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黄色いデザインが特徴的なファナックのロボットは、機能性が高く適用分野も豊富であることから、国内外問わず様々な業界から高い支持を得ています。
本記事では、ファナックのロボットにはどのようなものがあるのか、実際にどのように活用されているのか、事例も踏まえてご紹介します。
ファナックとは?
ファナック株式会社は、山梨県の忍野村に本拠地を置く大手電気機器メーカーです。1956年に日本最初のNCの開発に成功して以来、工作機械用CNC装置で世界トップクラスのシェアを誇っています。
1977年には、主力商品であるCNCとサーボを搭載した産業用ロボットの量産を開始しました。現在は産業用ロボット分野でも、世界シェアの2割を占めています。アジア、アメリカ、ヨーロッパにも拠点があり、近年では上海市で産業用ロボットの工場を増設するなど、特に中国市場に力を入れていることがわかります。
参考文献:ファナック株式会社(ファナックの歴史)
ファナックのロボットの特徴
ファナックのロボットといえば、黄色いデザインが特徴的です。自動車、食品、電子部品など様々な業界の製造工程で使われています。現場で黄色いロボットを目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。多くの業界から支持される高い信頼性がファナックのロボットの特徴です。
また、iRVisionというロボットの制御盤内蔵ビジョンもファナックの強みです。2次元補正、3次元補正、良品検査やバラ積みピッキングといった機能を、カメラやセンサをつなぐだけで使用できます。
ファナックのロボットの種類
ファナックのロボットには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、ファナックのロボットの機種と、それぞれの特徴や適用例をご紹介します。
参考文献:株式会社ファナック(機種一覧)
アーク溶接ロボット
ファナックのARC Mate 100iD/120iDシリーズは、アーク溶接専用のロボットです。ケーブル内蔵型、高剛性、スタイリッシュなデザインが特徴のロボットです。アーク溶接パッケージとして、トーチやポジショナ、トラッキングセンサ等も販売しています。ポジショナとの協調動作によって溶接が難しい形状のワークの溶接を行うことができます。また、トラッキングセンサでリアルタイムにズレを検知する補正機能も活用できます。
アーク溶接については、こちらの記事に詳しく書いてあるので、ご参考ください。
大型ロボット
ファナックの大型ロボットは、可搬質量が100kg〜2300kgのものまであります。
100〜210kg可搬のR-2000iDシリーズは、自動車部品のスポット溶接やハンドリング、組立作業など汎用的に使うことが可能です。冷却水ホースや電源ケーブルをアーム内に配線することができ、周辺設備と干渉する心配がありません。
900〜2300kgの重可搬ロボットであるM-2000iAシリーズは、自動車工場における完成車体の搬送や、大型鋳物のハンドリングなどに適しています。
中型ロボット
ファナックでは、中型フルカバーで25kg可搬のロボットM-20iB/25を製造・販売しています。ケーブルやモータを露出しないフルカバー構造になっているため、工作機械が密集配置されているような環境でも設置がしやすいです。また、密閉構造のため、防塵・防滴性にも優れています(IP67)。
M-20iBシリーズの中でもM-20iB/25Cは、クリーンな環境下でも対応できる機種となっています。食品グリスの採用や、エポキシ塗装でアームの防錆性を向上させる等、工夫がなされています。
塗装ロボット
自動車業界を中心に、ファナックの塗装ロボットは多くの塗装工程で採用されてきました。P-250iB/15 は可搬質量15kgの塗装ロボットで、自動車大型部品の塗装ブースなどで使用されます。小型部品の塗装であれば、5kg可搬のP-40iAが適しています。
関連リンク:塗装ロボットとは?種類や特徴、導入事例も合わせて紹介!
パレタイジングロボット
M-410iCシリーズやM-410iBシリーズがファナックのパレタイジングロボットです。
可搬質量は110kgから700kgまでラインナップがあり、対象のワークに応じて最適なロボットを選択できます。食品業界などで袋ものやダンボール箱の積み上げ、積み下ろし工程に導入されています。
関連リンク:パレタイジングロボットとは?得意な作業や活用事例も合わせて紹介!
スカラロボット
ファナックのスカラロボットは、電気・電子部品業界で活用されています。SR-3iA、SR-6iAは、それぞれ3kg、6kg可搬のスカラロボットです。連続動作の性能が高く、電子部品の組立作業で高いパフォーマンス力を発揮しています。
関連リンク:スカラロボットとは?特徴やできること、活用事例を解説!
ゲンコツロボット
ゲンコツロボットというユニークな名前のロボットは、医薬品・食品・精密電子部品など様々な分野での組立作業に活用される小型高速組立ロボットです。パラレルリンク構造により、俊敏な動作を実現しています。ねじ締めやプリント板の組みつけといった複雑な作業を高速で対応できる点が特徴です。
協働ロボット
ファナックのロボットといえば黄色が特徴的ですが、協働ロボットCRシリーズは緑を基調としています。
色を変えることで協働ロボットとその他のロボットが区別しやすいようにしているとのことです。また、緑のソフトカバーは、衝撃を和らげる効果もあります。
可搬質量は4〜35kgです。
協働ロボットは、ファナックが独自に開発した安全機能により人が触れると停止するようになっています。新型のCRXシリーズは、アームを直接操作して教示するダイレクトティーチが可能です。
関連リンク:協働ロボットとは?特徴や用途、活用事例を解説!
ファナックのロボットの価格
ファナックのロボットの価格は20〜30Kg可搬のもので200〜300万円です(編集部調べ)。
詳細な金額は代理店への問い合わせが必要になります。
株式会社ロボカルでは、ファナックロボットを含めた設備全体のお見積りや自動化構想のご相談を受けております。お気軽にご相談ください。
ファナックのロボットの導入事例
ファナックロボットを使った自動化事例を3つご紹介します。
導入事例① お菓子移載装置
愛知県に本社を置く株式会社コスモ技研は、ロボットによる無人化を中心としたFAエンジニアリング会社です。コスモ技研では、お菓子の製造ラインで上流から搬送されてきたお菓子をトレーに移載する工程の自動化設備を製作しています。この設備に、ファナックのゲンコツロボットが導入されており、ロボット2台で240個/分の処理能力を発揮しています。
導入事例② ポータブルハードディスクの組立工程
株式会社藤田製作所は、愛知県にある電子機器を中心とした製品を製造する会社です。
同社のポータブルハードディスクの組立工程では、ファナックのLR Mat- 200iDでケーシングやラベリング作業を自動化しています。高剛性のアームと先進のサーボ技術により、揺れのない高速動作を実現しています。
参考文献:藤田グループ
導入事例③ アルミ製品のバリ取り工程
千葉県に本拠地を置く株式会社レステックスでは、アルミ製品のバリ取りシステムを構築しており、この設備にファナックの20kg可搬のハンドリングロボットが導入されています。複雑な形状のアルミ鋳造品をロボットで把持して切断仕上げし、その後コンベアへ搬出します。
参考文献:株式会社レステックス
ファナックのサポート体制
最後に、ファナックのサポート体制について解説します。
ロボット講習
ファナックでは、本社のある山梨県と愛知県名古屋市にファナックアカデミという研修施設を有しており、ファナック製品の知識や技術を身につけるための研修を提供しています。対面での講習については、ロボットの教示や基本操作に関するコースもあれば、協働ロボットに特化したコースも準備されています。参加費用は、期間や選択するコースによって異なりますが、5万円代〜17万円程度です。
参考文献:株式会社ファナック(アカデミ講習会)
アフターサービス
国内は、北海道・東北・関東・東海・北陸・近畿・中国・九州エリアに支店、サービス拠点があります。海外も、アメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・アジア・オセアニア地域にサービス拠点を設けています。また、CS24サービスに入会すれば、夜間や休日の緊急電話対応や緊急の部品発送のサービスを受けることが可能です。
まとめ
今回はファナックのロボットについてご紹介しました。
ファナックの強みは、ロボット機種のバリエーションの多さの他に、高性能で顧客のニーズを反映した製品を開発・販売している点にあります。世界トップシェアを誇るメーカーだけあって、導入実績も豊富です。
高い信頼感を持ってロボットを使用することができるでしょう。