産業用ロボットSIer 300社掲載

2023.06.20

産業用ロボットアームの自作方法とは?増えるニーズに応えよう!

白い背景にロボットアーム3D

産業用ロボットアームを自作する企業が増えています。多様化する顧客ニーズへの対応や、コストメリットが大きいなどの理由で、現在、ロボットアームの自作を検討している方もいるのではないでしょうか。近年は開発環境が整えやすくなっており、高度な技術を持ったエンジニアがいなくても、内製化できるようになりました。

この記事はロボットアームの仕組み、内製化の利点、内製化の方法について解説しています。自社に合った自作方法を選ぶ参考にしてください。

ロボットアームの仕組み

空のコンベアベルト3Dレンダリングを有する産業用ロボットアーム

ロボットアームの仕組みは、人間の関節と骨に似ています。関節にあたる部分が「ジョイント」で、骨にあたる部分が「リンク」です。ジョイントを動かしてリンクに力を伝えることで、さまざまな動きを実現可能です。

ロボットアームは主にアクチュエーター、減速機、エンコーダ、伝導機構で構成されます。

アクチュエーターはジョイントを構成する要素で、アームを上下や左右に動かす動力になります。代表例はモーターです。減速機もジョイントを構成する要素で、アクチュエーターの出力を増幅します。通常、モーター1つに対して減速機が1つ付きます。

エンコーダはアクチュエーターの回転軸の位置(角度)を検出するセンサです。伝導機構はアクチュエーターの動力を伝える要素です。力の方向や大きさを変えることもできます。

内製化の利点

仮想インターフェイスを備えたプロジェクトマネージャの監視と制御の自動化ロボットアーム

ロボットアームなどの産業用ロボットを内製化する企業が増えています。どのようなメリットがあるのでしょうか。

自由な設計

ロボットアームを外注する場合、業者が現場作業や従業員のニーズをよく知らないために、認識のズレが生じがちです。結果として、細かな点で使い勝手が悪いロボットアームや、高機能だけれど使いこなせないロボットアームなどが導入されてしまいます。

ロボットアームを内製化すれば、現場の声を自社エンジニアがヒアリングしながらロボットアームを設計できます。また、現場業務を担当している従業員を開発メンバーに加えることもできるでしょう。その都度フィードバックをすることで、自社の生産ラインに最適化した自由な設計が可能になります。

技術の向上

ロボットアームを内製化すると、技術の向上、ナレッジの蓄積につながります。短期的にみれば外製化に比べて成果が出るまでの時間がかかるかもしれませんが、中長期的にみれば社内に優秀なエンジニアを育成することにつながります。

自作によって知識や経験を蓄積していけば、さらに優れたロボットアームを作れるようになるでしょう。また、初期の開発メンバーは外部の研修やサポートが必要ですが、技術が向上するにつれて自社エンジニアが新入社員などを教えられるようになります。

省スペース

市販のロボットアームは大型が多いのが特徴です。幅広い目的や用途に対応しなければならないため、オーバースペックにせざるを得ないからです。

大型ロボットアームのなかには、ジョイント数が多く複雑な動きを実現できるものや、リンクの剛性が高いものも多くあります。しかし、現実的には大は小を兼ねるとはいかず、必要な台数を設置できなかったり、安全柵を設けるためにムダなスペースを使ってしまったりするケースが少なくありません。

しかし、ロボットアームを内製化すれば、必要な機能だけを実装するため、コンパクトなサイズにできます。

コストの抑制

ロボットアームを外注すると、開発コストが大きくなります。本体費用だけでなく、システム設計やプログラム作成など、多くの人件費がかかるのが特徴です。また、ロボットアームを使い続ける限り、運用・保守の費用も継続的に費用がかかってしまいます。

しかし、自社社員で開発から運用・保守まで対応できるようになれば、コストを最小限に抑えられます。もちろん人材育成や技術開発などに費用はかかりますが、長期的に考えるとコストメリットが大きくなるしょう。

内製化の方法

生産ラインの製造元の工場でのロボットハンド

内製化の方法は大きく分けて、キットを利用する方法、部品を購入する方法、ロボットメーカーのサポートを利用する方法があります。それぞれについて解説します。

キットを利用し組み立てる

ロボットアームを簡単に自作できるキットが販売されています。教育目的のキットが多いため用途は限られますが、プロトタイプ作成などに役立つでしょう。価格も数千円~数万円程度と安価です。

産業用のキットもあります。例えば、アーム先端にさまざまなオブジェクトを取り付けられるキットや、サーボモーターを直接接続できるキットなどが販売されています。

要素部品を購入し自作する

単体のパーツを購入してロボットアームを自作できます。例えば、サーボモーターやマイコンボード、先端に取り付けるエンドエフェクタ(ロボットハンド)、光エンコーダなどを購入して自作します。

製作コストを抑えたい場合には、汎用的なモーターやギアを使うとよいでしょう。コストが安いうえ、部品交換やメンテナンスをしやすいのがメリットです。

ロボットメーカーのサポートを利用する

ロボットアームを設計、製造、販売しているロボットメーカーのサポートを受ける方法もあります。内製化のためのカスタマイズや部品供給に対応しているメーカーを選べば、開発期間を短縮できます。また、困ったときに相談できるのもメリットです。

近年は、ロボット導入をサポートする専門家である「ロボットシステムインテグレータ」の支援を受ける企業も増えています。企画構想やシステム設計、動作テストなどのサポートを受けられます。

ロボットアームの自作についてのまとめ

白い背景に空白のスペースを持つ2つの白いロボット

ロボットアームを自作すれば、自社ラインに最適化したロボットアームを導入できます。また、技術向上やコストカットなど、多くのメリットを期待できます。

自社に合った内製方法で、ロボットアームの自作に取り組んでみてはいかがでしょうか。専門家のサポートを受けるのもよい方法です。

ロボカルでは、ロボット設備導入のプロたちが、業者探しから導入後のアフターサポートまでお客様に寄り添いながら対応させて頂いています。ご提案までは全て無料です。

ロボットの導入にお悩みの方は、ぜひお気軽にロボカルにご相談ください。

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