産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.03.31

産業用ロボットを組立で活用する!作業と利用可能なロボットを紹介

産業用ロボットの中には組立の工程に使用するものも数多くあります。実際に組立ではどのような作業を産業用ロボットが行っているのか、また、実際にどのような産業用ロボットが活躍しているのかについて見ていきましょう。

この記事の結論

・産業用ロボットの中には組立の工程を行えるものもある
・組立を産業用ロボットに任せることで作業スピードの向上や人材不足の解消、生産量増加などを見込める
・組立を行う産業用ロボットにはデュアルアーム制御ロボットやスカラロボットなどがある

産業用ロボットが組立の工程において実施する作業

組立の工程では、さまざまな作業が必要です。産業用ロボットが組立において担う作業を細分化すると、次の4つに分けられます。

  • パーツを取り出す
  • 作業の位置に設置する
  • ネジを締める
  • コネクタの挿入

パーツを取り出す

組立の工程は、組立に必要なパーツを箱(パーツフィーダ)から取り出す作業から始まります。産業用ロボットを使って、一つの製品を作るのに必要なパーツのみを取り出します。

パーツフィーダの中には必要量を自動的に取り出せるタイプのものもあります。その場合は、次の位置決めの工程にスムーズに進むためにも、パーツフィーダと組立用のロボットを連動しておく必要があります。

作業の位置に設置する

取り出した部品を作業する場所に置きます。産業用ロボットには位置補正機能もあるので、正確な位置で作業を開始することができます。なお、位置補正機能はロボットによって精度が異なります。パーツの大きさや作業の細かさに合わせて適した位置補正機能を持つロボットを選びます。

ネジを締める

パーツを組み合わせてネジを締めます。ネジ締めしやすいように位置補正機能を使うタイプの産業用ロボットや、関節が柔軟で多方向からネジ締め工程ができる産業用ロボットがあります。

コネクタの挿入

パーツとパーツを組み合わせる際に、コネクタを挿入するケースやパーツ自体を他のパーツに挿入するケースがあります。強く挿入するとパーツを壊しかねないので、力の制御が必要です。

産業用ロボットが組立の工程を行うメリット

産業用ロボットが組立の工程を担当することで、次の8つのメリットが得られます。

  • 作業スピードの向上
  • ネジ締め忘れや緩みの回避
  • 腰痛などの身体的な負担の軽減
  • 人材不足の解消
  • 人件費の削減
  • 技術継承問題の解決
  • 生産量の増加
  • 欠陥品の減少

作業スピードの向上

熟練した人間よりも産業用ロボットのほうが作業スピードが速いことが一般的です。産業用ロボットを導入することで、短時間で組立の工程を終えることができるでしょう。

なお、作業スピードは調整可能です。特定の工程における作業スピードを変更する場合には、他の工程の作業スピードも併せて調整しましょう。ただし、作業スピードを速く設定するとロボットの寿命が短くなることもあるので注意が必要です。

ネジ締め忘れや緩みの回避

人手で作業をするときは、ネジを締め忘れたり、緩みがでたりすることがあります。しかし、ネジの位置と締める強さを適切にプログラムした産業用ロボットに組立の工程を任せることで、締め忘れ・緩みを回避できます。

腰痛などの身体的な負担の軽減

組立の工程は同じ姿勢で行うため、人が行うと身体的に大きな負担がかかり、腰痛などの原因になりかねません。パーツが作業台の下にあるときは、持ち上げる作業も含まれるため、さらに腰痛の原因になります。

腰痛により作業員が働けなくなると、大切な労働力を失うだけでなく、新たな求人も行わなくてはいけなくなり、経済的・時間的なダメージを受けることになります。産業用ロボットを導入することで、労働者の身体的負担を減らし、なおかつ雇用問題の解消も図りましょう。

人材不足の解消

労働人口の減少や3K職場の不人気により、製造業は人材不足に悩んでいるところが多いです。また、今は人材不足ではなくても、今後、人材不足になる可能性があるので、万が一に備えておくことができるでしょう。組立の工程をロボット化することで、人材不足の解消にもつながります。

人件費の削減

初期投資費用はかかりますが、永続的な人件費は削減できます。そのため、長い目で見ればコストダウンにつながることがあります。また、産業用ロボットには労働時間の規定がないため、作業が多い場合も、残業代や夜間作業の加算なども不要です。

技術継承問題の解決

作業員の高齢化により、世代交代が必要な工場も少なくありません。しかし、技術を継承していく人材が不足している業界もあり、今と同じ作業をこの先も続けられるのだろうかと悩む経営者も多いです。産業用ロボットに作業をプログラムすることで、技術継承問題の解決にもつながります。

生産量の増加

作業スピードが速いと、生産量の増加を見込めます。また、稼働時間を長くすることでも生産量増加も見込めます。競争力を高め、業界内のシェアを伸ばすためにも、産業用ロボットを組立の工程に導入することは必要といえるでしょう。

ただし、組立の工程だけがスピーディに進んでも、生産量の増加にはつながりません。他の工程にも産業用ロボットを導入し、スピード(時間あたりに製造する個数など)も同程度にコントロール必要があるでしょう。

欠陥品の減少

産業用ロボットはプログラミングしたとおりに作業を行うため、ネジの締め忘れや緩み、パーツに過剰に力を加えることによる破損などが減り、欠陥品が減少します。材料代を抑えることや、企業信頼度の向上にもつながるでしょう。

組立の工程を担当する産業用ロボットの種類

組立の工程で活躍している産業用ロボットには、次の3つの種類があります。

  • デュアルアーム制御ロボット
  • コンパクトタイプのスカラロボット
  • 3Dビジョンシステム搭載の組立ロボット

デュアルアーム制御ロボット

デュアルアーム制御ロボットとは、一台のコントローラで二台のロボットを制御可能なロボットです。少ないスペースで組立の工程を行えるので、ロボット導入後にも工場のレーン配置を大きく変えずに済む場合があります。

また、省スペースなだけでなく省電力タイプを選べば、コスト減も期待できます。シンプルに調整できるので、作業スピードや工程が変化したときにも対応しやすいです。

コンパクトタイプのスカラロボット

コンパクトタイプのスカラロボットは、T軸の最大許容慣性モーメントが大きいため、省スペースでありつつ作業範囲も広く、パーツの取り出しや作業位置の補正、組立作業を行えます。コントローラを用いて他のロボットと連携させやすいので、周辺設備も併せて一括制御でき、高い操作性を保ちます。

3Dビジョンシステム搭載の組立ロボット

3Dビジョンシステム搭載の組立ロボットは、複数のロボットと協働し、位置補正を行いつつ組立工程を進める産業用ロボットです。大きな部品の持ち上げも可能で、取り出しから位置決め、ネジ締めまでをスムーズに行います。

まとめ

産業用ロボットを組立の工程に導入することで、人材不足や人件費などの問題を解消し、生産量の増加や欠陥品の減少といったメリットも得られます。位置決めの精度や重量品の取り扱い、使用するスペースなどは産業用ロボットによって異なりますので、製品や作業空間に合ったロボットを選びましょう。

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