産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.06.30

ピッキングができるロボットとは?導入メリットを解説

インターネットで買い物を行うことが当たり前となり、スピーディな対応が可能になったのは、ピッキング作業の効率化が進歩したことが非常に大きく帰依していると言われています。今回はピッキングの効率を支えるロボットについて、注目される背景から導入メリットまで解説します。

この記事の結論

・ピッキングロボットとはモノを取り出す(ピックアップする)作業を行う
・ピッキングロボットが注目される背景は「EC化」「人手不足」
・ピッキングロボット導入のメリットは「作業精度の向上」「人為的ミスの削減」
・ピッキングロボット導入のデメリットは「費用が高額」「広いスペースの確保」

ピッキングロボットとは

「ピッキング」とは、工場や倉庫で指示書や伝票に基づいてモノを取り出す(ピックアップする)作業を指します。このピッキング作業を専用に行うのがピッキングロボットです。

ピッキング作業はパターン化しやすいですが、物流倉庫でのピッキング作業は複雑です。商品を棚から探す場合も、商品の重さ、形・サイズなど違う製品が混在しています。さらに日々商品が入荷されて、運び込まれる場所もまちまちになったりします。

広い倉庫から対象の商品を探し出し、1個ずつ取り出すという作業は自動化するのが難しいといわれ、従来は人手で行っていましたが、近年ロボット導入が進みはじめています。

製造業ではすでに多くの現場でピッキングロボットが使われています。自動車工場などでロボットが様々な部品をロボットが組み立てたりしている光景を、テレビなどで見たことがある人は多いのではないでしょうか。

他にも電気・機械部品の組み立て、食品や化粧品の工場など様々なところでピッキングロボットは幅広く活躍しています。

ピッキングロボットが注目される背景

ピッキングの作業はどのような業種であっても、物流倉庫全般の課題となっています。その理由をお伝えします。

消費者のEC化率の向上

消費者のEC化ニーズの急増により、物流倉庫の自動化は急務となっています。

近年の消費者のEC化率の上昇は目を見張るものがあります。2019年に経済産業省が発表した国内におけるBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、前年比7.65%増の19兆4000億円でした。

新型コロナ禍における巣ごもり消費の拡大や、厚生労働省が公開した「新しい生活様式」でネットショッピングを推奨している影響で、今後もさらにEC利用が増加する見通しです。

今後も増え続けるEC需要に対応した体制を整えることが、物流倉庫の喫緊の課題となっています。

作業者の人手不足

過熱する消費者のEC化と反比例して、工場現場では手不足の問題が深刻化しています。

物流現場では作業を担える人手不足が進行しているものの、全般的な労働人口減少のあおりを受けて、作業者の新規採用も難航しています。

人手で商品のピックングを行うのは限界に達しており、現場からはロボットの活用ニーズが高まっているのです。

ピッキングロボット導入のメリット

ピッキングをロボットに任せるメリットについて解説します。

作業効率が上がる 

ピッキングの作業は指定された製品を棚から取り出し、指定の場所に運ぶ単純作業です。この工程をロボットに任せると作業量を増やすことができ、ピックングの作業効率が上がります。

さらに人手に比べると、重いものを運ぶなど過酷な労働環境にも対応できるばかりでなく、危険な環境での作業も可能になります。

ピッキングをロボットに任せた結果、複雑な作業に熟練者を回すことができ、工場全体の作業の割り当ての効率化にもつながります。

人為的ミスが削減できる

ピッキング作業は製品数が多岐に渡るため、物流業務の中でもミスの多い工程の一つです。人手の作業の場合はどれほど単純作業であっても人為的ミスはゼロにできませんが、ロボットの作業の場合はミスが回避できます。

製品のピッキングミスはダイレクトに消費者からのクレームにつながりかねません。メーカーの信頼度を上げるためにも、ピッキングをロボットに任せるメリットはあります。

ピッキングロボと導入のデメリット

導入費用が高額

ピッキングロボットを導入する上で、大きな問題となるのが導入コストです。産業用ロボットは小型のものであれば、本体だけで100万円台から入手できます。しかし必要な機材は本体だけではないため、その他にも多くの費用を負担しなくてはなりません。

導入するロボットやプランにより価格は異なるため、ロボットが稼働するまでの全ての工程で発生するコストを精緻に見積もる必要があります。

見積ったあとは、現在掛かっているコストと比較し、どれくらいの期間で投下資金を回収できるかなど、計画をよく練ったうえでロボット導入を検討する必要があるでしょう。

人手作業よりもスペースが必要

ロボット導入は人手で作業するよりもスペースが必要になる場合もあります。特に熟練作業員が数名でピッキングを行っている現場は、ロボットを設置するスペースがさらに必要となるため注意が必要です。

またロボット導入にあたっては事前に現在の工場の作業プロセスの洗い出しや、新しいレイアウト変更等の手間も新たに発生します。

まとめ

ロボットによるピッキング作業の自動化は、EC化が進む現代においては消費者の購買行動に直結する課題となっています。

ロボットによって倉庫内の大量にある棚の中から素早く欲しい商品を探し出し、運送の行程の効率化が進めば、消費者はパソコンで手軽にお買い物ができ、最短でその日の内に商品を手にすることができています。

ピッキングロボットは最近注目され始めた分野のため、今後もメーカーによる開発が続くと予想されます。省人化、効率性、正確性やコスト低減によるいろいろな面でロボット導入のメリットが期待できます。

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