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IoT技術の進歩により近年急速に浸透してきた産業用ロボットの中でも、最も代表的なのが垂直多関節ロボットです。
垂直多関節ロボットは4軸~7軸で構成されていて、人の腕に似た動作が可能なロボットです。主要な軸が垂直方向に可動するため、垂直多関節と呼ばれます。汎用性が高く、精緻な作業が可能なため、近年のFA(ファクトリーオートメーション)では必要不可欠です。
本記事では垂直多関節ロボットの特徴、導入事例、おすすめのSIerを紹介します。
・垂直多関節ロボットにより、小スペースで精緻な作業の自動化が可能
・脱型、組立、検査など、広範は工程での利用が可能
・周辺機器や他ロボットを組合わせた自動化システムにより、効率性向上
垂直多関節ロボットの特徴
垂直多関節ロボットは、多種のロボットよりも小さなスペースに設置できる上、熟練工が行うような複雑な作業への対応が可能です。そのため汎用性が高く、工場のワークフローでは、搬送、溶接、塗装、組立といった幅広い工程で利用できます。
垂直多関節ロボットの導入手順
産業用ロボットの導入で想定通りの効率化を実現するには、充分な準備が必要です。綿密な計算の下システム設計をしなくては、本来の効率改善効果が実現できないからです。
以下のような導入の手順に沿い、経験豊富なSIerと相談して導入を進めて下さい。
- 導入の目的を明確に設定
- システムの構想
- 構想提案に基づいた仕様の定義
- 生産システムの詳細設計
- 製造・納入前テスト
- 稼働開始
- 保守・点検
各手順の詳細は、以下の記事をご参考下さい。
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垂直多関節ロボットを導入するときのポイント
垂直多関節ロボットは、省スペースで設置出来る上に、搬送、溶接、塗装、組立等のあらゆる工程に導入することが可能です。自社工場に産業用ロボットの導入を考えているなら、間違いなく垂直多関節ロボットが選択肢に入ります。
導入の際には、以下のポイントを考慮してください。
- 導入の目的を明確化
- 導入費用とその効果が見合うのか確認
- 水平多関節ロボットに関する情報収集
- 「提案依頼書(RFP)」の原案を作成
- 導入を依頼する会社を選定
各ポイントの詳細は、以下の記事をご参考下さい。
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垂直多関節ロボット導入するときに同時に導入したい周辺機器
垂直多関節ロボットは、様々な周辺機器と組み合わせてはじめて真価を発揮します。既製ロボットを周辺機器として取り入れることも多いですが、システムの用途・目的に応じてオーダーメードされることも多くあります。
垂直多関節ロボットと組み合わされることが多い周辺機器は、以下の3種類です。
エンドエフェクタ
エンドエフェクタは、水平多関節ロボットのアームの先端に取りつけられるパーツで、実際に対象物と接触する部品です。エンドエフェクタの種類には、物を掴む「グリッパ」、物を吸着する「吸着エンドエフェクタ」、マルチタスクの「汎用ハンド」等が有ります。多品種小ロットの製品に対しては、エンドエフェクタを工夫することで対応が可能です。
視覚センサ
垂直多関節ロボットの強みは、多軸を活かして対象物へ三次元的なアプローチが可能な点です。強みを充分に活かすために、周辺機器に視覚センサを設置し、対象物の視覚データ(面積、重心、長さ、位置等)を利用することがよくあります。
コンベア
垂直多関節ロボットは、連続的に運搬されてきた部品や製品に対する加工作業を担うことが多いです。コンベアは、加工の対象となる荷物を連続的に運ぶ機械を指します。運搬される荷物の速度や流量に応じて垂直多関節ロボットの稼働を調整するため、多くの場合、コンベアとセンサが一体化して運用されます。
垂直多関節ロボットの導入事例
化粧品生産工程に導入し手作業を代替
化粧品の製造過程で、マイクロニードルの脱型・組立作業は、マイクロニードルの繊細で傷つきやすい性質から熟練工の手作業で行われていました。
上記脱型・組立作業に対する垂直多関節ロボットの導入では、粘着テープの取扱いが課題でしたが、人の手による作業を模倣する動きによりこれを解決しました。作業人員の効率化、生産数量の安定化に加え、化粧品に特有の無菌化にも貢献した事例です。
部品着脱ロボットのシステム簡素化
航空産業向けの部品製造において切削加工を行うマシニングセンターのワーク着脱工程を自動化した事例です。マシニングセンターのワーク着脱工程は、ワークが多品種に及ぶことから判別・把持に課題があり、垂直多関節ロボットの導入に高額な費用が必要であったため、立ち遅れていました。
本事例では、使用するワークの種類の絞り込みや、ワークの把持部分の設計変更の工夫などにより、ロボットシステムの導入コストの4割程度削減を達成しました。人力による場合と比較すると10倍近くの生産性向上が達成でき、充分なリターンが得られています。
食品の重量検査作業とパレタイズ作業の標準化
多品種少量生産、多品種多様製品である食料品のパレタイズにおいて、垂直多関節ロボットに吸着エンドエフェクタ、重量検査器、製品識別カメラ等を組み合わせた自動化システムを導入した事例です。
従来、専属要員が人力で行っていたパレタイズ作業及び重量検査作業を自動化したことで、作業人員が約5分の1に減少しました。
垂直多関節ロボットの導入が得意なSIer
髙丸工業株式会社
髙丸工業は、周辺機器も含めた産業用ロボットシステムを提供している関西のSIerです。オーダーメードのシステム構築を強みとしている他、これまでに事例の無い専用機械の製造・販売もしており、目的に対する最適なソリューションの提案に力を置いています。
ロボット導入事例を数多く持つ、有力企業です。
対応業種 | 金属、非鉄金属、鉄道 他 |
対応プロセス | 搬送、溶接、溶断、バリ取り 他 |
住所 | 兵庫県西宮市朝凪町1-50 JFE西宮工場内 |
URL | https://www.takamaru.com/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
株式会社ヒロテック
ヒロテックは、1958年に設立された国際的なエンジニアリング企業です。自動車部品の製造事業を主業としつつ、ロボットシステムのSIerとして多くの実績を有します。自動車業界で培った技術やノウハウを活かして、あらゆる産業でのロボットを通じた自動化を行っています。
対応業種 | 自動車、食品 他 |
対応プロセス | パレタイズ、接合、検査 他 |
住所 | 広島市佐伯区石内南5丁目2番1号 |
URL | http://www.hirotec.co.jp/robot/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
サンワテクノス株式会社
サンワテクノスは、電機事業、電子部品事業、機械事業を営む東証1部上場の技術商社です。電子回路部品や機械製品の販売にとどまらず、機電一体システムやFA機器を扱っています。エンジニアリングサポートを積極的に行っているため、産業用ロボット導入の際には大きな力になってくれるでしょう。
対応業種 | エネルギー、物流、 他 |
対応プロセス | 搬送、検査 他 |
住所 | 東京都中央区京橋3-1-1 |
URL | https://www.sunwa.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
まとめ
垂直多関節ロボットは、工場の自動化分野でこれまで最も多く導入されてきた機械です。他のロボットと比較して、精緻な作業を行うことができるので、周辺機器とも組み合わせれば活用範囲は広範にわたります。
質の良いSIerの多くが垂直多関節ロボットを扱っていますので、ワークフローやラインの自動化を目指す際には、相談してみてはどうでしょうか。