目次
自動車工場で使われているロボットを工程ごとに紹介していきます。自動車工場ではさまざまな工程で多数のロボットが使われています。今回は、各工程でどのようにロボットが使われているかを詳しく解説しますので最後までお読みください。
・自動車工場ではあらゆる工程で多数のロボットが使用されている
・産業用ロボットが過酷な環境での作業や負担のかかる作業を人の代わりに行っている
・AIによるティーチングや組立工程で使用できる協働ロボットなど最新技術が開発されている
自動車工場では多数のロボットが使用されている
自動車工場は生産台数の増加や高効率化のために、あらゆる工程で産業用ロボットが使用されています。
三菱自動車の工場では現在1400台ものロボットが導入されておりなど、自動化のために高くの投資を行っています。
今後、産業用ロボットの知能化、人と同じ環境で作業ができる協働ロボットの技術の発展によりさらにロボットが増えていくかもしれません。
自動車工場の各工程で使われているロボットを紹介
産業用ロボットが実際にどの工程でどのように使われているか見ていきましょう。
自動車工場では以下のような工程で生産が行われています。
- プレス工程
- 溶接工程
- 塗装工程
- 組立工程
- 検査工程
プレス工程
プレス工程は、長い鉄の板に圧力をかけて、クルマの骨格部分やドアなどの部品を作る工程です。
鉄板はロール状に巻かれた「コイル」と呼ばれるものを使用しています。コイルから鉄板を切り取って、プレス機で曲げたり金型でくりぬいたりすることで、自動車の部品がかたどられます。
プレス工程ではプレス機を使うため、ロボットが加工することはめったにありません。しかしながら、次工程のラインに搬送するために多関節ロボットが用いられることがあります。
運搬用のロボットにより、生産効率が上がり、重量物も持つという負担のかかる作業を人が行わなくてもいいようになりました。
プレス機間の搬送ロボットは次のようなものがあります。
溶接工程
溶接工程ではプレス工程で作られた部品をつなげて、クルマのフレームを作っていきます。溶接は文字通り「溶かして接合する」という意味です。
電流やレーザー光線によって発生する熱を利用して、金属を溶かし、各部品をつなげていきます。自動車で使われる溶接方法は主にアーク溶接とスポット溶接の2種類です。
最初にクルマの内側であるインナーフレームを溶接し、次に外側となるドアやボンネットを溶接して次の工程へと移ります。
なお、溶接工程では、多くの溶接用多関節ロボットが使用されています。人の代わりに溶接を行うことで、人手不足の解消や生産スピードの向上などのメリットがあります。
また、溶接は紫外線や気体化した金属であるヒュームが発生するため人にとっては非常に危険な作業です。溶接ロボットによって過酷な環境で作業しなくてもいいようになりました。
実際に溶接工程の動画を見てみましょう。
塗装工程
溶接した車体を洗浄したら、塗装工程です。塗装はクルマのカラーリングやサビ防止のために行います。
まずプールに車体を沈めて塗装する「電着塗装」という方法でむらなく全体に塗装します。電着塗装を終えるとつなぎ目の部分をふさぐシーラーを塗布。その後、ロボットによる塗装を計3回行い、クルマの塗装が完了します。
塗装工程ではロボットによる塗装が欠かせません。クルマは大きいことから人の手ではどうしても塗装に時間がかかってしまいます。さらに、塗料には有害な物質も含まれていることから人に害を与える可能性もあります。
そのため、塗装ロボットを導入することで生産性の向上や作業者の負担軽減が可能です。ただし、どうしてもロボットで塗装できない部分は手作業で行っています。
塗装工程の動画を見てみましょう。
組立工程
組立工程では、塗装した車体にエンジンなどの各部品を取り付けていきます。車体がコンベアの上に流れて多くの作業者の手によって組立が行われます。
組付け工程は少量多品種のため、購入者の注文に合わせて部品を取り付ける必要があり、大変な工程です。指示ビラを見ながら正確に取り付けていきます。
最初に比較的大きなパーツを装着。メーターやエアコン、配線などを車内に組み込んだ後、エンジンやトランスミッションなどを取り付けます。
次に、比較的小さいパーツを取り付けていきます。インパネやルームミラーなどの内装品などを装着。その後、ガラスを貼り、バンパーを付けます。最後にシート、ハンドル、ドア、タイヤを装着して車体の完成です。
ロボットはエンジンなど大きな部品やガラスなど人が持つと危険な部品を運搬・組立するのに使う場合が多いです。最近では人と同じ環境で動く協働ロボットも導入が進み、ねじ締め工程を自動化しているラインもあります。
こちらが組立工程で用いられているロボットの動画です。
検査工程
車体が完成したら、厳しい検査を行います。1台のクルマに対し、最大2000項目ほどの検査項目があります。問題がなければ、市場に出すことができます。
検査には走行テストがあり、人の手で行われています。完成車の検査でロボットが使われているかはわかりませんが、近年ではロボットを利用した自動車部品の外観検査が行われています。
以下の画像のように画像認識機能をもったロボットが検査をしています。
自動車工場向けに開発されているさまざまなロボット技術を紹介
自動車工場向けにさまざまなロボット技術が開発されているので以下の2つについて紹介します。
- ティーチング不要の自動車工場向けアームロボット制御AIアルゴリズム
- 協働ロボットを使った自動化
ティーチング不要の自動車工場向けアームロボット制御AIアルゴリズム|TRUST SMITH
ベンチャー企業のTRUST SMITHはティーチング不要のロボット制御AIアルゴリズムを開発して提供しています。
従来、導入前にティーチングマンがロボットに教示していましたが、AIによって仮想空間内でティーチングの自動作成が可能です。ティーチングによる教育コストの削減や人手不足の解消が期待されます。
協働ロボットを使った自動化|日産自動車
日産自動車では協働ロボットを用いた作業の自動化に積極的に取り組んでいます。クルマの吸気部品であるインテークマニホールドを供給システムやラダカムと呼ばれる部品の移載・締め付けシステムを構築しました。
人がロボットに近づくとロボットが停止したり、速度が遅くなるなど安全性が確保され、狭い空間への導入や大掛かりな生産ラインの変更を行わずに導入できるなどを可能にしました。
まとめ
自動車工場に使われているロボットについて紹介しました。自動車工場では生産性を上げるためにあらゆる工程で多数のロボットを駆使して生産を行っています。
また、このような生産ラインの立ち上げにはシステムインテグレータ企業の存在が欠かせません。導入を検討しているのであれば、一度連絡してみてはいかがでしょうか。