産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.04.30

スマートファクトリーを食品製造業で実現する|導入のメリットと事例を紹介

さまざまな業種でスマートファクトリー化が進んでいます。その中のひとつ、食品製造業に焦点を当て、導入することのメリットや事例を紹介します。食品業ならではのニーズをスマートファクトリー化によってどのように解決できるのかについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事の結論

・食品製造業でスマートファクトリー化すると衛生面の強化や在庫量の減少などのメリットがある
・コスト削減や社会的信用度の向上などの課題の解決にもつながることがある

食品製造業でスマートファクトリー化するメリット

スマートファクトリーは、さまざまな業種で導入されています。食品製造業でスマートファクトリー化すると、次のような幅広いメリットを期待することができます。

  • 衛生面の強化
  • 温度・湿度の一元管理
  • 無駄のない原材料の仕入れ量
  • 在庫量の減少
  • 需要の把握
  • 顧客の反応のデータ化

衛生面の強化

食品を製造する際に、もっとも大切なポイントともいえるのが衛生面への配慮です。スマートファクトリーは、人が介在しないことで衛生面を保ちやすいというメリットがあります。また、クリーンルーム対応の産業用ロボットもあり、高度に衛生的な環境でも生産が可能です。クリーンな環境で製造しているということを、差別化のアピールポイントにすることもできるでしょう。

温度・湿度の一元管理

スマートファクトリー化することで、製造ラインの温度や湿度を一元管理できます。高温多湿では食品が傷むので、温度管理・湿度管理は食品製造業において重要なポイントです。温度が異常になったときはスマホなどですぐに察知でき、室温調整に取り掛かることができます。

無駄のない原材料の仕入れ

スマートファクトリーでは、市場のニーズや在庫量を把握できるため、無駄なく原材料を仕入れることができます。食品は古くなると腐ったり味が劣化するので、無駄なく原材料を仕入れることはコスト削減につながります。

在庫量の減少

スマートファクトリーでは、在庫管理も一元管理できるので、在庫量を減らす効果も期待できます。他の製品とは異なり、食品は消費期限が短い傾向にあるので、在庫量の減少はコスト削減につながります。

需要の把握

スマートファクトリーは、工場全体だけでなく流通やその先にある市場にもつながっています。市場のニーズを把握して供給量を決定するので、無駄のない製造につなげることができます。

顧客の反応のデータ化

スマートファクトリーでは、IT技術を用いて顧客の反応をデータ化して収集・蓄積しています。分析したデータは、商品の改善や新商品の開発、また、生産効率の向上等に役立てます。

スマートファクトリー化することで解決できる食品製造業の課題

スマートファクトリー化することで、食品製造業が持つニーズを解決できることがあります。以下の悩みを持つ企業は、スマートファクトリー化を前向きに検討できるでしょう。

  • コストを削減したい
  • 生産量を増やしたい
  • 衛生面を強化したい
  • 在庫を減らしたい
  • 社会的信用度を高めたい
  • 市場から求められる食品を製造したい

コストを削減したい

食品製造の過程において、さまざまなコストが生じます。例えばスマートファクトリー化により以下のポイントを実現するならば、コストに関する課題を実現できるようになります。

  • 人件費の減少
  • 求人や雇用、解雇にかかる費用の減少
  • 時間外労働にかかるコストの減少
  • 欠陥品の減少により、廃棄量が減る
  • 無駄のない仕入れにより、原材料の廃棄量が減る

生産量を増やしたい

ニーズは高いけれど、工場の生産量を増やせないときは、スマートファクトリー化することで生産量の増加を図ることができます。例えば、ロボット導入により作業スピードを向上させることで生産量の増加を図ったり、仕入れや在庫管理による廃棄量の減少、ミスの少ない生産体制による欠陥品の減少によっても生産量の増加を目指せるでしょう。

衛生面を強化したい

食品製造業においては、衛生面の強化は重要なポイントです。スマートファクトリー化することで、製造や梱包の過程に人が介在しないようになり、生面を管理しやすくなるでしょう。また、異物混入の減少も目指せます。

在庫を減らしたい

スマートファクトリー化により、市場ニーズを的確に把握することが可能になり、在庫を減らすことにもつながります。原材料の仕入れから生産、物流までを一元管理することで、各過程に余剰品や不足品が出にくくなり、無駄のない生産体制を構築することができます。

社会的信用度を高めたい

スマートファクトリー化をアピールすることで、人が介在しない衛生的なシステムであることを顧客に印象付けることができます。クリーンルームに対応しているならば、より一層衛生的であることをアピールできるでしょう。また、欠陥品の減少による社会的信用度の向上も期待できます。さらに、廃棄物が減ることでも、エコな会社のイメージアップにつながるでしょう。

市場から求められる食品を製造したい

スマートファクトリーでは、ITを用いて製品を追跡調査することや市場ニーズに関するデータ収集・分析することで、市場から求められる食品を製造しやすくなります。ニーズに合った食品を製造するためにも、スマートファクトリー化は必要といえるでしょう。

スマートファクトリー化した食品メーカーの事例

食品製造業にとって、スマートファクトリー化することはメリットが多いといえます。実際にスマートファクトリー化した食品メーカーの事例をいくつか紹介するので、ぜひ参考にしてください。

エスビー食品

エスビー食品では、「安全安心」「生産体制の強化による生産性の向上」を目指し、3つの工場をスマートファクトリーとして新築しました。各工場では密閉型製造設備や原料自動計量装置、自然冷媒式冷却設備などの設備を導入し、高い衛生基準を保って家庭用の食品や業務用即席製品、また、練りチューブ製品などを生産しています。

エスビー食品では、スマートファクトリー化のために事前にインターネットがつながった機器(IoT)を導入し、生産設備とライン検査機器のリアルタイムな把握を目指しました。市場の需要に応えつつ在庫を増やさない無駄のない製造量、また、多様化するニーズに応える細かな商品設定も実現し、今まで築いてきた食品製造の実績を活かした新しい生産体制を実現しています。

日清食品

日清食品では、全方位カメラを約700台導入し、製造ライン内の死角をゼロにした工場を建設しました。全てのカメラは一括制御できるので、特定の部分で問題が生じたときは、他の部分でも同様の問題が起こっていないかスピーディに確認・検出することができます。

また、即席麺の工場を生産管理システムと連携し、賞味期限を超える期間においてデータを保管して、商品がスムーズに消費されているかについても確認しています。生産管理システムはストレスなく運用できる操作性を重視し、特別なスキルを持つ社員でなくても簡単に運用・管理できるように配慮しました。蓄積した映像データは解析され、これから起きると予想される事象についての予兆分析や、より効率的な生産方法を検討するための材料として活かしています。

マルハニチロ

マルハニチロでは、会社全体においてデジタル統合基盤を構築しました。これにより業務の標準化と効率化、データの一元管理を実現しています。また、在庫回転率が向上しただけでなく、ペーパーレス化が進み、製造におけるコスト削減に繋がっています。

それに加え検品作業における省力化も実現し、配合ミスや計量ミスの件数が激減しました。また、ミスが少ない作業を実現したことで、現場担当者の精神的負担の軽減も実現しています。

まとめ

高い衛生基準が求められ、また、消費期限の短さ等から適切な商品管理も求められる食品製造業において、スマートファクトリー化することで多くのメリットが得られます。無駄なく製造することで資源の有効活用や廃棄量削減、また、社会的信用度の向上も期待できるでしょう。ぜひスマートファクトリー化を進め、より信頼性の高い企業の実現を目指していきましょう。

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