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プラスチック製品産業は射出成形機などを使い、プラスチックを成形して製品を作る業界で、成形の自動化や搬送・ハンドリングなどの工程に産業用ロボットの導入することで生産効率の向上や品質向上が見込めます。
本記事では、そんなプラスチック製品産業分野へのロボット導入が得意なSIerを5社ご紹介します。
・プラスチック製品業界では産業用ロボット導入による自動化が可能
・品質向上や生産性向上、省人化の効果が得られる
・成形、バリ取り、搬送、検査などの工程で多くの実績がある
プラスチック製品産業で産業用ロボットは導入できる
成形工程を自動化したいなら直角座標型ロボット
プラスチックの成形工程は単純作業なので、作業者への人気が無く自動化が求められる工程です。
直角座標ロボットなら単純な動きをする分繰り返し作業に強く、コストも安く導入できます。
バリ取りを自動化したいなら多関節ロボット
バリ取りは熟練技術者の不足から自動化ニーズが高いです。
自動化が難しいと言われてきた工程ですが、近年、多関節ロボットを使ったバリ取りが実用化されました。
成形工程にあえてバリを多く残すことで、簡単にバリをとる手法も生み出されています。
プラスチック製品産業で産業用ロボットを導入してできること
プラスチック製品産業で産業用ロボットを導入してできることは以下の3つです。
- 省人化の実現
- 生産量調整の容易化
- 品質の安定化、歩留まり向上
省人化の実現
プラスチック製品の工場では、人材を確保するのが難しく、操業度が下がる問題があります。
産業用ロボットは成形、バリ取り、検査、箱詰めまでの各工程に導入可能なので、単調作業を代替させることで効率的に人員削減が実現できます。
生産量調整の容易化
日によって必要な生産量が異なる場合、生産量を調整するのは人員確保の面からも難しいです。
産業用ロボットなら24時間365日稼働でき、稼働率を変えるのも簡単なので、簡単に生産量を調整できるでしょう。
品質の安定化、歩留まり向上
プラスチック製品の製造では単調作業の工程がありますが、人による作業だとヒューマンエラーが発生し、品質のばらつきが生じる問題があります。
産業用ロボットであれば、プログラム通りの操作を高い精度で繰り返せるので、安定した品質が期待でき、歩留まりも向上します。
プラスチック製品業界で産業用ロボットを導入されやすい工程
プラスチック製品業界で産業用ロボットを導入されやすい工程は以下の3つです。
- 成形工程
- 加工工程
- ゲートカット工程
成形工程
プラスチック成形機への投入や取り出しは、産業用ロボットを導入しやすい工程です。
単調作業なので自動化による人件費削減や作業者への負担軽減につながります。
射出成形やブロー成形、押出成形などの各種成形工程はもちろん、最近ではインサート成形の自動化もできるようになっています。
加工工程
プラスチック材料を対象とした切削加工も、産業用ロボットを導入しやすい工程です。
NC工作機械の代わりに多関節ロボットを使うことで導入コストを抑え、機械の専有面積も小さくできます。
ゲートカット工程
ランナーからパーツを取り出すゲートカット工程も、自動化しやすい工程です。
成形機からの取り出しや、製品ストッカーへの投入と同時に行うことで、さらなる工程の効率化につながります。
プラスチック製品産業での産業用ロボットの導入が得意なSIer
日本国内にはプラスチック製品産業へのロボット導入実績が豊富で、多くの企業から信頼を獲得しているSIerが多数存在します。
ここでは代表的なSIerを5社ピックアップして紹介します。
株式会社ユーシン精機
「株式会社ユーシン精機」は京都府に本社を持ち、プラスチック製品の自動化装置に特化したSIer企業です。
各種自動化装置を製造・販売しているほか、設計から導入、保守点検までのFAソリューションもワンストップで取り扱っています。
対応業種 | プラスチック製品、食品製造業、汎用機械器具 |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 京都市南区久世殿城町555番地 |
URL | https://www.ype.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 有 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
株式会社マクシスエンジニアリング
「株式会社マクシスエンジニアリング」は、愛知県に本社を持ち、FAシステムの開発・製造を主な事業とするSier企業です。
技術力が売りで、オリジナル製品の開発や新技術開発も行っており、自動車や電気デバイス、プラント設備を始め、業界を問わず様々な自動化装置を納入した実績があります。
対応業種 | 金属製品、プラスチック製品、生産用機械器具、業務用機械器具、非鉄金属、住宅産業、電子部品・デバイス、情報通信機械器具、電気機械器具、食品製造業、医薬品、半導体、輸送用機械器具、汎用機械器具 |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 愛知県名古屋市中区栄三丁目6番1号 栄三丁目ビルディング 10階 |
URL | https://www.maxis-inc.com/index.html |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
DAISEN株式会社
「DAISEN株式会社」は、岐阜県に拠点を持つ、発泡プラスチック成形機シェア国内No.1の企業です。
成形事業で蓄積した知見をもとに、プラスチック製品の生産現場の省力化に注力しており、産業用ロボットによる成形工程の自動化で実績が多数あります。
対応業種 | プラスチック製品、生産用機械器具、業務用機械器具、食品製造業、輸送用機械器具、汎用機械器具 |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、製造・組立、電気配線、システム制御、ティーチング |
住所 | 岐阜県中津川市駒場町2番25 |
URL | http://www.daisen-inc.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
松栄テクノサービス株式会社
「松栄テクノサービス株式会社」は、愛知県を拠点とし、溶接ロボットを中心にロボットシステムを提供しているSier企業です。
各メーカーの協業ロボットを使い、ロボットシステムを開発からアフターフォローまでワンストップで提供しています。
対応業種 | 電子部品・デバイス、プラスチック製品、住宅産業、医薬品、半導体、機械器具全般、電気機械器具、非鉄金属など |
対応プロセス | 構想設計、仕様定義、機械設計、制御設計、システム制御、ティーチング |
住所 | 愛知県長久手市作田2丁目909番地 |
URL | https://www.shoeitechno.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | 無 |
ロボットショールームの有無 | 無 |
筑波エンジニアリング株式会社
「筑波エンジニアリング株式会社」は、茨城県に拠点を持ち、ファナックロボットを中心にロボットシステムを導入しているSier企業です。
搬送、組立、検査工程の自動化が得意で、プラスチック製品のインサート成形、バリ取り工程へのロボット導入実績もあります。
プラスチック製品産業における産業用ロボットの導入事例
プラスチック製品産業に産業用ロボットを導入することで、作業効率化や省人化、品質向上を実現した事例は数多くあります。
導入事例を5つ紹介しますので参考にしてください。
- インサート成形の自動化
- 成形品のバリ取り
- トレー移送及び整列工程へのロボット導入
- ピッキング・ゲートカットへのロボット導入
- 大型発泡スチロール切削のロボット導入
インサート成形の自動化
プラスチック成形の取り出し工程では、生産性向上のためにロボットを利用することが多いです。
さらなる効率向上に向けて、プラスチック成形の際にワークを取り付け、インサート成形することがあるのですが、こちらは自動化の難易度が高いという問題点がありました。
そこで、多関節ロボットを使い位置決め精度をあげることで、インサート成形を自動化し、人件費の削減を実現しています。
成形品のバリ取り
プラスチックの成形では必ずバリが発生するので、バリ取りの工程が必要です。
しかしバリ取りの工程は自動化が難しく、作業者が取り除く必要があったためコストがかかっていました。
そこで、日本省力機械では、六軸の多関節ロボットを組み合わせ、刃を高速振動させて成形品の形状にあわせて移動させ、バリ取りの自動化を実現しました。
射出成形機からの取り出しと合わせてロボットを活用することで、バリ取りまでの工程を無人化できます。
トレー移送及び整列工程へのロボット導入
電子基板用コネクターの生産において、製造後にトレーに入れる工程があります。
従来は手作業でトレーに整列して入れていたのですが、急な増産に対応できない問題があり、また単純作業なので人為的ミスが発生してしまう問題がありました。
この工程に産業用ロボットを導入することで、これらの問題を解決し、生産量の調整と人件費削減、品質向上が実現しました。
ピッキング・ゲートカットへのロボット導入
プラスチック製品の工場では、成形後にゲートカットを行う工程があります。
このゲートカットは人力で行っていましたが、24時間操業するための人員が不足しつつあり、操業率が下がってしまう問題がありました。
そこで、成形後の工程にロボットを導入することで、カメラで製品の輪郭を認識し、ゲートカットの自動化を実現しました。
またゲートカット後の製品をピッキングし、製品ストッカーに入れるまでを自動化し、人員の削減も実現しています。
大型発泡スチロール切削のロボット導入
大型発泡スチロールを使った3D造形を行う企業では、3DCADのデータをもとに切削を行い、立体的な造形を作っています。
ただ、従来の3軸や4軸の産業用ロボットでは複雑な造形が難しく、部品を分けて自動切削し、人が仕上げと組立を行う必要がありました。
そこで、多関節ロボットを導入することで、大型の発泡スチロールを丸ごと切削し、造形を完成できるようになりました。
切除用の3DCADデータの作成には時間がかかるようになりましたが、その分メンテナンス時間が減少し、制作効率が増加しています。
まとめ
今回は、プラスチック製品業界への産業用ロボット導入事例と、おすすめのSIer企業を紹介しました。
プラスチック製品の製造は成形やバリ取り、搬送工程などで産業用ロボットが導入でき、品質や生産効率の向上が期待できます。
生産設備の自動化で迷っているなら、豊富な実績を持つSIer企業に相談すれば、最適な生産ラインを提案してくれるので、一度相談してみてはいかがでしょうか。