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非鉄金属産業では、自動化の事例が多い「鋳造」「ダイカスト」工程のみならず、「研磨」「検査」工程においても産業用ロボットの導入が検討可能です。
本記事では、非鉄金属産業の各種工程における産業用ロボットの活用方法を紹介し、産業用ロボットの導入が得意なSIerを5社ご紹介します。
・水平多関節ロボット、水平多関節ロボットにより、自動化が可能
・バリ取り、検査工程においても産業用ロボットの導入事例がある
・各種工程毎に、産業用ロボットの導入が得意なSIerが存在する
非鉄金属業界で、産業用ロボットは導入できる
鋳造・ダイカストを効率化したいなら水平・垂直多関節ロボット
一般的に、鋳造作業には、金型の清掃、注湯、取り出しという工程を経る必要があります。これらの工程を効率化し、生産量の増加や生産コストの削減を目指すためには、産業用ロボットを導入することが有用です。
実際に、金型の清掃、溶湯の注入・ハンドリング・冷却等をロボットに行わせることで、生産量を上昇させた事例が有ります。
また、鋳造作業の主要部分は高温環境での重労働作業であり、熟練技を必要とすることが多いです。
それらの人力作業をロボットによる作業へ置き換えることで、安全性の向上や製造工程の不安定化要因の排除することが可能です。
バリ取り・研磨・検査工程を自動化したいなら多関節ロボット
部品加工後に必要となる、トリミング、バリ取り、研磨は、溶融炉のそばの悪環境下で行う場合が多い上、高温の破片が飛び散るため、人力には適さない工程です。
バリ取り工程や研磨工程で、品質の安定化や生産性の向上を図りたい場合には、多関節ロボットの導入がおすすめです。
また、ロボットによる検査生産システムを導入することで、抜き取り検査ではなく完全全数検査が可能になる場合もあります。
非鉄金属業界で、産業用ロボットを導入してできること
産業用ロボットの導入により、非鉄金属産業に関する工場において、以下を効率化することが可能です。
- 鋳造・ダイカストにおける、注湯、金型の清掃、取り出し
- 部品加工後のバリ取り、表面研磨
- 部品加工後の検査、清浄、梱包
鋳造・ダイカストにおける、注湯、金型の清掃、取り出し
垂直多関節ロボットの導入により、金型の清掃、容器のハンドリング、冷却を自動化し、鋳造品の低コスト化を図ることが可能です。
また、産業用ロボットは大量生産を前提に導入されるため、多品種小ロットの部品の生産においてはメリットが得られないと考えられがちです。
しかし、ハンドリングが容易な工程のみであれば、部品の取り出し、金型へのセット等の工程で、水平多関節ロボット(スカラロボット)を利用し、効率化を図ることが可能です。
部品加工後のバリ取り、表面研磨
同様に、垂直多関節ロボットの導入により、バリ取りや表面研磨を自動化することが出来ます。これにより、完全自動化や作業員の人数削減が可能です。
また、金属の凝固時の収縮の影響を除くために用いられる押し湯を、リターン材として活用する場合、垂直多関節ロボットの導入によって省エネルギーを達成できる場合があります。
部品加工後の検査、清浄、梱包
多関節ロボットにより、ダイカスト鋳造品の全数検査を行うことが可能です。例えば、ロボットにより製品を所定の向きにそろえ、様々な確度からカメラと画像処理技術による外観検査ができます。
また、電装製品へ取りつけられる部品は異形製品であるため、多くの場合従来人手での清浄が行われています。そこで、垂直多関節ロボットのハンドリング技術と画像処理技術を利用することで、検査・清浄工程を自動化することが可能です。
パワーアシストスーツの利用も提案されていて、梱包作業の作業者にパワーアシストスーツを装着することで、腰痛予防の効果が期待できます。特定の繰り返し動作を行う場合に適合すると言われています。
非鉄金属業界で産業用ロボットを導入されやすい工程
注湯工程
金型への注湯作業は、時には数百度を超える製品を扱う重労働であり、作業員が行うには危険が伴う上に熟練技が必要ですが、垂直多関節ロボットにより代替することが可能です。
金型の清掃工程
鋳造の全工程を1台のロボットで自動化する場合も多いですが、金型の清掃工程が生産量のボトルネックになる場合が多いです。
そこで、垂直多関節ロボットをもう一台導入し、金型の清掃工程のみ行わせることで、生産量を上昇させることが期待出来ます。
表面研磨工程
製品表面に発生するヒートラック等の凹凸除去のための表面研磨作業を、産業用ロボットによって補助することが可能です。
作業者にツールチェンジャーを持たせ、力センサーを用いて工具の押付力を制御することで、ロボットの微調整不要で作業者人数を減らすことが可能です。
バリ取り工程
従来、リューター等により人力で除去されているバリやカエリを、多関節ロボットにより除去させることで、品質のバラツキや、作業員の安全性、生産性の向上の実現が可能です。
検査工程
多くの鋳造企業で検討されている、鋳造品の検査の自動化ですが、多関節ロボットを行うことで一定の成果が得られます。
例えば、ロボットで製品を所定の向きにそろえ、様々な角度からカメラによる外観検査を行うが可能です。
非鉄金属業界での産業用ロボットの導入が得意なSIer
林精器製造株式会社
ハンドリングに強みを持ち、注湯工程や金型の清掃工程における産業用ロボットの導入において期待できるSIerです。
対応業種 | 医療、金属製品、非鉄金属 |
対応プロセス | ハンドリング、研磨、検査 |
住所 | 福島県須賀川市森宿字向日向45番地 |
URL | http://www.hayashiseiki.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | あり |
ロボットショールームの有無 | なし |
メカトロ・アソシエーツ 株式会社
ハンドリングに強みを持ち、注湯工程や金型の清掃工程における産業用ロボットの導入において期待できるSIerです。
対応業種 | 金属製品、非鉄金属 |
対応プロセス | ハンドリング、研磨 |
住所 | 石川県小松市一針町ヌ57番地1 |
URL | https://www.mec-as.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | なし |
ロボットショールームの有無 | なし |
ファインテクノ
研削・研磨技術を持つため、バリ取り、研磨工程における産業用ロボットの導入において期待できるSIerです。
対応業種 | 金属製品、非鉄金属 |
対応プロセス | 鋳造、バリ取り、研磨 |
住所 | 愛知県豊田市駒場町西12-2 |
URL | https://www.fine-techno.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | なし |
ロボットショールームの有無 | なし |
レステックス
センサや制御技術に強みを持っており、押し湯やバリ取り工程における産業用ロボットの導入において期待できるSIerです。
対応業種 | 金属製品、非鉄金属 |
対応プロセス | 鋳造、バリ取り |
住所 | 千葉県松戸市西馬橋蔵元町21 |
URL | https://restex.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | なし |
ロボットショールームの有無 | あり |
シナデック
検査装置に強みを持っており、検査工程における産業用ロボットの導入において期待できるSIerです。
対応業種 | 金属製品、非鉄金属 |
対応プロセス | 検査 |
住所 | 神奈川県海老名市上今泉2-10-16 |
URL | https://www.synerdec.co.jp/ |
ロボットスクールの有無 | なし |
ロボットショールームの有無 | なし |
非鉄金属産業における産業用ロボットの導入事例
金型鋳造の注湯・製品取り出し工程にロボットを導入
鋳造作業は、高温環境下で身体的負荷のかかる作業であり、熟練の技術を持つ作業員が不足しているところ、当該製品では2名で作業を行っていました。
作業員の疲労など人的要因による、品質不良や生産のバラつきを抑え、安全性向上、生産量の不安定要因の除去をめざし、安川電機の垂直多関節ロボットの導入を行いました。
導入にあたっては、連続溶解炉、金型鋳造機、切断機など新規設備を投入して専用ラインを構築し、金型への溶湯の注湯、製品の取り出し工程と搬送工程にロボットを活用しました。
結果、作業人員は2名が1名に省力化されたと共に、流出不良が減り時間あたり生産量が増加しました。
超高圧ノズル素材の形成加工工程にロボットを導入
旋盤加工、切削加工等の工程は設備ごとに人力に頼り製造していましたが、超高圧ノズル用超硬合金素材の生産性向上を目指し、ファナックの垂直多関節ロボットを導入しました。
多関節ロボットを旋盤機上部に配置し、トレイからのワーク取り出し、チャックへの着脱及びトレイへの戻しの一連動作を行わせることで、作業人員が2人から1人に減りました。また、1日あたり生産量も50個から120個へと大幅に上昇させた上、品質の安定化も達成しました。
製品の表面研磨工程にロボットを導入
アルミニウムダイカスト製品において、製品表面に発生するヒートクラック等の凹凸を除去する作業に、垂直多関節ロボットを導入しました。
結果、作業者2名で表面研磨の作業を1名+ロボットへ減らすことができ、製品コストを低減することが出来ました。
従来、作業者が持つエアー工具(デュアルアクションサンダー、ベルトサンダー等)を、ツールチェンジャーにより自動で持ち替えを可能とした上で、力センサーを利用して手作業に近い仕上げと細かな位置の微調整が不要なロボットシステムを実現しました。
ロボットを用いた効率的なエネルギーマネジメント
アルミ鋳造工程における、鋳造から切断までの全工程を、ファナックの垂直多関節ロボットにより自動化しました。
その結果、押し湯(リターン材)の冷却が不要となったため、再溶解時のエネルギー削減を実現することが出来ました。
従来の人作業による押し湯の切断、仕上げを行うためには、製品の冷却工程が不可欠でしたが、ロボットの活用により、温度低下によるエネルギーロスを最小限にとどめることに成功しました。
製造ラインの検査・搬送・清浄工程
人手作業で行っていた機械加工部品の清浄、遺物検査、トレーへの移載作業を、三菱電機の垂直多関節ロボットにより自動化しました。
ロボットの導入により作業人員の大幅な削減(3.8人から0.2人)、生産量の上昇(690個/日から1035個/日)、品質の向上が達成出来ました。
多関節ロボットによる異形製品のハンドリング、画像処理技術による製品位置角度の調整を可能にすることで、検査・清浄工程の自動化を実現する事ができました。
まとめ
今回は、非鉄金属産業においてどのように産業用ロボットを活用するか、活用する際におすすめのSIerについて紹介しました。
鋳造・ダイカストの各種工程、部品加工後の処理といったプロセスで、産業用ロボットを導入する余地は多くありそうです。
是非、産業用ロボットの導入について、前向きにご検討下さい。