目次
安全柵なしに人と一緒に働ける協働ロボット。導入することでどのようなメリットを得られるのでしょうか。また、協働ロボットにはどのような作業が向いているのか、導入を検討できる事業所や導入する際の注意点についても解説します。
・協働ロボットを導入することで生産性の向上や人材不足の解消などのメリットがある
・協働ロボットの得意分野を理解し、適切な場所に導入することが必要
・協働ロボットは作業が変化したときには対応できないことがあるので、プログラミングのし直しが必要になる
協働ロボットを導入するメリット
協働ロボットを導入することには多数のメリットがあります。主なメリットについて見ていきましょう。
- 生産性の向上
- 人材不足の解消
- 人件費の削減
- 社会的信用度の向上
- 雇用問題の解消
- 安全性の向上
- 人材の有効活用
- スペースの有効活用
生産性の向上
協働ロボットは人よりもハイスピードで作業を行うため、生産性が向上します。また、ミスをすることが滅多にないため、欠陥品が少なく、結果的に生産性も向上する点も協働ロボットを導入するメリットです。
人間は労働基準法に準じて働くため、労働時間は制限されています。しかし、協働ロボットは1日8時間以上働くことができるため、稼働時間を長くすることでさらなる生産性の向上とつながります。
人材不足の解消
人は会社を辞めることがあるため、十分な人員がいても、いつまでもその状態が続くわけではありません。一方、協働ロボットはメンテナンスさえすればいつまでも働くので、人材不足の問題を解消することができます。
とりわけ製造業は立地の悪さや低賃金、作業が単調・きついなどの理由により、人材不足が深刻な問題にあります。いつまでも働いてくれる協働ロボットを導入することには大きなメリットがあるといえるでしょう。
人件費の削減
人の仕事の代わりに協働ロボットが働くので、人手を減らせ、人件費の削減にもつながります。また、協働ロボットは時間外労働の際の手当が不要なので、生産量を増やしたいときもコストを抑えて稼働時間を長くすることが可能です。
導入時には高額な資金がかかるが、長期的な視野で見れば、協働ロボットを導入するほうが割安になることもあります。導入前にシミュレーションしてみましょう。
社会的信用度の向上
協働ロボットがつくる製品は品質が均一なので欠陥品が少なく、製品、ひいては企業に対する社会的信用度が向上します。また、大量注文を受けた場合、すべて人的資源に頼っていると「作業スタッフが集まらない」などの理由で約束通りの期日に仕上がらない可能性があります。しかし、協働ロボットならば稼働時間を長くすれば生産量を増やせるので、約束通りに仕上げることができ、依頼主から信用を獲得できるでしょう。
雇用問題の解消
生産量を増やしたいときは人材を増やさなくてはなりませんが、協働ロボットなら稼働時間を長くするだけで対応でき、求人や雇用問題を回避できるでしょう。生産量を長期間減らしたいときは作業員を解雇する必要が生じますが、協働ロボットならばスイッチをオフにするだけなので簡単です。
また、生産量を一時的に減らすときは、収入は減るが人件費は減らないという状態になります。しかし、協働ロボットならば稼働させないときはコストも発生しないので、収入減に対応しやすくなります。
安全性の向上
危険な作業を協働ロボットに任せることで、作業中のケガを回避できます。また、高所の作業や重量物の運搬などは、ケガだけでなく腰痛の原因になることがあります。身体への負担や危険性が大きい作業は協働ロボットに任せることで、スタッフの健康を守ることができるでしょう。
人材の有効活用
単純作業を協働ロボットに任せることで、人材をよりクリエイティブな仕事に活かすことができます。少子化で今後も人材不足の状態が続くと予想されるので、貴重な人材を有効活用することは将来的にも必要です。
スペースの有効活用
協働ロボットは小型かつ可動スペースが小さいため、作業場が広くなくても設置可能です。ロボット用にレーンを作成したり、作業スペースを広げたりしなくても良いことも多く、初期費用を抑えることができます。
協働ロボットに向いている作業
協働ロボットを導入することには多様なメリットがあります。協働ロボットは特に以下の作業に向いていますので、該当する作業を実施している工場では導入を検討できるでしょう。
- 部品の組立
- 梱包
- 検品
- 仕分け
- 積み込み
部品の組立
協働ロボットは単純作業をスピーディに行うので、部品の組立が得意です。プログラミングすれば、組立工程を一度でクリアできます。また、プログラム通りに作業をするので、手順にミスがないことも協働ロボットの特徴です。
梱包
キッティングやパッケージングも協働ロボットの得意な作業です。プログラム通りに内容物を選択・梱包するので、梱包漏れが減ります。
検品
協働ロボットは正確に正否を見分けるので、ミスを見逃さずに丁寧な検品が可能です。検品の正確性が向上することで、不良品の減少と社会的信用度の向上を期待できます。
仕分け
協働ロボットは、製品の仕分けや箱へ入れる作業もスピーディに対応します。仕分け作業がある工場でも活躍します。
積み込み
腰に負担がかかる積み込み作業も、協働ロボットの得意分野です。製品の製造から積み込みまで、一貫して協働ロボットに任せることもできます。
協働ロボットの導入を検討できる事業所
メリットの多い協働ロボットですが、すべての事業所に適しているわけではありません。導入を検討できる事業所としては、以下の4つの業種を挙げることができます。
- 食品製造業
- 製薬・薬品製造業
- 機械工業
- 化学工業
食品製造業
単純作業がメインの食品製造業は、協働ロボットに適した職場です。人手を介さないので衛生的に作業できる点も、向いている理由のひとつです。
製薬・薬品製造業
同じく単純作業がメインの製薬・薬品製造業も、協働ロボットに適した職場です。協働ロボットは高い衛生基準を維持できるため、人よりも作業に適しているといえるでしょう。クリーンルーム対応型の協働ロボットもあります。
機械工業
機械工業は単純作業が多く、危険な作業が多いので、人よりも協働ロボットが適していることもあります。また、協働ロボットならば人と同じ空間で作業ができるので、人の作業とロボットの作業を同時に行うことが多い機械工業に適しています。
化学工業
化学工業では単純作業が多いだけでなく、危険な薬物を扱うので、人よりも協働ロボットが適しているといえます。工場全体を低温や低湿に管理しなくてはいけないケースも多いですが、協働ロボットならば人には適さない環境でも仕事を行えます。
協働ロボット導入における注意点
他分野で活躍可能な協働ロボットですが、注意点もいくつかあります。経塚を導入する際の注意点を紹介します。
- 操作と管理を担当するスタッフを確保する必要がある
- 作業の変化に対応できないことがある
- 安全ガイドラインを順守する必要がある
操作と管理を担当するスタッフを確保する必要がある
協働ロボットを操作するスタッフや管理するスタッフが必要です。作業スタッフよりも希少な人員なので、確保が難しいこともあります。
作業の変化に対応できないことがある
作業内容が変わったときはプログラミングをし直すことが必要です。作業内容によっては対応できないこともあり、場合によってはロボットの買い替えが必要になります。
安全ガイドラインを順守する必要がある
人と働くことができるロボットとはいえ、絶対に事故が起こらないとは言えません。協働ロボットの安全ガイドラインを順守する必要があります。
まとめ
協働ロボットを導入することで生産性の向上や人件費の削減など、多様なメリットを得られます。食品製造業や化学工業などの業種に向いているので、注意点にも配慮しつつ導入を検討できます。協働ロボットが得意とする作業を行う業種の方は、導入を考えてみることができるでしょう。