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不二越NACHIは、溶接・塗装・組立・搬送など様々な製造現場で使われる産業用ロボットを幅広く取り扱っています。現場や展示会などで「NACHI」というロゴの入ったロボットを目にしたことがある人も多いでしょう。本記事では、不二越NACHIロボットの種類を適用別にまとめ、実際の導入事例についてもご紹介します。価格やサポート体制についての情報もあるので、ぜひ導入の際の参考にしてください。
不二越NACHIとは?
株式会社不二越は、創業1916年の総合機械メーカーで、100年以上に渡り製造業界に貢献しています。もともとは富山県で工具メーカーとして創業し、その後、ロボット、工作機械、ベアリング、油圧機器など事業の幅を広げていきました。
ロボット事業では、自動車生産ラインで使用されるロボットが主力製品でしたが、その自動化のノウハウや経験を活かして、現在では多様化する製造工程自動化のニーズに応える製品を提供しています。近年では、電子機器や食品業界で使用される小型ロボットに注力しています。
また、同社製品の商標として『NACHIマーク』を掲げており、ロボットには、メインカラーの白地に赤文字でNACHIとロゴが入っています。NACHIというブランド名は熊野の那智大社に由来しており、高い事業意欲を表しています。
不二越NACHIのロボットの特徴
不二越NACHIのロボットの大きな特徴は、高速度・高性能です。ロボットアームの軽量化と高精度な制御技術によって、高速で正確な動きが実現されました。超小型ロボットから超重量可搬の大型ロボットまで幅広く扱っているため、溶接・塗装・組立・搬送など多様な現場で生産性向上に貢献しています。
また、同社には経験豊富なエンジニアが多く在籍しているので、ロボット単体だけでなくシステム全体の提案が可能な点も不二越の特徴です。
不二越NACHIのロボットの種類
不二越ロボットの種類には、どのようなものがあるのでしょうか。ハンドリング・パレタイジング・スポット溶接・シーム溶接・重量物搬送・ガラス基盤搬送・協働ロボットの7つの適用別に、主要な機種をご紹介します。
ハンドリング
ハンドリング適用に適したロボット機種としては、MZシリーズとMRシリーズがあります。MZシリーズは、世界最速の動作性能を誇る小型ロボットです。可搬質量は最小で1kg、最大で25kgのものがあります。
MRシリーズは高い防塵防滴性能により、多様な現場環境に対応できるようになりました。7軸ロボットのため、腕をねじる動作が可能になり、ロボット導入が困難だった工程にも適用可能です。可搬質量は20kg〜50kgです。
2022年には、電機・電子部品向けにMZ Fシリーズの販売も開始しました。これは、MZシリーズよりも更に高速・高精度を追求した最新モデルになります。
パレタイジング
高速パレタイジングロボットと重量物パレタイジングロボットの2機種があります。LPシリーズは段ボールや袋詰めされた食品などを高速でパレットに積載できるロボットです。可搬質量は130kg〜210kgまであります。レンガやコンクリート材を始めとした重量物向けには、470kg〜500kg可搬のMCシリーズがおすすめです。
スポット溶接
スポット溶接適用のロボットとしてはSRA-Hシリーズがあります。中空構造のため、溶接ガン用のケーブル類をアーム内に通すことができ、設備とケーブル類の干渉の心配がありません。
自動車生産ラインの溶接工程にも多く導入されており、活躍しています。また、超高速スポット溶接ロボットのSRAシリーズは、軽量化・高剛性・高速制御が特徴です。サイクルタイムアップによって生産効率の向上に貢献しています。
シーム溶接
シーム溶接とは、板材を円板状の電極で挟み、その電極を回転しながら電流を流すことで溶接する方法です。不二越は世界で唯一、シーム溶接機をロボットに搭載することに成功しました。「ロボットシーム溶接パッケージ」として、シーム溶接機とロボットのセット販売を行なっています。
重量物搬送
重量物の搬送にも、MCシリーズが使われます。MC1000DLについては、最大の可搬重量は1000kgになります。中空構造なのでケーブル類はアーム内を通り、カウンターウェイトもないため、省スペースで狭い工程でも設置できます。自動車のボデー搬送などに役立つのは、超重量可搬のSCシリーズです。700kg可搬な上に最大リーチも長く、上下方向のストロークを大きくとれるといった特徴があります。
ガラス基板搬送
ガラス基板搬送適用のロボットとしては、ST-Cシリーズがあります。ST-Cシリーズは6軸垂直多関節のクリーンロボットです。最大可搬重量は133kg〜210kgで、大型ガラスの搬送にも対応できます。クリーン度はIOSクラス6に該当しているため、クリーンルーム内での使用が可能です。
協働ロボット
協働ロボットのCZ10は人との接触を検知すると停止する安全機能が備わっており、人の手でアームを動かしながら直感的にティーチングできるのが特徴です。また、今年には10kg可搬の協働ロボットCMZ05を販売開始予定です。
導入実績の多いMZシリーズの形を踏襲しており、これまで不二越の産業ロボットを使用していたユーザーにとって使いやすい設計となっています。非協働モードに切り替えも可能で、その場合はMZシリーズと同様に高速で動作可能です。
不二越NACHIのロボットの価格
MZシリーズの7kg可搬のもので200万円〜300万円程度です。
ただ、不二越ロボットの販売価格を確認したところ、同社の公式ホームページにはオープン価格と記載があったので、具体的な販売価格については販売元に問い合わせが必要になります。
不二越NACHIのロボットの導入事例
不二越のロボットは様々な製造工程の自動化に貢献しています。具体的にどのような工程に導入されているのか、その実績をご紹介します。
導入事例① 自動車ボディの溶接
自動車生産ラインでは、プレス工程で作ったパーツを溶接して自動車の骨格を作り上げていきます。溶接工程は生産性と品質の向上のために自動化が進んでおり、多くのロボットが稼働しています。不二越のスポット溶接ロボットSRAシリーズは、大手自動車メーカーで多く導入され、サイクルタイムアップに貢献してきました。
導入事例② ダンボールのパレタイジング
物流分野では、パレタイジングロボットが導入されています。少量多品種生産により、様々な形・大きさのワークの搬送が必要ですが、不二越のLPシリーズは多様な積載パターンを指定することができます。また、動作範囲が広いため、最大約3メートルの高さまで積載可能となっており、積載効率の向上にも役立っています。
導入事例③ 電子部品の組立
電機・電子部品の製造工程では、労働力不足により自動化の需要が高まっています。不二越のMZ07Fは、高性能で高速な動きを実現でき、クリーン度も高いため、クリーンルーム内での電機・電子部品の組立工程に導入されています。
また、MZシリーズと視覚制御技術を掛け合わせた「コネクタ挿入アプリケーション」は、電子機器の接続に用いられるケーブルの挿入作業向けに開発されました。ケーブル挿入作業は自動化の需要はあったものの、ケーブルが柔らかく形状が一定でないことから実現が難しい工程でした。ロボットアームに取り付けたカメラと視覚センサで対象物を3次元で把握、位置決めし、高速でコネクタを挿入することができます。
不二越NACHIのサポート体制
不二越のサービスセンターは東北・関東・東海・北陸・関西・中四国・九州エリアに全部で9ヶ所あります。据付から立ち上げまでのサポート、メンテナンスパーツの販売、ロボットトラブルが発生した際の対応や定期点検など、ロボット納入後のサポートも充実しています。
また、ロボットの操作や保守の方法を学べるロボットスクールも実施しているので、はじめて不二越のロボットを使うという場合は活用すると良いでしょう。
まとめ
今回は不二越NACHIのロボットについてご紹介しました。不二越のロボットは、自動車生産ラインで使われる溶接ロボットや大型ロボットが主流でしたが、近年では電子・電機部品向けに小型のMZシリーズ・MZ Fシリーズに注力しています。
不二越は豊富な製品ラインナップと自動化の経験で、顧客の自動化のニーズに応え、実績を積んでいます。納入後のサポート体制についても、全国にサービスセンターが設置されているので、安心して不二越のロボットを使用することができるでしょう。