産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.06.30

産業用ロボットのメーカーの選び方は?主要メーカーの特徴も解説

実際に産業用ロボットの導入を検討をすると、さまざまな産業用ロボットメーカーがありどのメーカーを選べばよいかわからないという声も多く聞かれます。

今回は産業用ロボットのメーカーの選び方とともに、主要なメーカーの特徴を解説します。

この記事の結論

・産業用ロボット市場は成長しており、BIG4のメーカーが牽引している
・メーカーの選び方は「性能」「場面」「価格」「対応地域」
・主要なメーカー10社の特徴を紹介

産業用ロボットの市場動向

産業用ロボットの市場規模や今後の展望、市場を牽引するメーカーについて紹介します。

市場の現状と将来

日本政府は2014年にロボット技術を活用して、製造業、医療、交通などの産業変革に向けた成長戦略の柱の1つに「ロボットによる産業革命」を盛り込みました。

順調にロボット市場は成長していき、日本では、2035年に10兆円規模になると予想されています。

この傾向は国内のみならず世界でも同様です。日本をはじめ欧州では労働人口減少、中国や東南アジアなどの新興国では人件費の高騰や品質向上を背景に製造工程の自動化が急務になっています。その結果、世界各国で産業用ロボットのシェアが拡大しています。

市場を牽引するBIG4のメーカー

世界全体の産業ロボット市場ではBIG4とも呼ばれているメーカーがあります。ABB、ファナック、安川電機、KUKAの4社で、売上ランキングトップ5に入っているメーカーでもあります。

この4強と呼ばれるメーカーの中に、日本のファナックと安川電機という国内メーカーが2社入っています。またIFRの発表によると、2017年時点で日本メーカーの産業用ロボットは、世界販売台数の56%を占めたそうです。

日本のメーカーが産業用ロボットの市場では、大きな影響力を持っていることが分かります。

産業用ロボットのメーカーを選ぶポイント

産業用ロボットは高価なものも多いので、メーカー選びは慎重に行う必要があります。ここではあくまで代表的なメーカー選びのポイントを紹介します。

性能で選ぶ

同じロボットでもメーカーにより性能はさまざまです。性能を選ぶ観点は「軌跡精度」「絶対精度」「剛性」「カスタマイズ性」などが主なチェック観点です。

自社の求める性能を備えたロボットを販売しているか、メーカーのホームページなどでチェックしてください。

作業場面で選ぶ

産業用ロボットが担える作業は溶接、塗装、搬送などさまざまな場面に渡ります。

自社の取り扱い製品およびロボットを活用した場面に合わせて、用途に応じたロボットを得意とするメーカーを選ぶようにしてください。

価格で選ぶ

数百万円から数憶円以上まで、ロボット本体の価格は非常に幅広いです。またロボット本体以外にも、周辺機器の価格、人材育成費、メンテナンス費などのコストも考慮が必要となります。

ロボットに投入できる自社予算をあらかじめ算出したうえで、予算範囲に収まるロボットを扱うメーカーを探すようにしてください。

対応地域で選ぶ

海外メーカーの産業用ロボットも購入自体は可能です。ただしメーカーによっては販売対応地域を限定しているケースもありますし、購入後のサポートを行わないケースもあります。

自社工場の地域がメーカーの販売対象地域及び販売後のサポート範囲内地域かどうかは、事前にチェックを行ってください。

産業用ロボットの主要メーカー10社

世界で活躍する産業用ロボットメーカー10社を紹介します。前述のBIG4メーカーに加えて、国内の主要なロボットメーカーについて簡単な特徴をまとめました。

安川電機

1977年に日本で初めて全電気式産業用ロボット「MOTOMAN-L10(モートマン)」を発売したことで知られるメーカーです。

産業用ロボットの累積台数で世界首位となっており、アーク溶接、スポット溶接、塗装、パレタイジングなどさまざまなロボットを開発販売しております。

2017年にはスマートファクトリーのコンセプトとして「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を発表するなどIoT対応にも力を入れています。

ABB

スイスに本社を置く大手ロボットメーカーです。1988年にスウェーデンのアセアとスイスのブラウンボベリが合併して誕生しました。

電機から重工業までカバーする総合メーカーで、丸みをおびた双腕ロボットも特徴的です。

ロボット関連ソリューションを提供しており、国内では塗装ロボットで多くの実績を持っています。近年は食品産業向けロボットにも力を入れているのが特徴です。

KUKA

1898年にドイツのアウクスブルグで創業したロボットメーカーです。メインカラーはオレンジで黒いロゴです。

もともとKUKAはガス灯技術関連事業を手掛けていましたが、1970年代以降にダイムラー・ベンツ向けに自動化装置を製造するなど、ロボット関連技術に注力しはじめました。

2016 年に中国の総合家電メーカーである美的集団(マイディア・グループ)によって買収され、豊富な製品ラインナップを揃えるようになっています。

ファナック

1956年の創業以来、工場の自動化を追求しているメーカーです。

多関節型ロボットでは日本ではトップクラスの品揃えを誇ります。また溶接、塗装、パレタイジングなど大小さまざまなロボットを扱っております。

FA事業、ロボット事業、ロボマシン事業の三本柱に加えIoT関連事業を展開し、多関節ロボットに強みを持っています。製造業向けのオープンプラットフォーム「FIELD system」を開発し、ロボットとIoTとの連携にも力を入れています。

川崎重工業

川崎重工業は、1968年から50年以上ロボット事業に携わるメーカーです。1969年には日本初の国産産業用ロボット「川崎ユニメート2000型」の初号機を開発しました。

2017年にはABBと協働ロボット(人と同じ空間で作業する産業用ロボット)分野での協業を発表し、翌年には共通の操作UIを発表するなど協働ロボット普及にも力を入れています。

不二越

溶接や塗装など自動車分野に強い、新潟に本拠地を置くメーカーです。

自動車生産ラインで培った自動化のノウハウを集結し、進化を続ける製品現場のニーズに応える最先端ロボットを提供し続けています。メインカラーは白でロゴは赤で「NACHI」と表記されています。

ダイヘン

大阪の重電メーカーであるダイヘン。

溶接に強みがあり、ダイヘン溶接ロボのラインナップはすべて合わせると18機種に及びます。多彩な用途に合わせた機種を選ぶことが可能です。カラーは白にロゴは青です。

デンソーウェーブ

トヨタグループを支える会社のひとつデンソーウェーブ。

滑らかで丸みを帯びたフォルムのロボットが多いのが特徴です。コンパクトで高速・高精度なロボットが揃っており、自動車業界、電機・電子業界、医療・医薬業界での生産合理化の手段として長年使用され続けています。カラーは白にロゴは赤です。

エプソン

情報関連機器メーカー大手であるエプソン。

社内向けに開発した腕時計の精密組立ロボットをルーツとし、1983年からロボット事業を始めました。産業用スカラロボットに強みがあり2011~2019年の金額および数量ベースの出荷実績においてNo.1の実績があります。カラーは白にロゴは青です。

パナソニック

日本の大阪府門真市、守口市に拠点を置く大手電機メーカーのパナソニック。

溶接機メーカとしての高い溶接技術と新工法により、ロボットでの低スパッタ・高速溶接・高溶接品質を実現しています。また、レーザー溶接施工技術においても高い技術を提供しています。

まとめ

産業用ロボットの活用は、自動車産業や電機・エレクトロニクス産業において大企業を中心に進められてきました。

しかし、近年の人手不足や働き方改革といった環境変化を背景に、産業や企業規模に関わりなく導入が必要になっています。今後は多くの企業にとってロボット活用が不可欠になるでしょう。

産業用ロボットの価格は決して安くはありません。導入にあたっては、メーカーの特徴や購入後のアフターフォローまで見据えて検討を行い、失敗のないようにしてください。

この記事の監修者
矢部秀一
株式会社ロボカル
マーケティングディレクター

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