイントと言えるでしょう。

⑥事故のリスクが減る

人と人、人と機械の接点が減るため、事故のリスクも減ります。安全な職場を実現したい方も、スマートファクトリー化を目指すことができます。

⑦稼働状況の把握が楽になる

工場の見える化が進むため、稼働状況が簡単にパネルで把握できるようになります。生産量の調整もスムーズに行えるでしょう。

⑧技術の継承がしやすくなる

かつて技術は人から人に継承するものでした。しかし作業を自動化することで、技術継承していない人でも、機械を操作するだけで作業を行えるようになります。技術者の高齢化が進む中、見逃せないメリットと言えます。

⑨工場間や市場間でのやり取りがスムーズになる

工場間、市場間も見える化が進むため、連絡や調整がスムーズになります。過剰供給・供給不足を減らせるため、無駄のない運営を実現できるでしょう。

スマートファクトリーの懸念点

工程の可視化、在庫の最小化、人員削減など多岐にわたるメリットが見込めるスマートファクトリー。しかし導入にあたっては、考慮すべき点もあります。

導入コストが高い

工場全体を自動化し、他工場や市場と連携するシステムを構築することには、莫大なコストがかかります。導入コストに見合った利益を得られるのか、事前にシミュレーションしておきましょう。

なお、募集期間や補助金額に制限はありますが、政府のIT導入補助金や自治体の補助金等を利用できることがあります。スマートファクトリー化を検討している方は、適用可能な補助金制度があるか確認しておきましょう。

作業の変更にすぐには対応できない

機械は事前にプログラムされた作業しか実施できないため、新しい作業が生じた場合は新しく機械に覚えさせる必要があります

場合によっては機械の調整だけでは対応できないので、新たな機械の導入が必要になることもあるでしょう。多額のコストが発生することもあります。

セキュリティの強化が必須

スマートファクトリーはAIによって管理されているため、サイバー攻撃を受けると、工場全体が止まる恐れがあります。持続的なセキュリティ強化が不可欠です。

スマートファクトリー化する手順

現在の工場をスマートファクトリー化するにはどうすれば良いでしょうか。具体的に4つの手順を紹介します。

  • データの収集
  • データの蓄積
  • データの分析
  • データの活用

データの収集

工場自身が自分で考えて効率向上や問題解決を目指すためには、考える元となるデータの収集が必要です。スマートファクトリー化の第一の手順として、機械やシステムの利用状況などの情報をIoTで収集します。

データの蓄積

データ収集量が多いと、工場の判断材料がより一層増えます。収集した情報をサーバやクラウドに蓄積し、分析できる状態にしておきます。

データの分析

蓄積したデータを、ビッグデータ分析やAIによって分析します。分析する項目が多ければ多いほど、スマートファクトリー化における課題が見えやすくなります。

データの活用

分析したデータを現実世界にフィードバックします。なお、スマートファクトリーにおいて手順は恒久的に続くので、収集されたデータが活用されると、また、新たな知見としてデータを収集し、活用までの手順を繰り返します。

スマートファクトリー化を成功させるポイント

失敗しないスマートファクトリー化のポイントを紹介します。

既存のシステムと連動させること

いきなりすべてを変えても、使いこなせないだけでなく、大量のリストラや多額の出資など困難な問題を同時に抱えることになってしまいます。まずは既存のシステムと連動できる親和性の高いシステム選び、導入しましょう。

どのような工場をしたいのか目標・目的を明確にすること

漠然とAIを導入する場合も、スマートファクトリー化が失敗に終わる可能性があります。AIやIoTを導入してどのような工場にしたいのか、具体的な目標や目的を明確にしてからシステム導入を検討しましょう

ロボット導入の専門家であるロボットシステムインテグレータ等に依頼する場合も、まずは社内で話し合い、解決すべき問題点と到達目標を明確にしておきます。

専門家に相談すること

AI技術は日々進化しています。新しく、なおかつ正確な情報を得て、適切なスマートファクトリー化を実現するためにも、AI導入のコンサルタントやロボットシステムインテグレータ等の専門家に相談することができるでしょう。

しかし、専門家の提案をすべて受け入れるのではなく、取捨選択することが必要です。工場が抱える問題点の解決につながるか、また、目標達成は実現できるのかを厳しくチェックしましょう。

まとめ

スマートファクトリー化によってより効率の良い工場を運営することができます。スマートファクトリー化には、工場や企業が抱える問題を可視化し、目指すべき目標を明確にしておくことが欠かせません。専門家に相談し、既存のシステムと親和性の高いシステムを選び、段階を経てスマートファクトリー化を進めていくようにしましょう。

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