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2023.04.10

ロジスティードソリューションズ|サウザーでの物流自動化の取り組みとは?

ロジスティードソリューションズの「サウザー」を使った物流自動化の取り組みとは?サムネイル

物流現場では、倉庫内のレイアウト変更や商品の需給バランスの変化に柔軟に対応する必要があり、AGVやロボットを使った自動化にハードルを感じている企業も多いでしょう。ロジスティードソリューションズが販売する協働運搬ロボット「サウザー」は、こうした環境の変化への対応力が高く、さらにはIoTにより倉庫の基幹システムと連携することで、業務の効率化も期待できる商品です。

今回の記事では、サウザーについての基本的な機能、導入効果や他社製品との比較をまとめました。

ロジスティードソリューションズについて

ロジスティードソリューションズ株式会社は、物流システム関連のシステムインテグレーターです。2023年4月1日より、社名が日立物流ソフトウェアからロジスティードソリューションズ株式会社に変更になりました。

主要株主は、日立製作所(25%)・ロジスティード(旧日立物流)(75%)です。日立グループの企業で唯一、WMS(倉庫管理システム)に特化したシステムインテグレーターになります。ロジスティードソリューションズでは、ロボットとWMSを連携させることで、物流現場の効率化・省人化に向けたソリューションを提供しています。

参考文献:ロジスティードソリューションズ株式会社

物流ロボット「サウザー(THOUZER)」とは?

ロジスティードソリューションズでは、株式会社Doog(ドーグ)が製造する協働運搬ロボット「サウザー(THOUZER)」の販売やシステム開発を行っています。サウザーは、人や台車の後を追従したり、AGVのように無人でラインを走行したりできるのが特徴です。主に、物流現場でのピッキング業務、補充業務、運搬作業の省人化に効果的なロボットです。

株式会社Doog(以下、Doog)は、茨城県つくば市のロボットメーカーで、移動ロボット機器の製造・販売、独自の制御技術の提供を行っています。Doogとロジスティードソリューションズは2017年に協業を開始しました。以来、ロジスティードソリューションズでは物流分野向けにサウザーの拡販を担っています。

参考文献:ロジスティードソリューションズ株式会社(追従運搬ロボット「サウザー」の取り扱いを開始

サウザーの仕様

ロジスティードソリューションズ株式会社のサウザー画像
出典元:協働運搬ロボット「サウザー(THOUZER)」ロジスティードソリューションズ株式会社

サウザーについて、仕様や基本機能を詳しくご紹介します。表にサウザーの基本仕様をまとめました。

サウザーの基本仕様表
【表】サウザーの基本仕様_ロボカル

サウザー本体への最大積載重量は120kgです。また、台車などを牽引して移動することもでき、最大300kgまでの荷物を牽引可能です。一般的なAGVのような特別なプログラムは不要で、ボタン一つで走行開始します。1台から導入可能で、走行経路も反射テープを貼ることで設定できるため、導入は非常に簡単です。

サウザーの3つの基本機能

次に、サウザーに備わっている3つの基本機能について詳しくご紹介します。

①自動追従機能

自動追従機能は、レーザーセンサーで追跡対象を区別し、等距離を保ちながら追従走行する機能です。人や台車の後を追従して走行するだけでなく、複数台のサウザーを連続走行させることも可能です。また、経路上に障害物がある場合でも、障害物を避けて走行することができます。自動追従機能を使用することで一回の搬送量を減らすことができるので、現場の省人化に繋がります。

ライントレース機能

ライントレース機能とは、反射テープで作った経路上を無人で走行する機能です。経路設定の専門的な知識がなくても、反射テープを貼るだけで経路を設定することができます。反射テープであれば床に凹凸ができないため、人やフォークリフトの移動の邪魔をせず、撤去も簡単です。荷主や商品の需給バランス、時期などによって物量や配置が変わる物流現場ですが、反射テープであれば柔軟にレイアウトの変更が可能です。

③ハイウェイ方式

ハイウェイ式図
出典元:ロジスティードソリューションズ株式会社(ハイウェイ式)

ハイウェイ方式とは、「バーコードマーカの認識」「環境認識」「IoT 対応」によって先述のライントレース機能を拡張することで、ライン上の目的地へ移動できる機能です。ライン上にバーコードマーカを設置することで、サウザーは指定された目的地に向けて分岐したり、速度変更をしたりできます。環境認識とは、サウザー同士で検出し、自立判断によって譲り合いながら走行するためのものです。

AGVを複数台導入した場合、渋滞が発生する恐れがあるため、この環境認識の技術でサウザー同士の衝突を防ぎます。また、IoT対応によって倉庫管理システム(WMS)と連動し、システム側から作業指示をしたり、サウザー側から現在位置や作業状態を報告したりすることができます。

導入事例

それでは、ロジスティードソリューションズによるサウザーを使った物流倉庫自動化の事例と、その導入効果についてご紹介します。

ロジスティード首都圏株式会社の事例

ロジスティード首都圏(旧日立物流首都圏)は、首都圏地区で物流センターの運営、トラックによる商品配送などの物流サービスを展開する企業です。同社の千葉中央センターでは、ピッキングした商品を出荷場へ配送する倉庫内の作業を、サウザーで自動化しています。

出荷場で最大300kgの商品を積んだ3台の6輪カートをサウザーに連結し、自動走行で100m先の出荷場まで搬送します。サウザー2台を導入しており、1台が搬送している間にもう1台が出荷場に戻るようにすることで、断続的に搬送することを可能にしました。

導入効果

作業者が1台ずつカートで商品を運んでいたところを、1回で3台のカートを無人搬送できるようになり、作業効率の向上につながりました。また、作業人員を3人から2人に削減することができ、物流現場の人員不足といった問題も補うことができました。作業者の身体的負担も軽減し、作業者の職場環境の改善にも貢献しています。

参考文献:ロジスティードソリューションズ株式会社(導入事例)

AGVメーカー各社との比較

ロジスティードソリューションズが取り扱う株式会社Doog製のサウザーと、他のメーカーが出しているけん引型AGVを比較しました。

各社AGVの比較表図
【表】各社AGVの比較_ ロボカル

トヨタL&F キーカート

トヨタL&Fは、株式会社豊田自動織機の社内カンパニーで、フォークリフトを始めとした物流現場や倉庫で使われる搬送機器を販売する会社です。トヨタL&Fでは、牽引型のAGVであるキーカートを取り扱っています。

基本タイプのATBE05は500kgまで牽引可能だが、中には1000kgまで牽引可能なシリーズもあり、サウザーと比べ、重量物の搬送に適しています。

オプションで、無線機による遠隔での稼働状況のモニターや交差点制御は可能ですが、WMSとの連携については未対応のようです。

参考文献:トヨタL&F(シンプルAGV キーカート)

愛知機械テクノシステム株式会社 CarryBee

愛知機械テクノシステム株式会社は、愛知機械工業株式会社のグループ会社として、AGVの設計・製造・販売を行っています。愛知機械テクノシステムのAGVであるCarryBeeの牽引タイプは、400kg〜1500kgまで牽引可能です。

重量級の部品を搬送できるため、従来フォークリフトで運んでいた部品をCarryBeeに置き換えて搬送効率を上げることができます。豊富なラインナップで、用途に合わせて製品を選ぶことができる点がメリットです。走行の向きや走行停止、速度切替は、プログラムで設定する必要があります。

参考文献:愛知機械テクノシステム株式会社(製品紹介)

株式会社ZMP CarriRo AD

株式会社ZMPは、自動運転技術やロボット開発を行うベンチャー企業です。物流支援ロボットのCarriRo ADは、サウザーと同様に、追従走行や自律移動が可能です。

走行経路も、ランドマークと呼ばれるシールを貼るだけで設定でき、CarriRo ADに搭載されたカメラでランドマークを画像認識することで、その指示に従って方向を変えたり位置を補正したりします。

また、ロジスティードソリューションズがサウザーとWMSを連携させているように、CarriRoをシステムと連携させるサービスとして「ROBO-HI」というクラウドサービスを活用することも可能です。

参考文献:株式会社ZMP(物流支援ロボットCarriRo)

まとめ

今回は、ロジスティードソリューションズの物流自動化ソリューションの一つである協働運搬ロボット「サウザー」をご紹介しました。サウザーは、自動追従機能で運搬作業を効率化し、ライントレース機能で無人走行による省人化を実現します。

また、ハイウェイ方式により外部システムと連携した運用が可能な点は、他社製品と差別化された特徴です。スマートロジスティクスの取り組みを検討される際に、今回の記事も参考になれば幸いです。

この記事の監修者
滝元朔
滝元 朔
フリーライター

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